1773 どこぞのメーテルさん
賊に落ちた村から三日。次の村に到着できた。
「やけに賑わいのイイ村だよな」
賊がいたから聖国は荒れてんのかと思ったのに、この村を見ると、平和な空気で満ちていた。どーなってんの?
「この世界って、本当に十キロも離れると別世界でござるよな」
エリナもこの世界、いや、時代がわかってきたようだ。場所によって平和は紙一重。平和なところはとことん平和。平和なところじゃないところはとことん世紀末って感じなんだよな。
「宿に泊まるのでござるか?」
「うーん。賑わってはいるがマシな宿があるとは思えんしな。食い物を探しに行くだけにするか」
市場調査は国を知る近道。市があるなら買い物してみるべや。
「なんだか異世界に来たときの初イベのようでござる」
なんだよ、初イベって? なんか決まりとかあんのか?
「ヴィどの、塩を売るでござるよ。砂糖でも構わぬ」
「売らねーよ。この村の商売を邪魔すんな」
砂糖は知らんが、塩は重要物資。それを仕切る商人がいるものだ。その利権にケンカを売るなどアホの所業だ。
「金はあんだ、市場なんかでものを買ったほうが店主の口は自然と開いてくれるものだ」
金がないのなら肉を売る。肉がないのなら野草や薬草を売る。塩なんか売ったら敵認定されるわ。村社会で余所者なんて疎まれる存在なんだからよ。
「見習いどもも村娘風に着替えろ。エリナは……部屋に閉じ籠っていろ」
こいつは、なんだ。風体から異物すぎる。メガネとかしているなんて貴族でもなかなかいないわ。
「それなら着替えるでござるよ」
なんか部屋を出て行き、しばらくしてどこぞのメーテルさんみたいな格好で戻って来た。
「それ、著作権的にイイのか?」
「問題ないでござるよ。絵にしなければ」
なんかメタいこと言っているが、確かにどこぞのメーテルさんとは明言してはいない。服もなんか茶色いし。てか、その服で行けると思ったのか? 余計に目立つだろう。
「大丈夫でござるよ。認識阻害する服でござるから」
だったらさっきまで着ていた服にかけたらエエやろ! お前の思考回路はショートしてんのか?
「まあ、イイや。ルヴィ、散歩だぞ」
なんか小さくなったミノ子さんからルヴィを受け取り、背中におんぶした。
「マスター。わたしもご一緒していいですか?」
「構わぬでござるよ」
と、どこぞのテツローくんスタイルにする腐王さん。コスプレかな?
「普通にするってことができんねかね?」
「ブーメラン芸ですか?」
おっと。頭に刺さるところだった。さあ、村へレッツゴー! なにがあるかな~?




