1747 霊子さんと幽子さん
しばらく桜花村でお世話になるとする。
「鍬を振るの、久しぶりだな」
村人設定どこに行った? とかチクチク言われそうだが、村人だからって農業をする決まりはございません。村で生きられたら正真正銘、村人なんでござるよ。
「なぜわたしまで?」
「肉体があるんだから働け」
まあ、働いてんのは幽子さんだけど!
あ、幽子って文字だっけ? とかはなしよ。オレは感覚で生きる男。名前なんてあってないようなものなのだ。
「哲学かなにか?」
メルヘンに一番いらないヤツ! 脳内お花畑で生きて行けや!
「しかし、地竜のフンは絶大だな。陽の光が届かない地を豊かにすんだからよ」
「ベー様の結界光のお陰では?」
「それでも育つんだからスゲーよな」
何千年と陽の光が届かない地で生きてきた魔大陸の芋が陽の光で立派に育っている。茎が濃い緑に染まっているよ。
「品種改良されても元からある力は残ってんのかね?」
異世界の植物はよーわからんわ。
「ベー様。猪を捕まえて来ました」
なんかデカくてゴッツイ車で狩りに出たミタさんが猪と言い張る生き物を連れて帰って来た。
……どうやって捕まえたんだろう? 相変わらず意味不明なミタさんだよ……。
「魔大陸にはこんなのまで生息してんだな。食えんの?」
逆に食われそうな姿ですけど。
「調理次第ですね」
まあ、ミタさんなら食えるようにすんのもわけないだろうよ。万能メイドだし。
「解体するなら手伝うぞ」
このくらいの獣なら余裕で解体はできるぜ。さすがに竜とかは無理だけど!
「いえ、肉を柔らかくするために芋の茎と豆を五日くらい与えます」
「五日くらいで肉が柔らかくなるのか?」
「柔らかくというより臭みをなくす、ですかね。臭みが消えたら肉が少しだけ変わりますので」
へー。どんな味になるか楽しみだ。
「ベー様。穴を掘ってもらえますか? 逃げないくらい深くしてもらえると助かります」
「あいよ。任せておきな」
そういう作業ならお手のもの。お任せあれ、だ。あらよっと。
アフリカ象くらいのサイズなのでオレの力ではなんともできないが、ミタさんの魔法で支配しているようで、スロープを伝って穴に入れた。
「家畜化するのは無理っぽいよな」
やっぱり全長一、二メートルサイズじゃないと飼育するのは大変だろうよ。
「魔大陸で飼えそうな家畜っていねーもんかね?」
「地上で飼うのは諦めて湖を利用してものを飼うのはどうでしょうか?」
「湖で飼う?」
「はい。遠い国にマルゲラって亀がいるんですが、滋養強壮にいいそうですよ」
滋養強壮? 亀? スッポンか?
「昔過ぎて場所は思い出せませんが、大図書館なら知っているんじゃないでしょうか?」
なるほど。知識の宝庫。わからないことは大図書館に頼りますか。




