1766 人生は自由だ
とりあえず、ルヴィを結界で背中に背負うとする。
「名前、忘れないんですね」
「子供の名前を忘れるとか外道だろう」
「なんだろう。ベー様を殴りたいです」
幽霊の体なら好きなだけ殴ってくれて構いませんよ。ただ、視界が遮るので頭は止めて。殴るならボディーにしておきな。
「……お前さんは、人とは違う時間の流れをしているのかい……?」
「副館長と同じ時を生きているよ」
そっちがウラシマ効果が働いてんなら別だがよ。
「お前さんの子かい?」
「オレはまだ十一歳だよ。子を産ませるなんてことできねーわ」
いや、できるヤツもいるかもしれんが、そんなことさせるヤツは極刑にしてやるわ。
「うちに預けるのかい?」
「預けるか。自由に生きさせるよ」
魔女になりたいってんなら止めはしないが、なにかに育てるつもりはない。自由に、自分らしく、後悔のない人生を送らせてやるために育ててやるさ。トータもそうだったし。
「お前さんみたいに育つのか。それは迷惑だな」
失礼な。トータはイイ子に育っているぞ。
「迷惑なのはベーだけじゃない」
だからメルヘンは黙ってろや。あと、オレの頭の上で飲み食い禁止だ。
「薬も溜まったし、そろそろ聖国に向かうよ。聖国ってどっちだい?」
「マリゲータのこと意図的に忘れているようだが、連れて行かんと困るぞ」
クソ。忘れてくれていると思ったのに!
「ハァー。魔女にまともなヤツはいねーのかよ」
「お前さんと比べたら遥かにまともだよ。自分だけが正常だと思うな」
ヤダ。副館長、辛辣~。
「ハァ~。そのマルゲリータはどこだ?」
「マリゲータ様なら創造主様とおります。すぐにお呼びします」
ドレミが現れてそんなことを告げた。うん。見えないだけでいたっけね、ドレミさんって。
「──お待たせしたでござる」
転移バッチもないクセにどこでも現れるよな。ドレミが鍵となってんのかな?
「チビッ子さんと委員長さんは?」
「確保してある」
確保?
疑問に思っていたら見習いどもに連れて来られた。いや、連行されて来たか? 自分たちより下の見習いに雑に扱われるとは。
「餌付けされたのでは?」
そうかそうか。イイ駒ということか。なら、カイナーズホームで買ったものを収納鞄に入れてくれてやろう。将来、オレの駒として期待しているぞ。
「明日の朝、出発でイイか?」
「了解でござる。シュンパネで聖国に行って来たのでご安心召され」
変なところで仕事が早いんだよな、こいつは。
「今日は、手伝ってくれた礼として旨いもんを食わせてやるよ。腹空かせておけよ」
キャー! と喜ぶ見習いども。ククッ。可愛いヤツらだ。




