1778 不味い、もう一杯
お粥に塩を混ぜたら食えるものにはなった。
「畑の野菜、採ってもイイかい?」
「うん。売れないものばかりだから」
ここも市で売ってたのか?
「とーちゃんは?」
「出稼ぎに行ってる。村は貧しいから」
ふーん。出稼ぎか。たまによく聞く話だ。聖国もそんなに豊かってわけじゃないんだな。
「そっか。無事帰って来るとイイな」
うんと小さく頷く女の子。寂しいんだろうよ。
「ケルクってのは他の家でも作ってたりするのか? 余分にあるなら売ってもらえるか? かーちゃんをあれだけ生かしたものならきっと凄い効果がありそうだからな」
「あんなのそこら辺に生ってるよ」
それだけ身近なものってことか。これは儲けられんじゃね?
「なら、好きなだけ採ってもイイか? それでかーちゃんの薬代とするからよ」
「そんなのでいいの?」
「薬師としては金にも勝る発見さ」
こういうイベントは買ってでもしろ。その理由がこれである。
「あんちゃんがそれでいいのなら」
あんちゃん、か。そう呼ばれるとあんちゃん魂が加速するな。
「あと、作り方も教えてくれ」
「わかった」
お粥を完成させたら委員長さんに渡し、オレと女の子は畑に向かった。
「これがケルクだよ。切っても勝手に生えてくるから」
ニラのような形をしており、厚みがある。臭いは青臭く、食べてみたらさらに青臭かった。
よくこれを絞って飲もうと思ったよな。どんな勇者だったんだ?
鎌を出して中頃から切って結界に集める。イイ感じに集まったら結界を圧縮させて絞った。
結界フィルターで濾し、一応、熱処理してコップに注いで飲んでみた。
「うん、不味い。もう一杯」
不味くはあるが、そこまで濃くはない。果物と混ぜたら飲みやすくなるんじゃないか?
ケルクはまだあるので鎌で刈り、結界で絞り、濾したら熱処理をする。
終われば瓶に容れ、腐らないよう結界を施した。
「ドレミ」
「はい、ここに」
幼女メイドのドレミが現れた。
「これをオババに届けてくれ。手紙もつけるからよ」
ケルクのことや寄生虫のこと、皮と骨になってもなかなか死ななかったことを書き留めてドレミに渡した。
さすがに暗くなってきたので、看病は委員長さんに任せて市に戻った。
マルゲリータさんがいたのでケルクのことを訊いてみた。知ってた?
「あー。よく飲まれてはいたですな。わたしは、不味くてダメでした」
そこではないが、興味をなくしたのはよくわかったので、突っ込むことはしなかった。
「大図書館には報告してんだよな?」
「もちろん。大図書館でも栽培はしていると聞きました」
薬を作るときにケルクはなかった。まだ実用性はないってことなんだろう。それともまだ重要とは見てないってことかな?




