1738 可愛い子には旅をさせろ
やはりエルクセプルは湯に溶かしても効果は絶大だ。
「一度で効果は消失か」
まあ、エルクセプルは空気に触れてから効果は消失して行く。お湯に溶かすと効果は長く続くのか? それとも重くて沈殿していたのか?
「はい、それまで。湯を交換する。弟子よ。女も上がらせろ」
男女を上がらせたらお湯を交換。イイ感じに沸いたらエルクセプルを投入させた。
「よし。入ってよいぞ」
やはり湯に入れたほうが持続効果は長い。五分は持ったか?
湯が気持ちイイようで、巨人たちは三十分も入っている。そんな文化なかったのに、長いこと湯に入ってられるものだ。
「湯加減はどうだったかな?」
巨人の一人に尋ねてみた。
「とてもよかったよ。湯に入るのがこんなにいいもんだとは知らなかった」
「体中から温かいものが流れて来る感じがしたよ」
いろいろ聞くと、肌から吸収されて体を癒しているようだ。
魔女からも話を聞くと、男と大して変わらない。そこに男女差や年齢差はないってことか。
「しっかり記録しておいてくれよ」
「そっちは老師が纏めてよ。わたしたちは聞いていないんだから」
そうだった! クソ。そこまで考えてなかったぜ。
「効果を見るために次は午後──はないか。昼──もないわな。メンドクセーな、ここ!」
仕方がないので一仕事させてから風呂に入らせることにした。
その間に、巨人たちの感想を紙に書き出すとする。久しぶりに文字を書くと手が痛くなるものだ。
「老師さん。少しいいですか?」
もうちょっとで書き終わろうとしていたらタケルが巨人の少女と猫耳ねーちゃんを連れてやって来た。
「どうした?」
「この子を小さくしてもらえますか? おれたちの仲間になりたいと言うので」
「あいよ」
巨人のねーちゃんを見ながら伸縮能力を発動。イイ感じに小さくした。
「あと、これをやるから外の二人を連れて来るとよい。まともな食事がしたいんでな」
シュンパネをタケルに渡した。
「老師がなぜこれを? これって自称村人が持っていると聞きましたが」
誰が自称じゃい! 正真正銘村人だわ!
「わしもいろいろ旅をしておる。その少年とも顔見知りじゃ。あの村にはよい腕の薬師がおるからな」
そこ。笑いを我慢すんな! 耳引っ張ってやんぞ!
「お前さんもたくさん旅をして、たくさんの人と出会うとよい。見聞の広さは自分の強さとなる。お前さんの知る冒険者はそうやって身も心も強くしたのだからな」
可愛い子には旅をさせろ、とはよく言ったものだ。旅に出てイイ顔をするようになってんだからな。
「わしは、お前さんの過去は知らん。だが、よい顔をしているぞ。男の顔だ」




