1782 マルセン村
「そういや、この村の名前ってなんだ?」
オレの中ではケルクの村になってっけどよ。
「マルセン村よ。人の名前だけじゃなく村の名前すら覚えられないの?」
「委員長どのはツンデレみたいな怒りかたをするでござるな」
腐嬢王は黙っててください。話がややこしくなるんで。
「マルセン村な。で、賊がいた村の名前は?」
「昔はラナク村と呼ばれていたらしいわよ。でも、何十年も前に流行り病で消えてしまったみたいね」
「……いつの間にそんな情報仕入れてんの……?」
案外、コミュニケーション能力高かったりすの、委員長さんって?
「バンシーの母親に聞いたの。ラナク村の出身だったそうよ」
バンシー? あ、あの女の子のことか。
「ラナク村がどうかしたの?」
「バイブラストから人を連れて来て、貿易都市を築こうと思っている」
聖国との商売をバイブラストにお願いしようってことだ。
「……それ、侵略とかにならない……?」
「国境なんて日々変わるもんだし、主張したいのなら奪われないよう守っていろだ。口だけで守れるほど優しい世界じゃねーんだからな」
今の時代、国境なんてあってないようなもの。主張した者勝ちだ。
「聖国と商売するでござるか?」
「ああ。ケルクは素晴らしい植物だからな、後生に残してもらわねーとな」
生命力を高めてくれるものを見逃すなんでできんでしょう。でも、自分の労力を差し出すのはしたくたい。なら、他にやってもらいましょうだ。オレは必要なときに必要なだけ買える体制が欲しいだけだからな。
「あうー!」
と、ルヴィが叫んだ。なんだお前、そんな声を出せるようまで育ったんかい。
「おー元気だな」
ミノ子さんからルヴィを受け取り、高い高いをする。
「はい。ルヴィちゃんはたくさんおっぱいを飲んでますよ」
なんかオレくらいの年齢に見えるのが犯罪臭いが、元が元なだけに気にしないようにする。ルヴィも懐いているしな。
「風呂には入れたか?」
おしめは臭くないな。頭も汗でベタついてない。
「お昼に入れました。暖かいうちに入れたほうが体を冷やすこともないでしょうから」
「スーパーベビーシッターか?」
「我が配下はプロフェッショナルでござるよ」
お前がどやんな。やってくれてんのはミノ子さんなんだからよ。
元気なルヴィとたくさん遊んでやり、電池が切れたらベビーベッドに寝かせた。
「いっぱい寝て元気に育てよ」
可能なら母親に似るのではなく父親に似てくれ。いつか父親に会いに行ったとき、母親に似てたら可哀想すぎるからな。
「お休み、ルヴィ」
よしよしと頭を撫でてやった。




