1767 出発
鱈腹食べてぐっすり眠っている見習いどもを起こさないよう外に出た。
「随分早いね」
副館長が椅子に座っていた。あなた、すっかりコーヒーに目覚めたよね。同士か?
「まーな。聖国の風土にも慣れておかんからよ」
違う土地の風や土に馴染む。体を慣れさせる必要があるのだ。あ、そんなこやってたか? なんて言わないように。やるときはやってるんです!
「まあ、気をつけてな」
「気をつけなくちゃならんことがあるのかい?」
「お前さんは、考えているようで無自覚に動いているからね、自ら問題に突っ込んでおる未来が見えてしまうんだよ」
「ベー様、上手く行かないと現実逃避しちゃいますしね」
受け入れられない現実なら逃避するしかないやろがい。やって来る問題が飛び抜けてんだからよ。
「ふふ。まあ、がんばるといいさ」
がんばるか。オレの辞書には小さくしか載ってないな。好きなことを好きなだけやっているときは努力しているわけでもなければがんばっているわけでもないからな。ただ、好きを求めているだけさ。
「またな」
「ああ」
副館長と挨拶を済ませ、エリナを見た。
「では、行くでござるよ」
シュンパネを掲げ、聖国へと移動する。
視界が歪み、正常に戻ると、なんか山の頂上だった。なぜ?
「ここは、帝国と聖国の国境でござる。あそこに見えるのが唯一の道らしいですな」
国境からスタートか。まあ、それも悪くはないかもな。
「マルゲリータさん、ここから聖都ってどのくらいだ?」
「マリゲータよ。ほんと、マルゲリータってなによ!」
「マリゲータ殿、これでござるよ。せっかくだから朝食にしましょうぞ」
どこからか板に乗せたピザを出した。できあがりホカホカのを。
「お前、ピザとか作んの?」
「拙者が料理する女に見えますか?」
い、いや、まったく見えないな。今の今まで料理するイメージなど欠片もありませんでした。
「じゃあ、どうしたんだ?」
「マンションの厨房でチャーニーが作ってくれておりまする」
チャーニー? 誰だ?
「男の娘な夢魔な子ですよ」
あー……いや、思い出せないな。そんなヤツいたっけか?
「ま、まあ、そう会うような間柄でもございませぬし、思い出せないのなら構わぬでござるよ」
それもそうだな。てか、朝からピザかよ。胃もたれしそうだな。食うけどよ。
「これがマルゲリータなんだ。美味しいですな」
「これに炭酸がよく合うでござるよ」
「お前、リッチだよな? ピザなんて食うのかよ?」
エナジードレインだよね、君の食事法。体を改造したのか?
「この肉体はホムンクルスでござる。普通に食べて普通に排泄するでござるよ」
「食事中に止めろや。お前の体に興味もねーわ」
こいつのことは一種の記号にしか見えてない。いや、腐王としか思ってないわ。女と名乗ることがおこがましいわ。
「てか、飲み物ねーの? 口ん中こってりだわ」
「それなら炭酸で流すとよいでござるよ」
ペ○シか。そういや、ペ○シを飲む猫がいたっけ。まだ生きてっかな~?




