1007 ブルー島(とう)
「あー! わたしを除け者にしてなにしてるのよ!」
と、プリッつあんがやって来た。買い物は終了で?
「なに食べてるの?」
「フ○ーチェだ」
食うてみなと、オレンジ味のフルー○ェを差し出した。
「どれどれ」
マイスプーンを取り出し、フルーチ○を掬ってパクリ。
「……美味しいじゃない……」
で、プリッつあんもフル○チェ祭りに参加。五皿も完食しました。
オレも全種完食……はしなかったけど、全種は食べられた。うん。余は満足じゃ。
「イイ喫茶店はあったか?」
「ええ。ネラフィラの好みそうなものを選んで来たわ」
あんた、オレの知らないところでどんな付き合いしてんのよ? とか微塵も思いません。オレにこのメルヘンを理解することは無理だもの。
「これ、ネラフィラの店で出してもらおう」
牛乳入れて混ぜるだけ、のを喫茶店に出してイイのか? 喫茶店に出すものなのか? まあ、あったら頼むけどさ。
メニューは姉御が決めること。好きにしろ、だ。
「ごっつぉーさん。旨かったよ」
作ってくれた鬼の肝っ玉かーちゃんにお礼を言った。
「はい。また補充しておきますね」
それはありがたいけど、消費期限を考えて出してね。うちは廃棄処分場じゃないんだからさ……。
買う物は買ったし、食うものは食ったので、カイナーズホームを後にした。
直通エレベーターから出ると、三兄弟が玄関ホールでかたまっていた。どうした?
「あ、あの、マーローは?」
マーロー? なんだそりゃ? 食い物か?
「マーロー様はこちらです」
と、メイド型ドレミが抱えていた猫を三兄弟に見せた。
あ、ああ。猫のことか。ってか、すっかり忘れてたわ。
「そう言うところは猫だよな」
これと言って羨ましくはないが、よくのんきに寝てられるよな? お前の野性が心配でならんよ。
まあ、そのうち野性を目覚めさせてやるかと思いながら、館を出ると、作業着姿の魔族が何十人といた。
「カイナーズホームの第八工事部の方々です」
あ、そう言や、排水設備とかなんとか言ってたっけ。ってか、なんか大工事になりそうだな。
「そうかい。それはご苦労さん。扉は常に開いてるから好きなようにやってくれや」
細かいことはミタさんにお任せと、転移結界門を潜った。
「姉御はどこだ?」
この箱庭は小さいとは言え、軽く十万人は暮らせる広さはある。そこから一人を捜すのは苦労でしかない。が、オレの考えるな、感じろは高性能。姉御はあっちだと教えてくれた。
今さらだが、ここは、バイブラストの地下にあるフュワール・レワロで見つけた箱庭の一つで、それを空飛ぶクジラの背につけたのだ。
まあ、空飛ぶクジラと箱庭を合わせてブルーヴィと呼んではいたが、それだとややっこしいし、オレも間違えそうなので、空飛ぶクジラがブルーヴィとし、箱庭はブルー島にしようと思う。どうでっしゃろ?
「いいんじゃない」
とのメルヘンさんの了承を得たので今後はそうします。ミタさん。周知のほう、よろしこです。
「はい。お任せください」
万能メイド万歳だね。
「あと、ブルーヴィの頭を北にして、地図も作って、案内板立てておいてくれ。初めて来たヤツが迷わないようによ」
ってか、まだ道もないし、警備も兼ねて誰か巡回させてちょうだい。箱庭内は一切の転移術が発動しないからよ。
「わかりました。早急に対処します」
うん。よろしこ。
この箱庭──ブルー島内に生息している植物は少なく、短い雑草しか生えてないが、人が踏みしめた跡がわかる程度には生えていた。
なだらかな山とは言え、まっすぐ下りれるわけもなく、斜めに下りていくように雑草が踏まれていた。
土魔法で道か階段を創りながら下りるか? とは考えたが、オレが下手に手を出すと整備する者が困るだろうと思い、空飛ぶ結界を創り出して下りることにした。
「姉御、結構下まで下りてんな」
高い木は生ってはいるが、ところどころ生っているだけなので、視界は良好だ。
「あ、家が建ってるよ」
プリッつあんが強制的にオレの頭を動かした。ちょっと、やるときは声かけなさいよ。首千切れるわ!
「コテージか?」
「ここに住む者の仮住まいです」
あんなものどうやって持ち込んだんだ? それとも組み立てたのか?
「たぶん、クルフ族の方が建てたのでしょう。クルフ族も多種多様な技術を持つ種族ですから」
まあ、ドワーフもすべてが鍛冶職人ってわけじゃねーしな。そんなもんだろうよ。
「海が珍しいのか、大体の者は海辺に近いところに住んでいるようです。ネラフィラ様もそこでしょう」
まあ、一人が好きって性格じゃないしな、姉御は。
「どうやら南側を選んだようですね」
足跡が南側に続いており、ミタさんがそう判断した。
ブルー島の南側は浜辺が広がっていて、リゾートにでもしようと思ったのか、人が暮らしやすい地形となっていた。
「今度、クルーザーでも買って来るか」
気温は南の島と同じで、海の透明度も高い。冬はここでのんびりするのもイイかもな。
「あ、ネラフィラいたよ」
だから強制的に頭を動かすのは止めてくださいって……。




