1774 ちまき
この先、賊がいるってのに豊かな村だこと。
小さな市も立っており、近辺で採れただろう野菜が並んでいた。
「お、米じゃん。稲作栽培してんだ」
気候的にそうかな? と思っていたが、まさか本当にあるとは。カイナーズホームがなかったら買い占めているところだ。
「お、ヴィどの。あれ、ちまきではござらぬか?」
ちまき? ちまきって、笹の葉でくるんだヤツだっけ?
屋台の一つで、蒸し器で蒸していたり、吊るされていた。
もう遠い記憶のものなのでちまきがよく思い出せない。食ったのなんて子供の頃だったはずだ。見てもピンと来なかったよ。
「これは中華風ちまきっぽいでござるな」
中華風? ちまきに中華風なんてあったんだ。
「聖国でよく食べられるものですな。米に具材を混ぜて味つけして蒸すのですよ」
マルゲリータさんが追加情報をくれた。
「ちょっと買ってみるか。おばちゃん。全部ちょうだい」
いくらかわからんから聖国銀貨を渡した。
「相変わらず買い方が豪快でござるな」
「あるときにあるだけ買うのがオレのポリシーだ」
貧乏性とも言うが、無限鞄があるので消費期限など気にしないで済む。収納の鞄より高性能なのだ。
「足りないのなら追加するよ」
もう一枚聖国銀貨を出した。
「どこのお坊ちゃんだい。銀貨一枚でも多いくらいだよ」
そんなに安いものなんだ。なら、もう一軒行けそうだな。
屋台のちまきを買い占め、二軒先の屋台でもすべてを買い占めた。
蒸かしたばかりのを食ってみると、おこわっぽい感じだった。なかなかウメーじゃん。腹持ちしそうだわ。
「美味しい」
「うん。これ好き」
見習い魔女たちもちまきを気に入ったようだ。帰ったらサプルに作ってもらおうっと。
最初の屋台のも食ってみると、味が違った。こっちは豆と茸、鶏肉も入っていた。
「屋台によって味や具が違うみたいだな」
よく食われるだけある。他にもいろんな味や具がありそうだ。
「わたしもいくつか買っておきたいかも」
チビッ子さんが大いに気に入ったようで、自分用に欲しいようだ。
「マルゲリータさん。金ってある?」
「マリゲータよ。銀貨三枚ならあるですよ」
マルゲリータさんから聖国銀貨を二枚もらって委員長さんとチビッ子さんに一枚ずつ渡した。
「それで好きなだけ買いな。金は稼ぐからよ」
「なにをなさるので?」
「オレは薬師だからな。薬を売るさ」
資金調達のために薬を作らせたのだ。熱冷ましや腹下しの薬はどこでも売れるはず。あ、委員長さんは回復魔法が使えたっけな。傷でも治せばイイ宣伝になんだろうよ。
屋台を出せるかを聞くために他の屋台も回るとする。




