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限界バカ日記!!

作者: 綾戸燈和
掲載日:2025/11/16

放課後の教室は、夕陽に染まったオレンジ色の光で静まり返っていた。

廊下には誰もおらず、机や椅子の隙間には埃が舞っている。

ここは鳳雲高校――学業成績で県内トップクラスを誇る進学校だ。

校舎の窓からは、整然と並んだ校庭と、テスト勉強に勤しむ生徒たちの姿がちらりと見える。


しかし、その進学校の威厳も、翔太と美雪にとっては遠い世界の話にすぎない。

二人は成績表の底辺を常に争い、授業中は机の下でコソコソと遊ぶことに命をかける。

勉強はほとんど無視。数学のノートは真っ白、英語のテストは0点、社会は適当に単語を書き連ねるだけ。

それでも二人にとって学校は居心地が良く、世界の端っこで好き勝手できる舞台だった。


「おい、美雪…お前の数学のノート、白すぎて逆に未来を感じるわ。」

翔太は笑いをこらえながら美雪のノートを覗き込む。

ページはほとんど真っ白で、数字も記号もまばらにしか書かれていない。


美雪はペンをくるくる回し、眉をひそめる。

「未来…? これは純粋にバカの芸術よ。読む人の心が洗われるの。」


翔太は首をかしげ、机をトントン叩く。

「洗われるって…俺の頭はすでに洗濯機の中みたいだぞ。」


美雪は真顔で答える。

「うるさい、頭の中がぐるぐるしてるのはあなただけよ。」


翔太は思わず笑い、ノートを床に落とす。

「わかった、もういい。俺の頭は元からぐるぐるしてるから、空白くらい気にならねぇ。」


二人のやり取りは、表面上は喧嘩に見えるかもしれない。

しかし実際には、微妙な間合い、タイミング、突っ込み方まで、絶妙に息が合っていた。

進学校の他の生徒たちが真剣にノートとにらめっこしている隣で、二人だけが違う時間軸を生きている。


「そういえば今日、部活ないの?」

美雪が訊くと、翔太は肩をすくめた。

「キャプテンが“今日は自分の才能を見つめ直す日だ”とか言ってた。つまり、サボりだな。」


「ふーん…アメリカ人なら‘I’m doing self-care.’って言うやつね。」


「なるほど!じゃあ俺も明日から ‘I’m doing self-care.’ って言えば、バレずにサボれるな!」

翔太は得意げに手をパンッと打った。


美雪は横目で彼を見て、ニヤリと笑う。

「言うだけなら自由ね。でも、本当にサボるとお尻ペンペンよ。」


翔太は一瞬、想像して青ざめる。

「いや、それはさすがに危険すぎる…」


二人は肩を揺らして笑う。

外から見れば底抜けにバカだが、二人にとってはこれが日常の空気だった。


翔太は突然真顔になり、美雪のノートを指差す。

「なぁ、美雪、明日、一緒に勉強しない? …いや、助けてほしいって意味じゃなくてな…」


美雪は目を細め、口元に笑みを浮かべる。

「つまり“共に沈もう”って誘い?」


「そう!友情の名のもとに、タイタニック級で沈もうぜ!」

翔太は片手を振り上げ、大げさにジェスチャーする。


美雪はノートを閉じ、机に肘をつく。

「いいわよ。沈むなら派手に沈むのが礼儀よね。」


