1741 気が向いたら本気出す
「大図書館は便利屋じゃないのよ」
「そうかい。なら、別のところに頼むわ」
大図書館だけが押しつけられる場所ではございませぬ。オレには伝手がたくさんある。さらに薬師としての師たるオババもいる。オババが育てた弟子もいる。さらに言うならマッドサイエンティストたる先生もいる。
「あくまでも自分でやろうとはしないんですね」
オレは気分屋。気が向いたら本気出す。
「わざわざ呼び出して悪かったな。んじゃ──」
「──やらないとは言ってないでしょう!」
便利屋じゃないんだろう? なら、この話はなしだろうが。
「やってくれんの?」
「やるわよ。館長に怒られてしまうから」
縦社会は怖いね~。魔女に生まれなくてよかった~。
無限鞄から結界で梱包したロクセラ・ワイバーンの心臓の八割を魔女たちに渡した。ちょっとマン○ムタイム。茶菓子はありますか?
「そちらに行けるかしら?」
「そこの扉から行けるよ」
あ、せんべいあるじゃん。魔女も菓子には勝てんってか? バリボリバリ。久しぶりに食うとウメーな。あと、メルヘンさん。人の頭の上で食べないでくださいよ。
「……わたしたちのおやつが……」
うっせーな。あとで差し入れしてやるから黙ってろや。てか、おやつとか上司に怒られたりせんの? 大図書館、厳しいのに。
考えに入っていた薄子さんが大図書館に戻り、しばらくして若い魔女を三人連れて来た。
「先に行かしてもらうわ」
「いってらー」
まだせんべいを食べているので幸子さんたちを見送った。
「また変な名前をつけて」
「イイじゃん。幸薄そうだし、名前くらい幸せにしてやらんと可哀想だろう」
せんべいを食い終わり、コーヒーをもう一杯飲んだら椅子から立ち上がった。
「ほら、メロンパンだ。結界で包んであっから噛るまではできたてだ」
恨みがましい顔をしているので、せんべいの代価としてメロンパンをたくさんくれてやった。
「いいの!?」
「食いすぎて太ってもオレのせいにすんなよな」
そこまで面倒見れんわ。自己責任でどうぞ、だ。
「んじゃな~」
魔女ルームから出た。
「幸子さんたちはどこに行った?」
まあ、なんでもいっか。オレはオレでやるべきことがある。ガリバー──ではなく、伸縮トンネルを創らねばならぬ。巨人からだとメンドクセーよな。
あらよ、ほらよ、どっこいしょー、でハイ終わり。あー疲れた。
「いつもながら過程をはしょりますよね」
「努力は人に見せるもんじゃねーからな」
「ただ単に面倒なだけでしょう」
ハイそーでぇーす。オレの物語に細かい描写など必要ないのだよ。




