1745 曰くつきの暗雲か?
「やる? やらない? どっちよ?」
「……やるわよ……」
「よろしくお願いしま~す」
全身全霊を籠めて満面の笑みを見せたら殴られた。イ、イイパンチだぜ……ガク……。
「なんの茶番ですか? まあ、いつものことですが」
幸子さんが消えたら起き上がった。
「いや、少しでも恨みを発散させておこうと思って」
「恨まれても構わないとか言ってませんでした?」
いや、恨まれないならそれに越したことないじゃん。魔女、おっかないもん。躊躇もなく殴ってくるヤツらだよ。殴られるくらいで済むならオレは殴られようじゃないか!
「威張れることじゃないですけどね」
「オレは我が身が助かるならプライドは捨てる男だ。ドヤ!」
「ドヤることでもないでしょう。いえ、それがベー様でしたね……」
そう。それがオレ。ヴィベルファクフィニーだ。あ、オレの名前、覚えてた? オレは忘れてた。いや~、思い出すのに時間がかかったよ。アハハ~
。
「さて。桜花村に行くか。ミタさんにも話を通しておかんとならんからな」
ミタさんもすっかり農業女子になったよな。このままメイドを辞めちゃうのかな?
「まっ、それならそれで構わんがな」
ミタさんの人生だ。好きにしたらイイさ。悔いのないよう生きて行け、だ。
転移バッチ発動。桜花村へ──で、到着。夜のないところから薄暗い世界で生きるとか体を壊しそうだな。
「てか、なんで魔大陸って暗いんだ?」
一応、夜はあるからあの暗雲が原因なんだろう。なんか曰くつきの暗雲なんだろうか?
「調べますか?」
「大陸を覆うほどの暗雲だ。なんか理由があんだろうよ。その理由を知らないのに払ってもしゃーねーよ」
きっと転生者とかが関わってんだろうよ。運命が動いたら関わるはずだ。大変な出来事ならノーサンキューですけど。
「小さくするとドワーフと見分けがつかねーよな」
「大きさって大切なんですね」
暗いことに戸惑ってはいるが、それ以上に小さくなったことに驚いている。無理もないけどよ。
「ベー様! これは何事ですか!?」
作業服が似合うようになったミタさんが駆けて来た。
カクカクシカジカ丸い描いてちょん、ってわけですよ。オッケー?
「……ベー様の説明は理解するのを拒否しますよ……」
「あるがままを受け入れるのです」
「受け入れられないんですよ、ベー様が関わると!」
それ、オレのせいじゃないよね? 出来事が大きすぎるだけだよね。オレは巻き込まれただけだし。
「開拓要員だ。ここを豊かな土地にしろ。そのために連れて来たんだからよ」
数こそパワー! パワーで開拓しちまえだ!




