1473 終わろうとしても
「巨人門。ここからいろんな種族が住む王国に行ける。そこでどう生きるかはお前さんたち次第じゃ」
移住に承諾した巨人を魔大陸に送り込む。
本当はクレインの町にと思ったが、巨人なら魔大陸のほうがイイと思ったのだ。あちらの開拓をやってもらいたいしな。
巨人たちが門を潜って行く。
「わしらは転移バッチで向かうとするかの」
通れるのは巨人だけにした。ここを守るために、な。
「見習いさんたちはどうするんですか?」
憑依してんだからオレの背後に立たないでよ。
「若いの、ちょっと来い」
タケルを呼んで転移バッチを渡した。
「それは転移バッチ。一度行ったことがあるところなら一瞬で飛んで行ける魔道具じゃ。ただし、密封された空間では使えん。気をつけるんじゃぞ」
「○ーラですね」
かもしれんが、名前を出すんじゃありません。メッ、ですよ。
「わしにつかまれ」
タケルを連れて魔大陸へレッツらゴー! 久しぶりに魔大陸へとやって来た。
「……暗いですね……」
「そういう土地じゃ。そこら辺を歩いて風景を覚えろ。そしたら戻って来るがよい。わしは先に戻る」
アデューで巨人の島に戻って来た。
「見習いたちはどこだ?」
「集落のほうにいるみたいですよ」
ってことなので集落に向かってみた。
「明日、世界が終わろうとしても今日、私はリンゴの木を植える、だな」
本当にそんなことをするヤツがいるとはな。カバどもも同じだったのかもしれんな……。
「なんです、それ?」
「明日は必ずやって来る。だから今日もわたしは同じ仕事をする。そんな希望の言葉さ」
「……希望なんですか、それ……?」
「まあ、希望と思うヤツもいるってことさ。オレはコーヒーでも飲みながら世界が終わるのを待つけどな」
それもまた人生の終わり方。オレは悔いないしと笑って死ぬさ。
「ベー様らしいですね。でも、幽霊になるのも楽しいですよ」
変な誘いをすんなや。幽霊になるくらいなら地獄に落ちたほうがまだイイわ。
「ベー。いたわよ。あそこ」
だから頭を強制的に動かさないで。モゲるわ。
「石碑か?」
巨人の身長くらいある石碑を見ている幸子さん。なんか珍しいことでも刻まれてんのか?
「読めんのかい?」
「読めないわ」
読めんのかい! 期待させんなや!
「あなたは読めないの?」
「紅緑歴十年。我らはここに降り立った。ピポポの民とともに生きる」
日本語で刻まれている。転生者は何千年も前からこの世界に送られて来てたんだな。やはり意図があってやっているだろう、転生って。
「やはり読めるのね」
まあ、大図書館にあった初代さんの墓のも読んじゃったしな。隠すこともないさ。




