1783 おばちゃんって生き物
次の日、女の子の母親の様子を見に来た。
「起きれるくらいまで回復したか」
まだガリガリな体型だが、赤みは戻って来ている。これなら問題なく回復して行くだろうよ。
検診は委員長さんとチビッ子さんに任せ、オレは女の子とケルクを刈るとする。
「結構生ってんだな」
小さい畑なのに刈るとなると結構な量だった。土地がイイのかケルクの特性か、これ、ラナク村にも植えるか?
女の子と一服していたら近所のおばちゃんらしき女性陣がやって来た。
「ケルクをそんなに刈ってどうしたんだい?」
「おかあちゃんの薬代に刈ってるんだ」
「ハルシアの? もうダメだと思ったのに治ったのかい?」
薄情とか言わないように。こんな時代じゃ重病になったら死ぬしかない。追い出されないだけ優しいってものだ。
「うん! 旅の薬師さんが治してくれたの! ケルクはその代金だよ」
「ケルクが?」
「あんな状態になりながら長いこと生きられていた。聞いたら毎日ケルクの汁を飲んでいたそうじゃねーか。薬師としては興味深いばかりさ。あ、オレ、薬師見習いです」
さすがに薬師と言っても信じられないだろうから見習いって言っておく。
「もし、おばちゃんたちのケルクを分けてくれるなら薬と交換するよ。なんなら金でも構わない。籠一杯で銅貨五枚で買い取るよ」
「籠一杯で銅貨五枚!? ほ、本当かい?!」
「ああ、本当さ」
「薬って、どんなのがあるんだい?」
「それは姉じゃに訊いてくれ。小屋にいるからさ」
オレより歳上だから信用されんだろう。見た目は十七、八歳には見えるからな。
「籠がないならこの麻袋に入れてくれても構わないよ。一袋銅貨一枚だ。そのほうがわかりやすいだろう?」
自分ちで作っているケルクなど二束三文みたいなもの。一袋銅貨一枚でも文句は言われないはずだ。
「あなあ、構わないよ。いくらでもいいんだね?」
「来年の分は残しておいてくれよ。また買いに来たいからさ」
まあ、来年はバイブラストの商人に任せるけどな。
「ここに持って来たらいいのかい?」
「うーん。広場みたいなところがあるならそこでお願いしたい。ないかな?」
「それならあっちに休ませてある畑があるよ」
「それならタルクの畑だ。貸してもらうとしよう」
「貸してくれるなら銀貨一枚払うと伝えてよ。終わったら均して返すよ。オレ、土魔法が使えるからさ」
「任せておきな!」
「あたしがタルクのところに行って来るよ!」
おばちゃんの連携は国が変わっても健在のようで、すぐに畑を貸してくれるよう交渉(命令)してくれた。やっぱ、おばちゃんはコエ~。




