1765 子育ては任せろ
「ハァー。しゃーねーな」
「いいんですか!?」
「子育ては大変だからな、初産のレニスには辛いだろうさ」
まだ十七歳。いや、十八歳か? まあ、この時代なら珍しくもないが、カイナの娘として息苦しかったんだろうよ。オレに預けるくらいだから。
「おーよしよし。ミルクはあとで飲ませてやっからな」
まずは見習い魔女のことが先だ。
「慣れてますね?」
「トータの面倒をよく見ていたからな」
サプルはまだオトンが生きていたから問題なくオカンが世話をしていた。まあ、歩けるようになったら放置してたがな。サプル、一人でなんでもできたから……。
「おう。ちょっとイイかい?」
厨房のメイドに声をかけた。サプルはいないようだ。
「はい、どうなさいました?」
赤鬼のメイドさんがやって来てくれた。
「大図書館の見習い魔女で、今日から厨房で面倒見てくれるかい? 料理を学ばせたいんでよ。住むところも頼むわ」
「期限はあるので?」
「うーん。ねーな。まずは一年くらい頼むわ。そのあと続けるかどうかは大図書館と相談するよ」
どこまでの腕にするかは大図書館次第。一年修業させてから尋ねたらイイさ。
「わかりました。お給金はどうします?」
「小遣いくらいは渡してやってくれ。給金を渡しても大図書館に取られるだろうからな」
働かせに来たわけじゃなく修業しに来たのだ。給金より小遣いのほうが大図書館も文句は言わんだろうよ。
「わかりました。メイド長と相談します」
「あ、メイド長にはよろしく言っておいてね。お願いだよ。あ、これ、料理人たちで使って。いつも美味しいものをありがとね」
メイド長が怖いので赤鬼メイドに十万円を握らせた。ひ、秘密だよ。
「わかりました。お任せください」
うん、本当に任せたからね。メイド長を怒らせないようにお願い致します。
「お前ら。なんかあればここに来る魔女に相談しろな。じゃっ!」
速やかに撤退。メイド長に捕まったら怖いからな。
館から出て転移バッチ発動。大図書館へと飛んだ。ふー。
「連れて来ちゃいましたが、よかったんですか? カイナ様に預けるかレニス様の故郷に連れていくべきでは?」
「レニスがオレに任せたってことは普通に育てて欲しかったんだろう」
カイナではミリタリー好きに育つし、バリッサナでは冒険者ギルドを手伝わされそうだ。レニスはそれが嫌でオレに預けたんだろうさ。
「迷惑には思わないんですか? いきなり赤ん坊を押しつけられて?」
「さっきも言ったが、別に赤ん坊の面倒くらい苦じゃねーよ」
トータを育てたのはオレだと言っても過言ではない。背負いながら生活していたくらいだ。オレに任せろ、だ。




