1009 黄金の島
よっ! ほっ! たぁー! と喫茶店、設置完~了~! お疲れさんでした!
「……もうこのくらいで驚かない自分にびっくりだわ……」
おいおい姉御。驚かそうとガンバったんだから驚いてくれよ。それが作り手へ最大の賛辞だぜ。
「でも、建物は素敵ね。ありがとう、プリッシュ」
「えへへ。どういたしまして」
なにそのメルヘンとの差は? あなたとの絆はパッと出のメルヘンより低いの? キィー! 妬けたゃうわ!
とか、そんな感情もナッシング。姉御がご満足ならそれでオッケーよ。
「姉御。台所とトイレと風呂は簡易だから水と廃棄物の交換は忘れんなよ」
循環型にしようとは思ったが、そうすると改造しなくちゃならないし、いずれはカイナーズホームがライフラインを設置する。なら、そのままの造りで水を流し、廃棄物を取り払ったほうが楽であろう。
「ありがとう」
まあ、その笑顔と言葉で報われたよ。
「不備はないと思うが、一応確認してくれや。あったらすぐ直すからさ」
「ええ、わかったわ」
「プリッつあん。オレは外をやってるから中は任すな」
内装は管轄外。お洒落に決めちゃってくださいな。
「わかった~。やっとく~」
ではよろしこと、外に出た。
プリッつあんが選んだ喫茶店は、一階が店で二階がプライベートスペースとなっており、一人で暮らすにはちっとばかりデカい造りとなっていた。
「姉御一人にすんの心配だな」
別に、これまでも一人で生きて来たし、いらぬお節介なのは承知してるが、姉御は爆発するまでうちに込めるタイプ。たまにガス抜きしてやらんとダメなのだ。
「様子見に一日複数人通わせますので、それとなく要望を聞き出します」
ミタさん、そう言うこともできちゃうのね。最初に会った頃はぽやぽやした田舎のねーちゃんって感じだったのに……。
なにがミタさんを成長させたのかは知らんが、万能メイドに感謝です。
「まあ、バレない程度に頼むわ」
姉御もそこまでバカでも鈍感でもない。なんで、押しつけにならん程度でやってちょうだいな。
「さて。玄関前は姉御の趣味に任せるとして、庭はオレがやっちゃっても構わんだろう」
と、その前に、海に落ちないように柵を創っておきますか。ホイッとな。
土魔法で一メートルくらいの柵を創り、結界で透明の落下防止の網を設置した。外観は大切だからな。
裏庭、と呼んでイイのかわからんが、まあ、便宜上そう呼ぶとして、軽く整地してお洒落なテーブルと椅子を適当に配置。バーベキューできるコンロとピザ窯、あとは、デッキチェアを並べる。
ちょっとばっかしオレの趣味になっちゃいましたが、まあ、気に入らないのなら変えてください、だ。
「中は終わったかな?」
「まだのようですよ。プリッシュ様が飛び回っているようですから」
オレといるときは動かないクセに、頭から離れると活動的になるってか? オレは充電器か!
クソ。やっぱオレからなんか吸ってるだろう、あの寄生メルヘン。宿主にも還元しろや! あ、いや、なんか変なもの返されそうだからそのままでイイです。そのままでいてくださいませ。
「入っても邪魔にされるだけだし、なんか造るか」
山か? ジャングルジムか? いや、空中へいっちゃうか?
あーでもない、こーでもないと考えていると、ミタさんが柵から体を出して下を覗いた。どったの?
「いえ、なにか海から出たものですから」
「たぶん、イルカだろう」
この箱庭に植物以外いなかったので、小魚数種と二メートルくらいのイルカを捕まえてブルー島に放したのだ。
「食べれるんですか?」
「いや、観賞用に放ったまでさ」
食べれば食べられるだろうが、そこまで食いたいとは思わない。言ったように観賞用だし、なにもいない海ってのも寂しいもの。その程度の話だ。
「下にいってみるか」
ここから海にいけるのもイイだろうと、岬の先から崖の下へと向けて階段を創って行ったが、そう高低差がある崖でもないのですぐに海に到達してしまった。
「桟橋を創って、クルーザーを接岸できるようにするか」
土魔法で崖の下を整地し、桟橋へと取りかかろうとしたら、なんか金色の小石が出て来た。
それをつかみ取り、手のひらで転がす。
「……金、だな、こりゃ……」
なんで金が? と辺りを探ると、そこら辺に金が埋まっているのがわかった。
「……この箱庭だけ生き物がいないと思ったら、そう言うことか……」
つまり、ここは、鉱山の箱庭ってことだったんだな。




