1780 弔い
最初の村に現れた。
「ここが最初の村だな。賊の死体は片付けてある。一回りしてみるかい?」
「はい。様子も伝えたいので」
ごもっともなので騎士さんの自由にさせた。
改めて見ると、よくこんな寂れたところで生きていたよな。人の往来もないのによ。
「そういや、バイブラストへと続く道はここだけなんか?」
「高い山もないですし、他にもあるのではないですか? ここだけならもっと発展しているでしょうし」
確かに高い山はなかった。それなら別ルートがあっても不思議ではないな。
「オレも村を見て回ることにするか」
お宝なんぞないだろうが、どんな生活をしていたかは気になる。なに食ってたんだ?
適当な朽ちた家に入ると、なんかスエた臭いが充満していた。
「ベー、臭い」
それだとオレが臭いみたいだろうが。なにが臭いかちゃんと言ってくださいませ。
仕方がないので結界で臭いを浄化させた。
「よくこんなところで生きていたものだ」
オレも貧しい時期を乗り越えてきたが、さすがにここまで貧しくはなかった。別に飢饉とかじゃないんだがな。農業を知らんヤツらだったのか?
畑とかは荒れてはいるが、そこまで悪い土とは思えない。耕したら芋の一つでも育てられんだろうがよ。
結界で雑草を排除し、土魔法で耕した。
「やっぱ悪くはねーよな」
ケルクの村は豊作だった。飢えに苦しんで、とかじゃないと悪い想像しか湧いて来んな。止めてくれよ。オレは亀を探しに来ただけなんだからよ。
「ベー様。よろしいでしょうか?」
嫌な想像に囚われていたら騎士さんが戻って来た。
「ああ。なんかあったかい?」
「村の奧に炭焼小屋があったのですが、人の骨が積まれていました。どうも魔物に食われた形跡がありました」
「相当な量かい?」
「はい。軽く五百はあるかと」
ゆるやかなスローライフにいらないダークさだな。
「シュンパネだ。準備が整ったら来てくれや。来るまで片付けておくからよ」
騎士さんにシュンパネの束を渡した。エリナがいるとたくさん作れるからイイよな。てか、クリエイトルームで創るんだったわ。
「はい。ベー様はこの村に滞在なさるのですか?」
「うーん、そうだな。辛気クセーから村を均すから明日の夕方には仲間のところに一旦戻るかも」
「わかりました。では、失礼します──」
シュンパネを使って帰って行った。
「さて。弔いをしてやるか」
ここにいたヤツらも神など信じてなかっただろうが、せめてもの情けで慰めだ。オレが弔いをしてやろう。
木を集めて水分を抜き、二メートルくらい組んだら火を放った。
カイナーズホームで買った日本酒を地面に撒き、黙祷した。
「よき来世でありますように」
祈りはしない。オレが神らしき存在に送られた言葉で弔いをした。
今年もありがとうございました。よいお年を。