翔太は目を輝かせた。

「よし、明日は全力でバカしよう!」


教室の窓の外、夕陽が沈みかける。

風がそよぎ、遠くの廊下から生徒の足音が聞こえる。

二人だけの世界は、バカと笑いで満たされ、時間がゆっくり流れていく。


翔太は肩を揺らして笑いながら、ふと呟く。

「なぁ、美雪…俺たち、もしかして天才的にバカかもな。」


美雪は小さく笑い、目を細めた。

「うん。バカでいることを極めた天才ね。」


二人の笑い声は、進学校の厳格な空気に紛れながら、夕陽と共に溶けていった。

これが、限界バカ友情の幕開けだった。




鳳雲高校の教室は、テスト前のピリピリした空気で満ちていた。

黒板の前では先生が必死に数式を書き連ね、生徒たちは参考書に顔を突っ込んでいる。

廊下を歩く足音は、まるで緊張の針の音のように響いた。


しかし、そんな世界の隅っこに、二人はいた。


「なぁ美雪、見てみろよ。みんな怖すぎる…完全にテスト前モードだ。」

翔太は机に肘をつき、あごを手で支える。


美雪はペンをくるくる回し、眉をひそめる。

「怖い…? あなたたちの頭の中のほうがずっと怖いわよ。テスト範囲、全部空白に近いんだから。」


翔太は即座に返す。

「空白? それは戦略だ。脳みそにスペースを空けて、未来の俺たちに備えてるんだ。」


美雪は吹き出す。

「未来のあなたたちって、今よりもっとバカになる予定ってことね。」


「いや、未来の俺たちは“天才的バカ”になる予定だ!」

翔太は手を大げさに振り上げ、笑いをかみ殺す。


美雪は小さく笑い、肩を叩く。

「天才的バカって…自己紹介として最高ね。」


しばらく沈黙が流れ、翔太がふと窓の外を見ながら呟く。

「なぁ、美雪…もしテストで全問0点だったら、俺たちの人生って数学より正確にバカを測れるんじゃないか?」


美雪は一瞬考え込み、ペンを口に当てて真剣な顔。

「…なるほど。バカの極限値を示す公式ね。じゃあ私たち、公式を作った人として後世に名を残せるかも。」


翔太は目を丸くし、口元を押さえる。

「まさに!0点こそ、学問の頂点かもしれないな。」


美雪は微笑みながら、机をトントン叩く。

「そうね。人類史上最もスマートにバカを極めた生徒として記録されるわ。」


翔太は片手を振り上げ、天を指す。

「うん、俺たちはバカ界のロマンチストだ!」


美雪は小さく笑い、肩を寄せる。

「でも…こういう瞬間も悪くないわね。全力でバカしてる時間って、案外楽しいものね。」


翔太は目を輝かせた。

「だろ? テストは怖いけど、俺たちのジョークは無敵なんだぜ!」


窓の外の夕陽が、教室をオレンジに染める。

二人の笑い声は、緊張で満ちた進学校の空気に少しだけ風穴を開けたようだった。


翔太は低く囁く。

「美雪、俺たち、バカだけど…ちょっと世界の法則を越えた気がするな。」


美雪は笑い、目を細めた。

「ええ。バカの極意を理解した者だけが言えるセリフね。」


二人の笑い声は、教室の緊張と夕陽に溶け込み、限界バカ友情は今日も力強く育まれていた。ノートは相変わらず白皚皚のごとく、夕焼けすらも色をつけられないほどにまっさらだった。




