1744 遺産
「紅緑暦はいつなのかわかりますか?」
「さあな。数千年前でこの中でしか通じん暦だろう。考えるだけ無駄だよ」
基本なる暦がないのだ、大まかなことしかわからんだろうよ。
「大図書館としてはなにを重要視してんだ?」
「巨人よ。これまでの歴史に現れなかったのよ。大図書館としては調べるのは当然じゃない」
まあ、そうれはそうなのだが、カラクリが見えるオレとしてはまったく琴線に触れない。転生者の能力でドワーフをデカくしたってオチだからな。
……なぜ巨人にしたかまではわからんがな……。
「本があったら小さくするから遠慮なく言ってくれ」
大事な本なら持って行っただろうがな。残ってたとしても大した内容ではないだろうさ。
「では、来てください」
あれ? たくさんある感じ? やん、引っ張らないで~。
幸薄そうな顔して力が強い。魔女じゃなくてトレジャーハンターになって銃でもぶっ放してなよ。
石を組んだ家に入り、半地下に下りたら書庫みたいなところがあった。こんなに残して行くなや。
「さすがにこれを大図書館がもらうのはダメだろう。借りるってことにして書き写せ。これ、なんか魔法がかけられているだろう。外の文明からして本の作りが飛び抜けている。かなり貴重だぞ」
製本技術が二十一世紀だ。そこに魔法を使われていたら二十三世紀くらいになってんじゃね? データ化しろって無粋だから止めてくださいね。
「もちろんよ。大図書館は歴史博物館ではないわ。知識を残す書士。内容を写しが書きさせてもらうわ」
たまに立派なことを言うから切り捨てられないんだよな。まあ、叡知の魔女さんはオレの考えなどお見通しだろうがな。
「なら、魔女ルームからここに続く転移結界扉に巨人になれる機能も足しておくよ。それなら巨人も研究できんだろう」
巨人の島が残せるならそれに越したことはない。移住したヤツらも帰りたいと言い出し兼ねないしな。保険はあったほうがイイだろうよ。
「そうね。巨人の暮らしも見れていいわね。他の島も見て回りたいのだけれど」
「それならプリッシュⅣ世号を使ってイイよ。しゃべるオーガとかもいるし、交流を持ってみるのもいいんじゃねーか? 他の島にもなんかいそうな気がするし」
さすがにすべての島を回っていたら浦島太郎になりそうだ。不老な感じの魔女に任せるとしよう。オレは得られた情報をもらうだけで満足だし。
「また丸投げ?」
「嫌ならやらなきゃイイだけだ。オレは嫌なことを強制することはしねーからな。やるやらないは幸子さん次第だ」
「サチコってわたしですか?」
「幸多かれと願って名付けた」
幸子は日本語響きだけどな。
「ベー様と出会った時点で幸はないと思いますけどね」
貧乏神みたいに言わないで! これでも幸運の台座なんだからね!
「……なんの自慢よ……?」
貧乏神じゃないって言ってんの!




