1779 バイブラスト公爵領、何度目だ?
転移バッチ発動。バイブラスト公爵領領都ブレオラス、ローレント城へ!
長いな! とか言わないで。久しぶりだと思い浮かべるのに時間がかかんだよ。
皇帝が来たときに泊まる部屋に出現。相変わらず綺麗にしてるよな。
さて、どうすればよかったんだっけ? ベルがあったようななかったような? 部屋の中をウロウロしてたら扉が開いて執事さんが入って来た。
「いらっしゃいませ、ベー様」
「久しぶり。突然ワリーな。今ちょっと聖国にいるんだわ」
「聖国ですか。また突然ですな」
「まーな。魔大陸で亀を飼おうとしたら聖国に適した亀がいるって聞いたんで、大図書館の協力を得て何日か前に入国してたんだよ」
自分で言っててなんだが、よくわからん理由だよな。ワールドワイドすぎて。
「そうでございますか。では、すぐに報せて参ります」
扉近くにあったベルを鳴らすと、侍女さんがやって来た。
「ベー様をもてなしてください」
「畏まりました」
突然来たにも関わらず、台車でコーヒーを運んで来てくれた。体制万全だね。いつ来るかわからんオレのために。
コーヒーを飲みながら待っていると、第三夫人が駆け足でやって来た。そんな急がんでもイイのに。
「ワリーね、突然」
「いえ、いつものことですから。わたしがいるときでよかったです」
それがオレの出会い運。外れたことがない──はず。いや、あるか? どうだったかな?
「忙しいならまたあとにするよ」
「いえ、大丈夫です。それで、今回の目的をお聞かせ願っても?」
カクカクシカジカと説明させてもらった。三十秒に纏めて。わかった?
「……お、大まかには。わたしたちになにをお求めで?」
「商人を聖国に向けて欲しい。可能なら五、六人は連れて行きたい。仕入れてもらいたいもんがあるんだわ。国交はねーが、秘密裏に商売はしてるって聞いたぜ」
「それは五年も前のことですね。カーレントが戻ってからは手紙を交わすくらいです」
深い関わり合いはないってことか。商人は行き来していると思ったんだがな。それもなさそうだ。
「そういや、国境辺の村は賊に支配されてたな」
どうでもイイんで忘れてましたわ。
「その賊は?」
「一人残らず片付けた、と思う。メンドクセーので調べてはねーな」
生き残ったところで明るい未来があるわけでもなし。数の多さで生き延びられるのが賊の利点だからな。
「五日ほど時間はもらえますか?」
「それなら一人貸してくれ。場所を覚えさせたらシュンパネで来れっからよ」
「わかりました。クレウ、ベー様と一緒に」
第三夫人の背後に控える騎士らしき男を見た。前はいなかったよな? スパイでも忍び込んでんのかな?
「畏まりました。ベー様。クレウです。よろしくお願い致します」
「あいよ。んじゃ、賊がいた村に向かうか。また来るよ」
騎士に肩をつかんでもらって転移バッチを発動させた。




