1754 副館長
「アリタールだよ」
魔女とは思えないほど農婦みたいなおばちゃんである。魔女と言われなければわからなかっただろうよ。
「オレは、ヴィベルファクフィニー・ゼルフィング。村人だ。名前は長いんでベーと呼んでくれ。薬の材料をもらいに来た」
「そうかい。必要なだけ、とは言えないけど、可能な限り用意するよ。なにが欲しいんだい?」
「水虫に効くものと、腹下しのもの、下痢止めのものを頼むよ」
「聖国に行くのかい?」
「……よくわかったな……?」
「聖国からの報告書は読んだからね。あの国はジメジメした地であり、水もよくない。よく雨が降るから革靴を履いたままだ。水虫になるのも多いんだろうよ」
「スゲーな。あの報告書でわかるとは」
「お前さんだってわかったんだろう。それほど難しいもんじゃないよ」
まあ、読めばわかるような内容だ。副館長でもちゃんと報告書を読んでいることがスゲーのだ。
「それならたくさんあるから好きなだけ持っておゆき。こっちだよ」
案内された場所はよくある倉庫。でも、中は材料に適した温度になっていた。ちゃんと管理にも魔法を使ってんだな。
「大図書館じゃなく薬物館にしたほうがイイんじゃねーの?」
ちゃんと整理されており、ガラスケースに入ったものまであり、ちゃんと名前となんの効果があるかも書いてある。解熱にこんな根っことか使えるんだ。
「土地が違えば使うものも違うんだな。これは、品種が違うのか?」
見たことはある花の球根ではあるが、色やサイズが違う。まだまだ学ぶことは多いってことだな。
「これだけあると迷っちまうな。チビッ子さんも連れて行くか」
植物に長けた見習いだったはず。聖国の植物を記録させておくか。
「名前は覚えられないのに、そんなことは覚えているのね」
「オレは中身を重要視しているからな」
キラン☆
「暗いので歯は光ってませんよ」
やん。そんなこと言っちゃイヤン!
「委員長さん。チビッ子を連れて来てくれ。一緒に煎じさせよう」
あちらで煎じるよりここで煎じっていったほうがイイやろう。器材も十二分に揃っているだろうからな。
「作業場とか借りてイイかい?」
「構わないよ」
「ありがとな」
それなら他のものも煎じるか。足りないものもあるしな。
結界の器を創り出し、材料を入れて行く。
「傷薬の材料ももらってイイかい? 売るなら回復薬より傷薬のほうがイイからよ」
「それなら完成品がある。見習いが煎じたものだけどね」
「それはありがたい。簡単な割に手間がかかるもんだしな。いただくよ」
オレも最初にオババから教わったのは傷薬だっけ。まあ、一日でマスターしたから懐かしいもないんだけどよ。




