1757 性別を超越
一服をしたら煎じを再開させた。
「ベー様。暗くなってきましたよ。どうします?」
「それなら上を使うとよい。寝泊まりはできるようになっているから」
「イイのかい? 野郎のオレが魔女の領域に泊まったりして?」
男子禁制だろう?
「お前さんは性別を超越したような存在だ。構わないさ」
いやオレ、男としての矜持を捨ててませんけど。それどころか男の魂を大切にしてますから。漢と書いて男と読むくらいには男ですから!
「お前さんは、その子らを女と見てないだろう」
「あー。お前ら女だったな。逆に性別を超越したようなヤツらだったから女として見てなかったわ」
「魔女って言葉の意味、わかってます?」
「魔女って生き物なだけだろう。そこに性別なんていらねーよ」
狼のメスも狼ってくらいの感覚だ。色気もない小娘が女を語るなど二十年早いわ!
「やっぱりベー様って熟女好きですよね」
君はなにを言っちゃってくれてんの! 誤解を与えるようなこと言わないでくださいませ!
「イイ女が年上なだけだ」
人間的に成熟したヤツを尊敬しているだけだ。そこに男も女も関係ない。人として好感を持っているにすぎないんだよ。
上へと続く階段は見えていたのでさっさと逃げ出した。副館長さんに変な誤解を受けたら嫌だからな。
二階に当たるところだが、寝泊まりができると言っていたとおり、ゴザらしきものが敷かれていた。
「囚人か」
いや、雑魚寝か。まんま寝泊まりしかできないところだった。
無限鞄からマットレスやクッション、ちょっとした棚、丸テーブルを出した。
「窓もねーのかよ」
「倉庫ですからね」
仕方がないので結界抜き! で屋根の部分を取り払い、結界で窓を創り出した。あ、カーテンがなかったわ。
「まあ、朝になったら改築するか」
これくらいなら余裕で作り変えれる。オレの日曜大工力をナメんなよ、だ。
「ベー様。トイレもお願いします。ユウコさんが行きたい感じです」
「あいよ」
幽霊だから我慢もできんだろうよ。漏らしたらユウコさんの尊厳に関わるしな。
あらよっと、で結界トイレを創り出した。トイレットペーパー、あったっけ? あ、あったあった。買っててよかったカイナーズホーム~。
「やっぱ、聖国に行く前にちゃんと揃え直さないといかんな」
無限鞄も軽くなってきた。
「てか、物質文明に毒されて来てんな、オレ」
食に苦しみながらも自給自足を楽しんで来たのにな。現代人の魂を持っていると楽ばかり考えるぜ。
「お、ウサギの肉が残ってるじゃん。焼き串にして食うか」
炭はたくさんあるし、塩とタレもある。コンソメもあるからスープも作れそうだ。
結界窓を開け、テラスを創り出して結界コンロでウサギ肉を焼くとする。
「うん。オレが求めているのはこういうのなんだよな」
こんなのんびりとした日々がなによりの幸せなのだ。




