1746 紅緑の民
「若いの。巨人──ではないな。紅緑の民って名前にしようかの」
「紅緑暦からですか? てか、老師様は日本語が読めるのですか?」
まあ、タケルも日本語は読めて当然。読めるオレに驚くわな。
「知る者が知る文字だ。探求者の間ではよく知られておるよ。お前さんはなぜ知っておるのだ?」
「え? あ、な、なんと言いますか、国の文字なんです。それで読めたんです!」
転生者であること秘密にする考えまでは消えてないんだな。
「そうか。わからない文字が出てきたときはお前さんを頼るとしよう」
「あ、おれ、そんなに詳しいわけじゃないで、あまり期待しないでくださいね。アハハ……」
勉強してこなかった口か? 困ったヤツだよ。
「ここは、ダークエルフの村に近い。少し離れた土地を開拓するとしよう」
「こんな暗いところで作物が育つんですか?」
「土がよいから根菜類はよく育つらしいぞ。あとは、魔法の光で葉物類を育てることも可能だ」
太陽の光が届かなくても育つのだから不思議だよな。
五キロくらい歩き、湖に流れ込むイイ感じの川があった。
「ここを開拓しようかのぉ」
ドン! と地面を叩いて基礎となる家を創り出した。
「若いの。何人か連れて木材を集めて来るとよい。転移バッチなら一瞬じゃ」
収納鞄をタケルや紅緑の民の何人かにくれてやった。
「わしの手伝いはここまで。自分たちの村は自分たちで築くとよい。若いの。お前さんもいつまでも手を貸したりはするな。自分たちの手で開拓しなければいつまでもお前さんを頼るようになるからのぉ」
新しい土地で生きると決めたのなら自分たちでなんとかしろ、だ。
「持ち込んだ麦で先ほどの村で作物と交換するとよい。巨人門はこちらに移動してやるでな」
結界は簡単に創れるので問題ナッシング。あらよっと。
「わしらは行く。またどこかで会おうぞ」
タケルの成長も見れた。なら、あとは自分の冒険を続けたらイイ。オレはオレのスローライフを続けるだけだ。
桜花村まで戻り、ミタさんに紅緑の民の様子を見るようお願いした。あ、老師の姿は解除しました。
「村はどうだい? 発展はしているようだが」
「はい。順調です。芋の収穫も思った以上に豊作でした。草も生えてきたので家畜を飼おうかと思っています」
「家畜か~。こう薄暗いと、神経が図太い家畜じゃねーどダメかもな。陽の光もねーと育たねーし」
「はい。それが問題でして……」
「陽の光ならオレが用意してやるよ。まずは猪とか飼ってみるとイイかもな」
あいつらの生存能力は高い。魔大陸でも生きられんだろうよ。
「猪以外の家畜も探してみるよ」
魔大陸が豊かな地になってくれんなら多種族多民族国家として拡大できる。発展は急務だろうよ。




