復活のスチャラカOL会社編(七百文字お題小説)
沢木先生のお題に基づくお話です。
電子書籍、動画、連載
をお借りしました。
そしてたびたびすみません、沢木先生。
律子はスチャラカなOLである。
先日、恋人の藤崎君とデート中に立ち寄ったカー用品店で偶然平井課長と会った。
律子と藤崎君は課長が連れていた美人をてっきり愛人だと勘違いし、
「誰にも言いませんから」
と言ってその場を去った。
「結局、くもり止め買えなくてドライブデートは中止だったのよ」
律子はヘラヘラしながら同僚の香に話していた。
結局次の日には喋ってしまっている律子である。
「ふうん」
香は呆れ顔で返事をし、仕事に取りかかる。
「あれ、香は課長の愛人に興味ないの?」
律子が言うと、
「誰の愛人だと!?」
彼女の背後に仁王立ちの平井課長がいた。
「ひ!」
律子は慌てて仕事をしているフリをした。
「やっぱり勘違いしていたんだな、律子君。あれは愛人ではなくて、娘だ」
「ええ!?」
律子は顎も外れんばかりに驚いた。
「あんな美人がどうして課長の娘さんなんですか?」
律子はさりげなく失礼な事を言った。しかし、平井課長はニンマリして、
「そうだろう、美人だろう、めぐみは?」
娘を美人と言われた事で上機嫌になった課長は課長室に行ってしまった。
「何だ、お嬢さんだったのか。つまんない」
律子は不満そうに口を尖らせる。
「つまんないって、どういう事よ?」
香が尋ねる。律子はニヤリとして、
「もし愛人なら、ネットの動画サイトに投稿してあわよくば連載企画を立ち上げてね……」
「そこ! うるさいぞ!」
最近機嫌が悪い梶部係長が律子を注意した。
「すみません」
律子はションボリして仕事に戻ったフリをした。最低な社員である。
(給料泥棒だな、こいつ)
香は溜息を吐いて律子を見た。
「あるいは小説にして電子書籍で売り出すという手もありだな」
懲りない律子の妄想はまだ続いていた。