1749 幽霊子(ゆう れいこ)
「そなたはバカなのか大胆不敵なのかバカなのか、なんなのだ?」
うん? バカが一つ多くありませんでした? いや、バカ野郎であはあるからバカは褒め言葉だな。えっへん!
「なぜドヤれるんだ?」
「そう褒めんなよ。照れるだろう」
「どこに褒め言葉があったのよ? 蔑みしかなかったわよ……」
え? そうなの!? 褒められたのかと思ったよ。
「もういい。で、マルゲラがどうした?」
「ユウ子さんの提案でマルゲラを魔大陸で飼おうと思ってな。けど、どこにいるかまでは知らないようだ。知ってるみたいだからどこにいるか教えてチュンマゲ」
「あ、チュンマゲは髪型みたいですよ。なぜ言葉の最後につけるかはわかりませんが」
説明ありがとう、ユウ・レイコさん。あ、憑依したとき、幽霊子でイイんじゃね? 幽が名字で霊子が名前。なんかしっくりくるわ。まあ、明日には忘れてそうだがな。
「あまり意味はないのだろう」
「語尾になにかつけるのは若者特有のことなんだぜ」
「若者と言っている時点で自分は若くないと言っているようなものだ」
出そうになる言葉を無理矢理飲み込んだ。目が険しかったから。気配だけで命の大切さを教えてくれる魔女さんだよ……。
「マルゲラなら帝国の端、聖王国に分布しておる。帝都にも流れて来ているようだが、死んでいると聞いたことがある」
「へー。珍味好きはどこにでもいんだな。いや、薬の材料か? 生き血は栄養があると聞くしな」
前世じゃ高級食材で食ったこともなかったが、映像なら見たことはある。生き血を酒に混ぜて飲んでたっけ。
「中身が破天荒でも薬師なのだな」
「オババに一から仕込まれたからな。あと、吸血鬼のマッドにも教わったよ」
「凶血のプリグローグか。あんな伝説とも知り合いとはな」
「へー。先生のこと知ってんだ」
「若いときに図書館で見た」
「先生のことだから忍び込んだんだろうな。引きこもりなクセに知りたいとなると、スゲー行動力を見せるから。でか、大図書館の魔女でも先生に勝てねーのかよ」
準魔王と言っても戦闘特化な吸血鬼ではない。魔女なら勝てんじゃないの?
「前館長が気絶させられていたよ」
「先生に代わり謝罪します。ごめんなさい」
弟子として先生の後頭部をハリセンで殴っておきますんで。
「あー。ご主人様が大量の本を抱えて戻って来たときがありましたっけ。あれ、大図書館から奪って来たんですね」
「昔から碌なことしてねーな、あの先生は。討伐したいなら協力するぜ」
あの先生は一度痛い目に遭わないとダメだろう。灰になるまで痛めつけられるとイイ。
「するか。こちらにも被害が出るわ。奪った本を返すよう伝えてくれ。その間の貸しはそなたからいただく」
えー! ってまあ、仕方がないか。あんな先生の弟子をやってんだからよ。
「わかったよ。しっかり返させてもらうよ。見習い魔女を通して、な」
委員長さん、ガンバレ!




