1267 シープリット族の雇い入れ
一晩明けての大宴会。
なにを言っているかわからない者もいるだろう。オレもなにを言っているかわからない。朝起きたら大宴会だったのだ。
「まったくもって理解できんわ」
回復魔術があり、回復薬で死なないことはわかっていただろうが、殺し合いに近いことをしたのに、そこに満ちる空気は清々しいもので、恨みなんて一つもない様子だ。
「よくも悪くもそれがシープリット族ですから」
勝者の余裕か、それとも性格か、ルダールが悟ったような口調で論じた。
「そいつらを使う身としては大変だがな」
「ベー様なら上手く使ってくれると信じてますよ」
丸投げするの好きだが、されるのは嫌いなんだがな。ハァ~。
「そう言や、シープリット族の女ってなにしてんだ?」
シープリット族の野郎を見てたら女は家を守る性質だとは思えねー。それなりに血気盛んなはずだ。
……血気盛んじゃない女なんてこの世にいないとオレは思ってる……。
「魔大陸で開墾してます」
開墾? そんなことする種族だったっけ?
シープリット族のことなどなにも知らんが、見た目から狩猟種族だろう。土いじりなんてしたことねーはずだ。
「ダークエルフが開墾を始めたと聞いて、カイナ様がシーカイナーズ基地周辺の開墾を指示を出したんですよ」
シーカイナーズの基地ってーと、マスドライバーがあるところ、だったっけか?
「気候的に大丈夫なんか?」
キャサリーンなハリケーンが来てなかったっけか?
「嵐が来たらミサイル撃ち込んで打ち消すとか言ってましたな」
はぁ? ミサイル撃ち込んで打ち消す? アホか?
と言えないのがカイナだったりする。二十四時間撃っている姿が容易に想像できるわ。
「魔大陸の暮らしは大変か?」
「そうですな。カイナーズに家族がいるならそれなりに暮らしていけますが、そうでなければ大変でしょうな」
「だから必死、ってわけか」
シープリット族の特性かも知れんが、暮らしをよくするために命懸け、ってことか。
「カイナーズの給金もいいですが、ゼルフィング家に仕えられたらさらに暮らしがよくなります。しかも、こうして名誉と誇りを与えてくれる。命を捧げるくらいなんでもありませんよ」
そんな重い命などいらんわ! いや、命は重いけどさっ!
「シープリット族の女は戦いとかするんかい?」
「……はい。いざとなれば」
口調からいざとならなくても戦いそうな感じだな。
「ミタさん。シープリット族のメイドっているのかい?」
「いえ。いません。毛が多い種族はいろいろありますから」
季節によって毛が生え変わるのか?
「じゃあ、ダークエルフの村にゼルフィング家の別宅を造って、シープリット族の女を八十人くらい雇ってくれや。オカンを守る部隊とサプルを守る部隊を創りたいからよ」
オカンには鬼族のメイドがついているが、機動力はシープリット族には劣る。広範囲を守るならシープリット族が適任だろうよ。
サプルはオールマイティーだからそれに合わせて、いろんな種族を確保してたほうがイイやろ。
「では、おれの娘を使ってくれませんか? 脚の速さはおれが保証しますよ」
「なら、ルダール。うちに転職して仕切ってくれ。カイナにはオレから言っておくからよ」
シープリット族の纏め役としてルダールにやらせよう。
「野郎を何人か誘ってもいいですか?」
「そうだな。まあ、二十人までならイイよ」
一人では大変だろうし、交代要員は必要だ。二十人までならなんとかなんだろう。
「ありがとうございます! ゼルフィング家に絶対の忠誠を!」
そんなもんいらんが、言っても聞かないのだから笑って流すまでだ。
「ミタさん。あとは頼むわ」
本拠地はダークエルフの村となるのだからミタさんに任せるほうがイイやろ。
「畏まりました。ルダールさん。推薦をお願いします。判断はこちらでしますので」
「わかった。すぐに集める」
ミタさんからシュンパネを受け取ったルダールが転移していった。
「ベー様。少し離れます。どこかいくときは必ずメイドを連れていってくださいね」
来るなと言ってもついて来る感じでメイドさんに囲まれてますけど。
「あいよ」
一応、素直に返事しておく。変なこと言ったらさらにメイドさんに囲まれそうだからな。
大宴会を邪魔するのもワリーと、終わるまでマン○ムタイムと洒落込んだ。あーコーヒーうめ~!