土曜の午後。

翔太の家のリビングは、妙な緊張感に包まれていた。


テレビは消され、テーブルの上にはお茶とクッキー。

しかしその横に、なぜか大量のポテチの袋が積み上がっている。


「……翔太、三者面談なのにポテチ並べるなって言ったでしょ。」


翔太の母がため息をつく。


翔太は堂々と胸を張る。

「先生が来るとなれば、もてなしの心が必要です!」


父親が首をかしげる。

「いや、これは単なるお前の常備食じゃないのか…?」


そこへ担任が到着。

「こんにちは…あ、ポテチ…?」


翔太はすかさず袋を差し出す。

「先生、どうぞ!うちの“代表的食文化”です!」


担任は苦笑して遠慮したが、翔太は気にしていない。


母親が真面目な顔で切り出す。

「先生、うちの子……どうですか?」


担任はノートを開き、深い息をついた。


「翔太くん、国語0点、数学白紙、英語は“チョコレート”のスペルを“CHOCO RATO”と書く、という…」


父親が頭を抱える。

「おい…なんで半分片言なんだ…?」


母親は額に手を当てた。

「もう…どこから直せば…」


翔太は元気よく手を挙げた。

「英語は気持ちなんですよ!発音重視!」


「発音でも違うわよ!」


母親の全力ツッコミが炸裂する。


担任は咳払いしつつ、続ける。

「ですが、クラスメイトとのコミュニケーション能力、場を和ませる力、それは突出しています。」


父親が少し嬉しそうに眉を上げる。

「おお…いいとこもあるんだな。」


翔太は胸を張り、ちょっと上手いことを言う。

「そう!頭は鍛えれば伸びるけど、バカは才能なんです!」


母親はテーブルを叩いて叫ぶ。

「誇るな!」


担任は思わず笑いながらまとめる。

「まあ…とにかく“伸びしろしかない”です。」


翔太はさらに得意げに鼻を鳴らす。

「伸びしろだけでできた男、翔太です!」


父親は吹き出す。

「お前、逆にすげえな…」


家族全員、呆れつつも笑わされてしまう。


そんな空気の中、三者面談はなぜか和やかに終了した。


翌日。

美雪の家は綺麗に片付いていて、翔太家とは違い知性と静けさが漂っている。


美雪の母はテーブルに紅茶を並べ、にこやかに言う。

「先生、どうぞ。落ち着いた雰囲気で話せるように準備しました。」


そこに翔太が、落ち着きを台無しにして登場する。

「はい、どうも!落ち着きが無い方の人間です!」


母親は目を丸くした。

「翔太くん…あなた呼んでないのに来たの?」


美雪はペンを回しながら肩をすくめる。

「勝手に付いてきたの。」


担任が座り、美雪の成績表を開く。

「美雪さん、国語42点、数学18点、英語は……えっと、“God” を “Good job” と書いてまして…」


母親が固まり、父親が手に持っていた新聞を落とした。

「あ、あれ…お前…どうした…?」


美雪は冷静に言う。

「ノリで書きました。」


父親「ノリってなんだノリって!」


翔太が横から口を挟む。

「ノリは大事ですよ!人生は8割ノリと勢いです!」


母親が振り返り叫ぶ。

「翔太くん、あなたが混ぜるとバカが感染するのよ!」


翔太は誇らしげに胸を張る。

「感染力だけはトップクラスです!」


担任は笑いをこらえながら続ける。

「ただ…二人とも、クラスでは良い雰囲気を作ります。周りの生徒の緊張をほぐす力が…」


父親は深くうなずく。

「なるほど…それは確かに評価できるが…」


美雪はペンをくるくる回し、少しだけ真面目な声で言う。

「大丈夫。頑張るときは頑張るつもりよ。たぶんね。」


翔太が横から付け足す。

「“たぶん”を“確信”に変えるのが友情の力です!」


母親は思わず笑う。

「……あなたたち、本当にバカだけど、なんか憎めないわね。」


父親も苦笑した。

「まあ…二人ならなんとかなる気もする。」


三者面談は、終わる頃には家族全員が笑顔になった。


翌週、翔太家と美雪家が合同で夕食会をすることになった。

「三者面談、お疲れ会」である。


食卓には肉じゃが、から揚げ、サラダ、味噌汁。

そしてなぜかポテチ。


美雪母「ポテチは…翔太くんの差し入れね?」


翔太「はい!主食です!」


美雪父「主食にするな!」


両家の笑いで食卓は明るくなる。


美雪母が微笑む。

「でも二人って、本当に仲がいいのね。」


翔太は肉じゃがを口に運びながら言う。

「はい、バカは群れると強くなるんです!」


美雪が突っ込む。

「それ家族の前で言う台詞じゃないわよ。」


翔太父が感心したようにうなずく。

