1178 オレでした!
二日かけて我が故郷に帰って来た。
小人族の航路が使えたらもっと早く帰って来れたのだが、敵対とまではいかないまでも友好な関係は築けてはいない。
「うん。小人族の戦艦を打ち落としたからな」
まるでオレの心を読んだかのように突っ込みを入れて来る公爵どの。
「って、なんでいんのよ?」
帝国出るまでとか言ってたじゃん。
「休息だ。サプルのお守りで疲れたからな」
それはまるで問題ありまくりだと言ってるもんだろうが。まあ、追及はしないけどさ。
「そうかい。なら、ゆっくりしていきな。うちの村は年越し祭があるからよ」
「年越し祭? なんだそれ?」
「うちでは一年で終わりを今頃にして、この一年ガンバりましたねと言う慰労と来年もイイ年になるよう願う祭りだよ」
「うん。発祥はお前で最終回答」
なに、ファイナルアンサーみたいに言ってんだよ。あんたも転生者かよ。
「当たりだよ。けど、広めたのは村の連中だよ。冬の楽しみとしてな」
「……豊かだよな、お前の村は……」
さすが公爵。祭りをするのにも金と物と人が必要だとわかってる。
「ガンバったからな」
努力なくして豊かなし。苦労の先に幸せがあるのさ。
「休息なら嫁さんでも呼べばイイさ。報いてやんなよ」
こんな自由な公爵どのを支えるんだから苦労は一入だろうさ。
「そうだな。一度、お前の村を見せておくのもいいかもな。見本のような村だしよ」
「うちの村を見習っても領地経営には役に立たんだろうに」
中程度の村を見習うって、一国に匹敵する公爵の言うことじゃねーだろう。
「あれだけ異種族に寛容で、争いごとがなく、魔物の被害もない。村人は働き者で商売も得意。なにより、幸せそうに笑っている村などここ以外見たことねーよ」
言われてみればオレも見たことねーな。
「さらに町や国まで創っちまうアホがいるんだ、見習うことばかりじゃねーか」
「…………」
なんも言えねーとはこのことだな。
「なんにせよ、妻たちを連れて来るよ。ヴィアンサプレシア号を借りていいか?」
「サプルがイイってんなら構わんよ。ただ、村には入れられんからな。行き来は……なんかあったっけ?」
ミタさんに問う。
「グレインの町からカイナーズホームまで飛行バスが出ていますし、カイナーズホームにもホテルがあるので問題ないかと」
知らないことが二つも出て来たが、それはサラリと流しておこう。オレは転移バッチがあるから利用しないと思うし。
「それは助かる。妻は平等に扱わんとならんからな」
それもサラリと流しておこう。オレは結婚するなら一人と決めてるんでな。
「じゃあ、またあとで」
と、コーレンでヴィアンサプレシア号へと戻っていった。
「時速にしたら六十キロは出てるのによく乗り込んで来れるもんだ」
「本当ですね。凄い才能です」
と、万能メイドに言われても嬉しくはねーだろうな。才能のないオレは嬉しくも悲しくもねーけど。
「ベー! 降下するね!」
あいよ。と、コーヒーカップを掲げて答える。
ちなみにオレたちは竜宮島に降りようとしてます。留学者にクレインの町はまだ見せたくないのでな。
竜宮島に駐屯する小人族には連絡を入れてあるので、プリッシュ号改が現れても騒ぎはしない。いや、ある意味騒いでんのか? なぜか知らんが滑走路に並んで旗を振っていた。
「なにあれ?」
誰か知ってる人いる?
「小人族の帰還の儀だそうですよ」
と、ミタさんが教えてくれました。まあ、連絡してってお願いしたのミタさんだしね、知ってるか。
まあ、小人族の帰還の儀で迎えられました。
「ベー様、お帰りなさいませ!」
たぶん、ここを仕切る者だろう。
「ああ。ただいま。留守をありがとな」
とりあえず、知ってる風に答えておく。すぐ出るし。
「いえ。我々の役目ですから」
「すまんが、また留守を頼むな。頼りにしてるぜ」
じゃ! とその場を去る。決して逃げたわけじゃないのであしからず。
いつの間にかできた桟橋(上空から見えました)に向かい、クルーザーを無限鞄から出してデカくする。
「留学者諸君。これに乗ってくれ」
説明はなしだ。さっさと乗り込みな。
戸惑いながらも素直に従う留学者諸君。大図書館の魔女さんに教育のなんたるかを学びたいもんだ。もちろん、実行するのは別の人だけど。
「ミタさん。海部落の港に向かってくれ。留学者諸君にうちの村を見せたいからよ」
港は人魚やカイナーズホームがあるからな。海部落の港から我が家へと向かうとしよう。
「畏まりました」
「ベー! わたしは先に帰ってるね」
お好きにどうぞ。ただし、オレたちが見えなくなってから転移してね。頼むよ。
そう目で伝えると、サムズアップで答えるメルヘン。ほんと、前世の知識を教えてるヤツだれだよ? メルヘンに変なこと教えんなや。
………………。
…………。
……。
って、オレでした!




