1243 イイ関係
清々しい朝がやって来ました。おはよー!
洗顔を済ませ、採取スタイルに着替えてキャンピングカーから出ると、迷彩服を着たレディたちがいた。え、なに?
「魔女さんたちですよ」
あ、魔女さんたちか。着ているものが違ったからわからんかったよ。
「服が違うとわからんもんだな」
ってか、迷彩服とか誰のチョイスよ? もっとこの世界らしい格好にしなさいよ。魔女感0だわ。
「おはよーさん。早いんだな」
まだ七時(この地域での、だよ)を過ぎたくらい。活動するには早すぎだろうに。
「先生を待たすわけにはいきませんので」
先生? 誰よ?
「ベー様でしょう。薬学を学びに来てるんですから」
あ、そうでした。おもいっきり忘れてました。
「聞いてるとは思うが、皆には薬草を採取してもらう。南の大陸の薬草がどんなもんか学んでくれや」
将来、きっと君たちの糧となるから──なんて殊勝な気持ちはないが、知って損にはならないから遠慮なく学べや。
「はい。しっかり学ばせていただきます」
なんて殊勝な魔女さんだこと。魔女ってもっとはっちゃけてるもんだと思ってたが、まあ、やる気はありそうなのでよしとしよう。
朝食をいただき、食後のコーヒーをいただいたらオレのやる気も百パーセントに充填された。
ザイライヤーの集まっている場所に向かうと、アマゾネスなおねーさんたちが準備満タンで待っていた。こちらもやる気満々やね。
「採取に出たいんだが、準備はイイかい?」
「ああ。できている」
と、すっかり目が治った、いや、生まれ変わったかのようなエース的なおねーさん。オレにオーラが見えるなら黄金色のオーラが噴き出していることだろう。
……強さも親父殿に匹敵したような気がするぜ……。
「後ろのは別の大陸の魔女だ。故あってオレが預かっている。薬草の採取に同行させるんで、薬草の見分けを教えてくれや。礼はするからよ」
魔女さんたちがどれくらい動けるかわからんが、アマゾネスさんたちみたいには動けないだろう。いや、足手まといになると思う。その迷惑料は払わないとな。
「……魔女、なのか……?」
ん? 魔女って言葉があるんだ。ワールドワイドなのか、魔女って……?
「なにか問題か?」
「いや、別の大陸の魔女とこちらの魔女は大分違うようだ」
まあ、迷彩服を着た魔女が他にもいるなら見てみたいがな。
「そうかい。なんか禁忌に触れるようなことがあったら遠慮なく言ってくれや。こちらとしては仲良くやっていきたいからよ」
争わなくてイイのなら争いたくはねー。争ったところで得るもんなんてなにもねーんだからよ。
「こちらも仲良くしたい。不愉快にさせたら許して欲しい。ここでは魔女はあまりよい存在ではないのでな」
やはりか。魔女なんて言葉、ラーシュの手紙にも書いてなかったし、触れないようにしている存在なんだな。
「へ~。違うと言えるか。そりゃスゴいな。普通なら頑なに拒んで排除しそうなもんなのによ」
概念がないものや負と信じてたものを言葉で理解させるのは至難だし、理解できるほうが変だ。それがこのエース的なおねーさんは理解して受け入れた。これだけでこのエース的なおねーさんの性格や能力がわかると言うものだ。
「ザイライヤーは外から受け入れて成り立っている。一族の掟を守れるなら魔女でも受け入れる」
一見、寛容に思えて実は厳しい掟なヤツだな。南の大陸に生まれなくて本当によかったと思わせてくれるぜ。
「オレはザイライヤーの掟をよしとする。だから、譲れない場合があるなら言ってくれ。こちらも可能な限り譲歩するんでよ」
「わかった。我らもベーの掟をよしとする。譲れない場合は言ってくれて構わない。こちらはベーに恩がある。仲間に危害を加えないのならザイライヤーは大抵のことは譲ろう」
大盤振る舞い、って感じだな。まあ、カイナーズとか見て逆らおうとは思わないだろうがな。いたら完全にこの世から消えてるわ。
「ザイライヤーとはよき関係でいられそうだ」
「ああ。ベーとはよき関係を結べそうだ」
握手、な文化はないようなので、にっこり笑ってみせた。笑顔は万国共通だしな。
エース的なおねーさんは表情筋がないようで、頷きで返してくれた。
イイ関係が結べたし、薬草採取にレッツらゴー!