「でもな、お前たち見てると、なんだか安心する。成績はともかく…心配にはならん。」


美雪父も笑う。

「ああ。バカだけど、明るい。人としての根がいい。」


母たちも頷く。


翔太母

「確かに…この子、いつもバカやってるけど、人を笑わせるのは上手なのよね。」


美雪母

「美雪もそうよ。元々真面目な子だったけど、翔太くんのおかげで…ちょっと楽しそうになったわ。」


翔太が少し照れたように言う。

「…いやぁ、まあ…その…」


美雪がからかう。

「どうしたの翔太、照れてるの?」


翔太

「照れてない!俺は生まれつき、照れの代わりにテンションが上がる体質なんだ!」


全員が吹き出す。


その夜、両家の会話はずっと絶えなかった。

勉強の話、学校の様子、バカエピソード、将来の話……。


美雪父が最後に言った。

「二人とも、バカでもいい。だが努力はしろ。

 そして…これからも仲良くやれ。」


翔太も美雪も真顔でうなずく。


翔太

「大丈夫です。将来、俺ら絶対に頭よくなります。」


美雪

「でもバカはやめません。」


翔太

「そこは最重要。」


両家

「そこじゃない!!」


食卓には笑いが満ち、

二人の“限界バカ友情”は家族にまで温かく受け止められた。




翔太の部屋。

机の上には通知表封筒、ポテチ、チョコ、ジュース。

そして翔太は布団に丸まり、震える手で封筒を握る。


翔太「……明日、封筒開けた瞬間、俺の人生はゼロ点ワールドに突入かもしれない…」


美雪(電話越し)「翔太…もう、それ前回も言ってたわよね…」


翔太「違う!今回は進化する可能性もある!」


美雪「進化するの?バカのまま進化?」


翔太「そう!ゼロ点芸術家としての進化!」


美雪「…聞くだけで頭痛くなるわ。」


二人は布団越しに声をひそめながら笑った。


翌日、昇降口。

二人は並んで封筒を握りしめる。


美雪「翔太…覚悟できた?」

翔太「ゼロ点の神々に祝福される覚悟はできてる…」


二人同時に封筒を開く。


美雪「…えっ、英語50点?」

翔太「数学40点…!?俺、知らない間に進化してる!!」


美雪「これは…バカとしては許される進化なのか…?」


翔太「大丈夫だ。心はまだバカのまま。表面だけ天才風味になっただけ。」


美雪「なるほど…ゼロ点芸術家魂は無事ね。」


翔太「これぞ、バカのまま天才になる俺たちの特許戦略!」


二人は顔を見合わせて笑い、教室へ向かう。


教室で二人は席に座り、早速封筒の中身を見せ合う。


翔太「見ろ!俺、数学40点だ!」

美雪「えっ…じゃあ私、英語50点…?」


翔太「進化してるな…」


美雪「でも、これで『本気出せばできる』って思われたらどうするの?」


翔太「そこは…『見せかけ天才』作戦で行くしかない!」


美雪「それ…完全にバカのまま進化してない気がするわ。」


翔太「大丈夫。心はまだゼロ点芸術家だ!」


二人はノートの端に「友情力+バカ力=最強」と書き込み、拳を合わせる。


昼休み、校庭のベンチで二人はポテチを分けながら語る。


翔太「美雪、俺たち…少し頭良くなったのに、バカでいるのって妙に楽しいな。」


美雪「ええ。だって“頭良く見えるバカ”ほど自由なものはないわ。」


翔太「バカはと友情は最強…改めて実感した」


美雪「未来のバカ界、我らに任せて。」


二人は拳を合わせる。

「バカ友情は進化しても不滅!」


日差しの下、二人の笑い声が校庭に響く。

ゼロ点芸術家魂は健在。


放課後、二人は「勉強会(名目)」を開催。

机の上にはノート、参考書、ポテチ、ジュース、ぬいぐるみ。

「集中力を高めるアイテム」と称して全て配置。


翔太「よし、まずは数学だ!」

美雪「でも昨日の宿題、丸写ししたんでしょ?」


翔太「バレたか…しかし丸写しも立派な戦略だ!」


美雪「戦略って…」


翔太はノートの隅に「友情力+バカ力=最強」と書き込む。

「ほら、理論的にも最強!」


美雪「理論…?」


翔太「数学の点数は低くても、友情力はMAX!」


美雪は笑いながらペンを走らせる。

「じゃあ私は英語担当として、バカ翻訳の力を発揮するわ」


翔太「頼もしい!『I love chocolate』を『I like chocorato』にする天才翻訳力だ!」


二人は爆笑しながら、ポテチをつまみ、参考書は落書き帳になる。


1時間後、二人は疲れて机に突っ伏す。


翔太「…なんか頭使った気がする…でも点数は上がらない」


美雪「友情力は上がったかも」


