5.Vtuberのキャラクターを考えよう(前編)
「何かに特化しろって言われても、そんなの分かるわけないよ~!」
さくらは、勉強机に座って、うんうん唸っていた。
新しく買ったノートを開いて、肘をついて考えた。
勉強には答えが必ずあった。
だけど、これには答えはない。
「自分ができること、かぁ」
みゃあこさんは、自分にできることに特化して活動した方がいいと言っていた。
何ができるか、どんな活動に特化したVtuberになるか。
それがみゃあこさんから出された宿題だった。
『さくらちゃん、どう?』
みゃあこさんから、ピコンとラインが届いた。
『全然です』
さくらは返信した。
『そっかー』
数分おいて、みゃあこさんから続きが来た。
『この前は、難しいこと言っちゃったかもしれないけど、活動内容は、実際に活動しながら軌道修正でもOKだよ!
でも、イラストは早めに発注しないといけないから、次会う時までにどんなキャラクターがいいか考えておいて』
まさかの、追加の宿題。
活動内容も決まっていないのに、もうキャラクターの話だ。考えることが増えていく。
『さくらちゃんって、Xやってる?
あ、JAPANの方ではなくて、Twitter』
『やってないです』
Twitterもtiktokもやっていない。
さくらは、今どきにしては珍しく、インターネットに詳しくなかった。
『Xのアカウント、作っておいて! で、Xで#Vtuberのタグで調べたら、いろんなVtuberがいると思うから、それを見ながら考えてもいいかも!』
『わかりました! キャラクターの方も考えておきます。
みゃあこさんの音声の方も、編集終わったので、メール送りますね』
みゃあこさんから依頼されていた動画編集作業は集中してやれば、1時間もかからない簡単なものだった。音のノイズの箇所をカットして、一枚絵のイラストを動画にする。
ノイズカットに時間がかかるが、10分くらいの動画なので、さくらにもできる動画編集だった。
メールを送り、さくらはさっそくXのアカウントを作ってみた。
名前は適当に、テスト01。
#Vtuberで検索すると、たくさんのVtuberの画像が表示された。
カラフルな髪の毛、猫耳、お姉さん、メイド、妖精、天使…。
現実にありそうにないキャラクターもいれば、一般会社員や普通の黒髪の女の子のような見た目のVtuberもいた。
「どんなビジュアルの女の子が人気がでるのかな」
Xに表示される、『いいね』の数が多いものが、人気なのだろう。
そう考え、『いいね』が多いものを探してみると、ある方程式を見つけた。
胸の谷間や、太もも、ほとんど服を着ていないような露出が多いものが、『いいね』の数が多い。
「なるほど。それなら、こういう感じのキャラクターに」
さくらは、ノートにキャラクターの特徴を書き出した。