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物語の続き

作者: るーぷ
掲載日:2012/02/06

 ――そうして、お姫様は王子様といつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ――

 ――おしまい――


 いつもそうだ。


 『幸せ』

 物語はそう言って終わらせられる。


 なら、その続きは?


 私は本を開く。


 こんなところで終らせたりなんかしない――。


 子供の落書きみたいにぐちゃぐちゃに本を汚していく。

 綺麗な物語なんていらない。


「全部っ……醜いのよっ!」


 いろんな色のクレヨンでページを塗りつぶす。

 赤も青も緑も黄色も。

 綺麗な色は混ざりあって黒になる。


「醜いね」


 顔を上げるとそこには一人の少年が立っていた。

 嬉しそうでも、悲しそうでもない虚無の顔。

 瞳の奥には何も宿してはいない。


「貴方は誰?」


「僕は君ではない。ただそれだけの存在だよ」


「名前がなければ困るわ」


「どうして?」


 少年は問いかける。


「名前がなければ、『綺麗』も『醜い』もないのに?」


 少年は私の持っていた本を取り上げるとびりびりに破り捨てた。


 『綺麗』な終わりの汚れたページが宙に舞う。


「これで『終わらない』」


 にこ、と少年は微笑んだ。



「なんで……」


「僕は君の願いを叶えただけだよ。幸せな『終わり』を捨てた」


「『終わり』を捨てたら続いてしまうじゃない」


「そう。でも、『終わり』を捨てたら君が嫌った『綺麗』な終わりは来ない。永遠に続いていくんだ」


 ずっと、希望を持って生きていける。

 少年は囁いた。


「君は……どうする。続けるのか、『綺麗』な終わりを迎えるのか」


「始まったらいつかは終わってしまうのよ」


 当たり前の答え。


 少年は少しだけ悲しげに微笑んだ。


「そう、君も同じことを言うんだね」


 そういうと、足元からたくさんの紙が溢れ出してきた。


「『終わりを迎えたい』。そう、願っているのでしょう」


 紙が。

 包み込む。


 私を。



 そして、

 くしゃくしゃに丸められ、床に捨てられた。


 だけど、紙は広げられて元通り。

 綺麗な一冊の本になった。

 さっきよりも1ページだけ増えて。


 私が嫌いだった、

 だけど、私が求めていた、

 綺麗な終わりを迎える物語。


 こうして『私』は『私達』になった。



 ――あるところに少年がいました。

 ――彼は、とても重い病気にかかっていました。

 ――そんな彼の願いは一つだけ。生きること。


 ――彼はとても強く願いましたが、

 ――彼は死にました。


 ――だから、彼は今でも願い続けているのです。

 ――死にたくない(終わりたくない)、と


 だから、物語は今でも続いているのです。

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