1737 結界薬湯
朝になり、結界部屋から出ると巨人たちが集まっていた。なに!?
「足が痛くて診て欲しい」
「肩が固くなって動かないんだ」
おいおい。オレは医者じゃなく薬師だよ。そう紹介されたよね?
「老師。エルクセプルは効果がありましたよ」
「そりゃ、伝説の薬だ。効かないわけがないわ。逆に効かない症状を知りたいよ」
いや、巨人な状態でも効果があるのは朗報だ。効果があるところを見たかったよ。
「エルクセプルもそうあるわけじゃないからのぉ~」
効果がある竜なんて早々いるわけもなし。今ある材料では高級薬草がやっとだろうよ。
「巨人となると手持ちの薬では足りんの。はてさてどうしたものか……」
ここは一休さんのスタイルを借りるか。座禅をして考える。
ポクポクポクポクチーン。
「風呂にするか」
「風呂、ですか?」
「巨人を見る限り、大きな外傷は見て取れない。足が痛いとか肩が動かないとかだ。年齢も高そうだし、温泉──いや、薬湯か。それを作るとする」
巨人たちの説明はカーチェに任せ、オレは砂浜に移動した。
海との距離からしてこの辺か? ふん! と地面を蹴って砂の壁を作り出した。
一応、男女別にしておく。いや、混浴にしたほうがハッスルするか? うーんまあ、試してから考えるか。
土魔法で巨人が十人くらい入れる湯船を掘り、結界でコーティング。熱を発生させる結界も創り出す。これで常に沸いている状態だ。
砂の壁の向こうにも湯船を作ったら海水を掬って濾過させたら湯船にザブーン。もう一つ掬ってザブーン。さらに掬ってザブーン。結構な量になるな。
熱結界で温まるまで待ち、エルクセプルを巨大化させてお湯に溶かした。
……伝説級なだけに精神がごっそり持って行かれたな……。
「これは薬湯じゃ。湯に薬を混ぜた。のぼせるちょっと前まで入るといい。それで体の痛みは収まるはずじゃ」
エルクセプルは飲み薬ではあるが、肌からも吸収する。どのくらいの時間か調べるイイ機会だぜ。
「弟子たちは女を頼むぞ。エルクセプルの薬湯だ。効果をしっかり記録しておけよ」
「ハァー。報告が増えて行くばかりだわ」
コクコク。
「それが役目じゃ。しっかりやれよ」
魔女、ほんと役に立つヤツらだぜ。怖いから心の中だけで呟くけど。
「まずは年寄りから入れ。若いのはもしものときは湯から上げろ」
そう指示を出し、年寄りを十人入らせた。湯は常に交換しなくちゃならんな。
「老師。エルクセプルはまだあるので?」
「あと三十本ってところじゃな。結構な数を使ったよ」
「竜の心臓でないとダメなので?」
「うーん。正確に言うなら血だな。心臓は強すぎる。下手をすると不老になる恐れがある。血抜きをしたからまだ効果は抑えられたが」
オカンに食わせた飛竜はまだ若いほうだったから数十年寿命が伸びた感じになったんだろうよ。心臓病でもあったことも関係あるはずだ。




