1170 優雅な朝
のんびりゆったり朝食をいただいていると、プリッつあんがやって来た。
おはよーさん。そして、久しぶり。元気してた? オレはチョー元気にしてましたぜ。
「……まったく、本当に自由なんだから……」
なに急に褒めてんだよ。照れるじゃねーか。
「呆れてんのよ!」
あ、そうなの。デレ期が来たのかと思ったよ。紛らわしいメルヘンやな。
「まったく、わたしの苦労も知らないで。呑気なんだから!」
生憎、第三の眼を持ってるわけじゃーんだ、プリッつあんがなにしてるなんてわかるわけねーじゃん。あと、オレはのんびりゆったりすることはあっても呑気……になることもありますね。すんません。で、でも、プリッつあんがいない間は一生懸命生きてたんだからね! 勘違いしないでよね!
「はぁ~。もうなんでもいいから双子ちゃんの周りを静かにさせてよ」
静かにと申されても高貴なところのお嬢さんの周りなんてそんなもんよ。変えようとするほうが間違ってる。
「やるんならぶっ壊す勢いでやらんとな」
どんな社会でも組織でも変えるより壊すが一番の早道。そして、新しく築くほうが楽でイイのさ。
……まあ、やれって言われたら文句は言うし、他人に押しつけるがな……。
「周りはともかく、双子ちゃんとは仲良くできたんだろう?」
「まーね。根はいい子だし」
さすが調和の将。ヤオヨロズ国は安泰だな。
「仲良くなったらそれでイイさ。ドレミ、変身ステッキって、どうしたかわかるか?」
オバチャンに渡したまま、出かけたのは覚えてるがよ。
「こちらに」
と、なんかオレが作ったデザインと明らかに違うのだが……。
「創造主様がデザインがよくないと変更したようです」
あいつがかかわった時点でもう別もんに変わってること決定だな。
「プリッつあん。頼まれてた変身ステッキだ。たぶん、魔改造されてるだろうからドレミから説明を聞きな」
ドレミに任せ、朝食を再開する。ムシャムシャあー美味しい。
食後のコーヒーを飲み終わった頃、ドレミの説明が終わった。ご苦労さまでした。
「変身ステッキ、おもしろいわね。ベーが考えた中で一番まともじゃない」
その言い方だと、ほとんどがまともじゃないのばかりじゃねーか。いや、趣味全開で作ったもんばかりだけどね!
「服は何着まで大丈夫なの?」
「たぶん、三百着は余裕なんじゃね? プリッつあんの能力で小さくしてるからよ」
容量的には荷車一台分だが、伸縮能力を使えば三百は入るだろう。気になるなら調べてくださいな。
「へ~。たくさん入るんだ。なら、バックとかも入れられる?」
「まあ、入れられるとは思うが、入れすぎて管理できなくなるからな」
思った服を自由自在に~とか無理なので、番号で管理している。「一番、チェンジアップ」で着用できるようにしてあるからよ。
……さすがに魔法少女的変身は難易度高いんだよ……。
「大丈夫。女の子は覚えられるから」
君を女の子に含めてイイのか悩むところだが、まあ、女子力の高い子なら大丈夫、と納得しておこう。男の子だって好きなことには記憶力が異様に働くんだからな。
「ちょっと服を入れてみるわ」
ハイハイ。お好きにどうぞ。
お玉さんのところやシュードゥ族に挨拶にいく必要もあるが、今はメルヘンに付き合うことを優先させようではないか。今後の関係を守るためにな。
本を読みながら待つかと、無限鞄から本を出すと、赤毛のねーちゃんたちが集まって来た。どったの?
「一度、親父のところに帰るよ。南の大陸にいくことも伝えないとならないしさ」
「そうだな。久しぶりに親父さんに顔を見せてやりな」
もう一人前だろうが、親父さんにしたら娘は娘。可愛いし心配でもあるだろう。親孝行だと思って甘えて来いや。
「って、シュンパネ渡したっけ?」
ここに拉致って来てからずっとここに……いたよね? ゴメン。放置しすぎて記憶にねーわ。
「そこのスライムメイドからもらったよ」
あ、ソウデスカ。いたらぬ拉致者で申し訳ありません。
「親父さんに土産は買ったのかい?」
買ってないのなら酒でも出すぜ。
「たくさん買ったよ。あんたの金でな」
あなたの心が健やかでいられるのなら金などいくら使っても構いませんがな。さらにお小遣い上げようか?
「いらないよ。あと、南の大陸にいくときは三日前くらいに来てくれよ。今度拉致ったら殴るからね」
殴られても痛くはねーが、心は痛いので三日前にはお邪魔させていただきます。
「んじゃ」
と、食堂を出ていく赤毛のねーちゃんたち。またね~。
静かになった食堂で読書を開始。
「こんな優雅な朝もイイもんだ」
「…………」
レイコさんや。なにか突っ込みたいのなら遠慮なく突っ込んでくださいな。そんなため息ノーサンキューだよ。




