1756 イイ経験
千年に一人の逸材、ね。
そう言われてもなんも嬉しくねーな。オレは悠々自適に、スローなライフを送りたいだけなんだからよ。
なんか興が削がれたので薬を煎じることに集中した。
「連れて来たわよ」
委員長さんがチビッ子さんを連れて来てくれた。
「ワリーな。この薬を煎じてくれ」
ついでだから足りなくなった薬をチビッ子さんにも煎じさせよう。
「……また面倒なことに巻き込まれるのね……」
やれやれ。チビッ子さんはネガティブだね~。イイ経験ととらえろないのか? 外国に行けるなんてこの時代じゃ異世界に行くより貴重なことなのによ。
「あはは。大図書館の問題児たちも真の問題児には勝てないんだね」
もう問題児とか言ってんじゃん。黄金世代(笑)か? どんだけなんだ、こいつらは?
「こっちから預けたのは元気にやってんのかい?」
「楽しくやっておるよ。少し前に帝都を探索したとか報告があったね」
「……わたしたちは毎日辛いってのに……」
「……なんの差よ……」
なんか嘆いているお二人さん。こちらが預けている者らより貴重な経験をさせてやってるじゃねーか。誰にもできない経験だぞ。
「いい子に育っててなによりだ」
「ベー様にヘイトが向いてますけどね」
ヘイトてかどこで覚えて来たんだよ? さらっと使ってんじゃないよ。
「ふー。一息つこうか」
久しぶりに集中したから疲れた。やっぱ日頃からやってないと鈍るものだな。前はもっと煎じれてたのによ。
「副館長さんたちも一服どうだい?」
無限ポットを出し、結界コップを創り出して見習いたちの分も注いでやった。
「苦いなら砂糖とミルクを入れるとイイ。茶菓子は好きなだけ食いな」
たい焼きとメロンパン、あと、みたらし団子があった。これだけあれば足りんだろう。
「美味しい!」
「ねー!」
見習いたちが笑顔を咲かしている。
「大図書館はちゃんと食わせてんのか?」
「食わせておるよ。変な疑いは止めておくれ。こんなものは帝都でもないものだよ」
「そばかすさんが食に溺れるのもよくわかるよ」
「あ、ライラのことです」
「あーあの食いしん坊かい。確かにこんなのを食っていたら発狂しそうだね」
「あれは大事にしろよ。一番将来を背負って立つ魔女だからな」
あれは伸びる。十人の中で一番人生をエンジョイすることだろうよ。
「お前さんが言うかい」
「そばかすさんは旅に出させれば魔女の才能を持った者を集めるだろうよ。そんな運を持ったヤツだからな」
「……心に止めておくよ……」
やるやらないは大図書館が決めること。持ちつ持たれつな関係になったのだ、忠告だけはしておこう。
「うん。久しぶりのみたらし団子はウメーな」
そして、コーヒーうめ~。