翔太「よし、点数ゼロでも心のレベルは上がった!俺たち、バカ友情の極み!」


美雪「未来のゼロ点芸術家魂は完璧ね」


二人は拳を合わせる。

「バカ友情は進化しても不滅!」


翔太「美雪、これで受験勉強って言えるのかな…」


美雪「言えるわよ。だってポテチ食べながら参考書開いたんだから」


翔太「なるほど、バカ界の常識では正しい行動か…」


美雪「友情力+バカ力=最強、理論上完璧ね」


翔太「この理論を大学受験に応用すれば…俺たち天才になれるかも」


美雪「それは無理。バカだから」


翔太「そうだった…でも心は天才のつもりで行こう!」


二人は笑い転げながら、ポテチの袋を片付けずに帰宅する。

ゼロ点芸術家魂は健在、バカ友情はさらに強化されていた。




夕暮れが差し込む翔太の部屋。机の上には参考書、ノート、ポテチ、ジュース、そしてなぜかぬいぐるみ二体——友情力とバカ力の象徴だ。


翔太「美雪、ついに来たな。最後の勉強会だ!」

美雪「最後…?昨日もポテチ食べて落書きしてただけじゃん」


翔太は机を指で叩き、真剣な顔を作る。

「違う!今日は友情力+バカ力をフル動員して、知識の迷宮に挑むんだ」

美雪「迷宮って…あなたの頭の中だけでしょ」


二人は笑いながらも鉛筆を握る。

翔太は数学の微分問題を丁寧に解き、美雪は英文長文を一文字も逃さず読み進める。

その姿は、一見ふざけているが、集中力は意外と真剣そのもの。

翔太「友情力+バカ力=最強理論」を心に唱え、美雪も「ゼロ点芸術家魂」を内に秘めつつ解答に向かう。


時折、二人は小さく笑い合う。


翔太「もし英語の問題が話しかけてきたら、『君は正解です』って答える?」

美雪「上手いこと言うわね…でも点数には関係ないわ」


笑いを交えつつも、鉛筆の先は止まらない。

時間が経つにつれ、二人の表情は引き締まり、ジョークと真剣の境界が絶妙に混ざった、独特の緊張感が漂った。


試験会場は静まり返り、鉛筆の音だけが響く。

二人は互いに軽くうなずき、沈黙の中で問題に集中する。


翔太は数学の微分や関数の問題を一つずつ丁寧に解き、美雪は英文の意味を一文字も見落とさずに読み取る。

周囲の雑音や受験生の鉛筆の音も、二人には遠い世界のことのように感じられた。

心の中でバカ力は温存され、友情力が静かに後押しする。


翔太は時折、解法の順序を目で確認しながら、自分の中の秩序と混沌を調和させるようにペンを走らせる。

美雪も、英文の微妙なニュアンスを慎重に解釈し、文章の意味の背後にある論理の構造を探りながら解答を書き込む。


時間が過ぎるごとに、二人の手元は正確さを増し、沈黙の中に漂う緊張は、やがて達成感へと変わる。


試験終了の鐘が鳴ると、二人は校門前でポテチを分け合った。


翔太「終わった…友情力全開で挑んだけど、点数もしっかり狙ったぞ」

美雪「私も。バカ力と理性を絶妙にブレンドして…ある意味芸術的だったかも」


翔太「心の中で天才っぽくやったのは友情力のおかげ」

美雪「私もバカ翻訳力を駆使して未知の英語に立ち向かった…哲学みたいね」


二人は笑いながら拳を合わせる。

「友情力+バカ力=最強!」


翔太「この調子でいけば、大学でもバカ力全開だな」

美雪「もちろん!授業は真面目に受けつつ、サボり心は温存ね」


数週間後、合格発表の日。


美雪「翔太…番号、あった!」

翔太「俺もあった!」


二人は叫びながらハイタッチ。

バカ力と友情力が、結果として現実の点数に反映された瞬間だった。


両親も駆けつける。


翔太母「翔太、本当に…やればできる子なのね」

翔太父「ゼロ点芸術家の称号のまま大学合格…感慨深い」


美雪母「美雪、バカ力だけじゃなくちゃんと努力してたのね」

美雪父「友情力が点数に変わる瞬間を見た気がする」


家族の笑顔と安堵の混ざった表情を見て、二人は胸の中で小さく笑う。

「友情力+バカ力」は、点数だけでなく周囲の心も揺さぶる力だ。


キャンパスに到着した二人。大学生活が始まった。

しかし、2人は変わっていなかった。


翔太「美雪、大学でも友情力+バカ力全開だ」

美雪「授業は真面目に受けつつ、サボり心は温存ね」


翔太「いや、心はサボる、友情力とバカ力は全力で」

美雪「完璧ね」


二人は学食に向かい、ゼロ点芸術家魂+友情力+バカ力で新生活を堂々と歩き始めた。

笑いと無邪気さを携えた、バカのまま天才っぽく生きる二人の未来の象徴だった。

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