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177 人生は常に最前線

 見た感じ癒し系モコモコ族(後ろ姿)はだが、やはり獣人だけあって動きは速いし、力もあったので荷物下ろしは十分もしないで終えてしまった。


「んじゃ、昼食にすっか」


 サプルのお弁当シリーズ、サンドイッチの詰め合わせと羊乳を皆に配る。


 まあ、大食らいのタケルには少ないだろうから、肉多目のシチュー(十人分用)を出した。


 モコモコガールは大食らいだったが、モコモコダンディらは弁当一つで充分のよーだ。


「申し訳ありません。娘は金の力を持っておりまして、力を溜めないと体の具合を悪くしてしまうのです」


「金の力?」


 なんだそりゃ? と言う言葉を無理矢理飲み込んだ。


 獣人族には特殊な力を持つものがいる。そう言う力は一族内での秘密であり、他に知らせることを嫌うらしい(人狼族の冒険者談)。


「あ、ワリー。獣人にそう言うのはご法度だったな。秘密なら無理して話す必要はねーよ」


「いえ。金の力は娘だけですが、シェラダ族が変獣化するのは知れ渡っているので構いません」


 それはよかった。礼儀に反しなくてよ。


「変獣って、姿変わんのか?」


「はい。ちょっと変獣して見ましょうか?」


 感じからしてそれほど変獣するのに抵抗はないよーだ。


「そうだな。知っておけばなんかあったときに驚かなくてもイイしな、見せてもらうか」


 知らずに狩ってたらワリーしよ。


 ではと、モコモコダンディがちょっと離れ、ふん! と意気込んだ。


 と、モコモコがぼっわっと膨れあがると、四つん這いになる。


 唖然として見てると、モコモコが膨れに膨れに、そしてデッカイ羊になった。


「……………」


 なんて言ったらイイんだろうな。


「さすがファンタジー。デッケー!」


 タケルが素直に驚いている。


 なんだろうな。この世界に十年以上生きてんのに、目の前の事実を受け入れらんねーよ。あれか? 若さゆえのなんたらかんたらか?


 変獣したモコモコダンディに近づく。


 見た目、二トントラックくらいある。


 触ると、モコモコがゴワゴワになっていて、見た目以上に堅かった。


「……これが変獣化……」


「はい。我々の戦闘化でもあります」


 確かにこんなのに襲われたら人など紙切れのように潰されるだろうし、土竜でも引き殺しそうだ。


「にしても、こんだけ凶暴な姿になれんならオークの群れでも勝てそうだがな?」


 こんなの止めれんの、なかなかいねーぞ。オーガだって余裕だろう。


「確かにオークなどと蹴散らしてやると意気込んでいましたが、奴らは数と策で我々を追い立て、棲家を奪いました……」


 ん~。なんか地雷を踏んだようだな。話変えるか。


「そっか。まあ、オークはオレが美味しくいただくからそう気に病むな。命あっての物種。過去より未来を見ろだ」


 まあ、慰めにはならんけどな。


「それよりだ。昼食が終わったら各自島を見るわけだが、日帰りにするか? それとも何泊かするか? 日帰りなら陽が高いうちに帰るからな。泊まるなら棲家を創るし、食料も置いていくぞ」


 どっちでもイイぞとつけ足しておく。


「では、三人を残していきたいのでお願いします」


「わかった。なら、そこの家でイイだろう。だいたいのは揃ってるし、この中なら火竜がきても心配ねー。軽く一年は籠城できるからよ」


「それ、どこの最前線ですか……」


「人生最前線だよ」


 未来がわかんねーから備えられるときに備えんだよ。


「まあ、さっきも言ったが、海側には気をつけて島を探索しろな。なんかあったらすぐに逃げてオレに知らせろ。海のイキモンは予測できねー動きすっからよ」


 海は神秘な世界とはよく言ったもので、人の想像を超えたイキモンがいるからな。山しか知らねーイキモンには厳しいだろうよ。


「その間、オレは島を整備してっからよ、なんか聞きてーことがあるなら遠慮なく言ってくれ」


「わかりました。そのときは尋ねます」


 うんと頷き、タケルを見る。


「タケルは、創って欲しい武器を出しとけな。帰ったら知り合いのダンジョンマスターに渡すからよ」


「はい、わかりました」


「よし。では、各自それぞれに動けや」


 オレはマ〇ダムタイムしてから動くからよ。

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