1777 執刀
クコの葉を母親に噛ませ、委員長さんに少しだけ回復魔法をかけさせた。
寄生虫も活発になるが、麻酔薬効果のあるクコの葉は意識がないと吸ってくれない。これは時間との勝負なのである。
意識が戻ったことで呼吸も活発になり、クコの葉の成分が体内に取り込まれた。
「姉じゃ。メスを入れる。回復するかしないかの小さな回復魔法をかけておいて」
「そんなのでいいの? 意味あるの?」
「死なないってことが大事なんだよ。時間はかけない。三十秒で終わらす」
結界で寄生虫の場所を探すと、脇腹、十二指腸辺りか。そこに細長いのが二匹、いや、三匹はいるな。
「やるよ」
寄生虫を結界で捕まえ、結界メスで二十センチほど切った。
委員長さんの回復魔法はやはり強力だな。切ったところが回復してしまう。血も止めてしまうか。
「もっと抑えて」
「難しいよ!」
「それでもやる! 回復魔法は将来の医学を開花させる力なんだから」
結界はオレだけのもの。二人といない。が、回復魔法を使える者ならそれなりにいるはずだ。執刀できる者は今から育てておくべきだ。
「よし。寄生虫が出て来た」
結界で引き出し、そのまた結界に封じ込めておく。
「よし。ゆっくり回復魔法で腹の切り口を回復させろ。体に負担をかけないように」
回復魔法もすぎたら人を殺す技となる。餓死に近い状態で回復魔法をかけたらそのままご臨終だろうよ。
ゆっくりと内から回復させ、切り裂いた腹を元に戻した。
クコの葉を口から出して口元を拭く。やっぱクコだけでは完全に痛みを消すことはできないようだ。大図書館に開発させるか。
頭を上げて白湯を少しだけ飲ませ、お湯で絞ったタオルで体を拭いてやった。髪も洗ってやるか。さっぱりしたいだろうからな。
「姉じゃ。三十分毎に薬湯を飲ませてくれ。オレは村で米を買って来る」
お粥を作ってやろう。鍋一つ作れば女の子も食えるだろうしな。
「米ならあるよ」
外の石づつみの蓋を開けて米が入った壺を出した。これがこの世界の米か。長粒なんだな。
玄米ってわけじゃないから脱穀技術はあるんだな。
「炊けるか?」
「任せて」
フライパンで炊くようで、米を適当に入れて水を限界まて浸したら竈にかけて炊き出した。蓋はしないんだ。
火を強くし、米が煮だって行く。グツグツ言い出したら蓋をして竈から外し、あとは蒸すようだ。
「完成だよ」
蓋を開けると、ふっくらとしていた。あれで炊けるんだ……。
少し掬って味見をすると、まあ、この時代の米ならこんなもんかって味だ。たまになら食ってもイイかもな。
風を吹かして冷ましたら水で洗い、小さな鍋に一食分だけ盛って竈で煮出した。




