1277 受賞者
「特別賞優勝者はバナナを見つけたハイリーさんです!」
え、なにが起こってるの? と戸惑いの方々はこのウェーブに乗ってどこかへと消えてくださいませ。
「ベー様はもっと周りがついてこれるよう努力したほうがいいと思いますよ」
オレはオレのペースで生きる! ついて来れる者だけついて来い!
「それ、孤高の道ですから」
おっと。それはゴメンこうむる。オレは誰かついて来てくれないと寂しい人間なんだよ!
「だったら周りにも目を向けてくださいよ」
ハーイ、了解でーす!
では、周りがついて来れるよう説明しよう。
メイドさんによるメイドさんのための投票により、特別賞優勝者はバナナを見つけた者に与えられることになったのです。で、その受賞式を闘技場で行っているわけですよ。オッケー?
「……この人に説明を求めたわたしがバカでした……」
そう自分を卑下すんなって。レイコさんはバカじゃないよ。
「その優しいさがムカつきます」
優しさにムカつかれたらオレはどうしたらイイのよ? 気難しい幽霊さんだよ。
メイドさんによるメイドさんのための投票と審査が行われたので、オレの疎外感がハンパない。オレ、必要か?
なんて思いもしたけど、オレの存在を示すためにはいなくてはならねー。笑顔で受賞を讃えましょう、だ。
「二位はミヤボを見つけたバイガさんです!」
普通、下位から受賞すると思うのだが、仕切っているセイワ族のメイドさんは、上位から発表するタイプなんだ。
「ってか、ミヤボってなによ?」
なぜかオレの横にいる委員長さんに尋ねた。
「これよ」
と、なんかアケビに似た毒々しい赤いものを出した。
「食えるんだよな?」
食えるから二位になったんだろうが、この毒々しい赤い色が納得させてくれないのだ。
「甘くて美味しかったわ。わたしは、バナナよりこちらのほうが好きだわ」
チョコレートに目の色を変えた委員長さんが好む味か。勇気を出して実(?)を口にした。
「……確かに甘いな……」
糖度にしたら十六はあるんじゃないか? あ、甘い桃くらいね。味は……なんだ? 枇杷? いや、マンゴーに似たような味だな。
まあ、マンゴーなんて片手で数えるくらいしか食ったことねーが、マンゴーゼリーは両手で数えられないくらい食った。その味に似てるような気がする。
「三位はリルリルを見つけたダイオールさんです!」
なんとも個性的な名前だな。アニメでそんな名前のキャラいなかったっけ?
「これよ」
リルリルがなんであるか尋ねる前に委員長さんがピンポン玉くらいの白いなにかを出してくれた。亀の卵?
「蒸して食べるそうよ」
「ベー様、こちらです」
と、メイドさんが灰色になったリルリルを出してくれた。
「色はともかくイイ匂いだな」
味は……サツマイモ? より甘いな。食感も繊維があって女が好みそうな感じだ。
「四位はシャニードを見つけたザザーさんです!」
三位までじゃねーんだ。まあ、何十種類とあったから三位だけでは文句が出そうだな。
「シャニードはこれよ」
完全にオレ担当になってる委員長さん。お世話になります!
黄色いイチゴなシャニード。味は……完全にイチゴだな。糖度は低いが、練乳かけて食ったらちょうどイイかもしれん。
「メイドさん。練乳ちょうだい」
って言ったらすぐに出された。
「お願いしておいてなんだが、よく持ってたな」
「ミタレッティー様が持参しておりました」
うん。ミタさんなら納得です。
シャニードに練乳をかけてパクリ。うん。思った通り練乳に合う。
「わたしにもちょうだい」
一個食えば充分なので委員長さんに練乳チューブを渡した。
「五位はアルを見つけたタードンさんです!」
シャニードに練乳をかけて食う委員長さんがアルを出してくれません。そこはちゃんとやってくださいよ。
「ベー様。どうぞ」
と、メイドさんが代わりに笹のような葉っぱを出してくれた。
「食えんの、これ?」
パンダなら食えるかもしれんが、人が食うには繊維が強そうだよ。
「これはお茶になるそうです」
急に変化球が来たな。まあ、元の世界にも笹茶があったし、驚きはねーか。
「これを飲んでいると太らないそうです」
うん。そりゃ五位に入るよね。ってか、シープリット族のヤツがよく知ってたな。
「植物に詳しい方だったようです」
ほーん。シープリット族にもそう言うのがいるんだ。それはなによりだ。
「ベー様。受賞者にお言葉をお願いします」
突然の振り。段取りがあるなら教えて欲しかったです。
まあ、臨機応変なるようになるがオレの人生。てきとーにいけ、だ。
席を立ち、受賞者の前へと向かった。




