1771 獣に人権なし
ルヴィが眠ったので、結界で揺り籠を創り出して寝かせた。
「オレは馬車のほうにいるわ」
この部屋にイイ思い出はない。馬車のほうで外を眺めているほうが遥かにマシだ。
馬車のほうに移り、テーブルに無限ポットとカップを並べた。
「馬車で旅ってのも悪くねーな」
内装も豪華に仕上げられ、揺れもまったくない。地面はそこまでよくないのにな。なんか貴族になった気分~。
「貴族以上の暮らしをしている人がなにを言っているんですか」
ま、まあ、それはそう! 貴族なんぞ優雅に見えて裏では足をバタバタさせているしな。
「オレ、勝ち組」
あーコーヒーがうめ~。
「ん? なんか飛んで行かなかったか?」
人らしき影に見えたような? 悪霊か?
「そうですね。柄の悪い方々がひかれましたね」
「失礼。山賊がいたのでひきました」
御者と思われる声が馬車内に響き渡った。
「へー。聖国にも山賊とかいるんだ」
名前負けしてんな。あまり上手くいってないのか? 革命とか辞めてくれよな。
「雑ね」
「人間辞めたようなヤツらに同情してやる必要はねーさ」
そうなる事情があったとしても獣に落ちたら獣の未来も受け入れろ、だ。こっちに落ちた獣に食われてやる優しさはないんだよ。
「てか、あれだけひいて血もつかねーとは優秀だな。どうやってんだ?」
「関心はそこですか」
「そうだな。汚れねーってのは車に乗っているヤツ全員が望むことだ」
次に創る結界カーは汚れ対策もしないとな。
「ヴィ殿。ルヴィ殿が起きたでござるよ」
優秀な馬車ではあるが、馬車の速度は逸脱してないので、三時間以上、山道を走っていた。ルヴィも起きてしまうだろうよ。
部屋に入ると、マルゲリータや見習いどもが寛いでいた。お前ら、聖国の情報収集はイイんか? 叡知の魔女さんに怒られてもしらないからな。
「ルヴィ、よく眠れたか?」
クズることなくキャッキャとしている。お前、人見知りしないよな。こんなバケモノばかりのとこでよ。
「母親譲りでしょうね」
まあ、カイナんところも普通じゃないからな。血がそうさせてんだろうよ。
結界を纏わせ、空中に浮かばせてやり、バタバタと遊ばせてやった。
「あんたの遊ばせ方、危険じゃない?」
案外、子供好きっぽい委員長さん。ルヴィをツンツンしてちょっかいをかけていた。
「そうか? トータもこんな風に遊ばせていたぞ」
「あんたの姉弟がバケモノに育っているのがよくわかったわ。あんたが鍛えていたのね」
あの二人は勝手に育っていたぞ。バケモノになっているのもサプルやトータの能力だろうよ。
「村が見えてきました」
お、やっとかよ。聖国人とファーストコンタクトだ。




