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とあるじさつ者の回想  作者: ぴす吉
とあるじさつ者の回想①②③④⑤
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とあるじさつ者の回想

じさ〇。多くの人が思い至るかもしれない、終着の一つの形。

実話である。


数日前、1人の人間が自ら命をたつことに考えが至り、実行し、失敗した一連の記録を残す。


これがどういう人の目に留まり誰に読まれるか、あるいは読まれないのかはわからない。


記憶が薄れないうちに、文章で残そうと考えた。


自殺失敗者の記録だと思ってもらえればと思う。




ネットでその記事を見つけたのは実行の約一月前だと思う。


風邪薬などの身近な市販薬で、どれだけ大量に飲めば死に至るか、という致死量の一覧表があったのだ。


これを見つけた時は「やった!」と思った。


これで楽になれる。


いつでもしねると思って心が軽くなった。


目をつけたのは通称金P~と言われるもの。


一箱で売ってる最大量44包(0.3g×44=13.2g)で、ちし量の10gを超えるという。


少し多めに買っておこうと思った。


近所の福太郎で買おうとしたら、店員が2、3質問してきて、使うのはご自身かなどと聞いてきたが問題なく買えた。


やはり、成分的にオーバードーズで死ぬ可能性があるから色々と聞くのかもしれない。


次に行った別の駅の店ではかなり事細かに理由などを聞かれた。やはり取り扱い注意なのだろう。


二箱、88包だ。合計にして26.4グラム。ちし量10グラムを遥かに超える。これなら逝けるだろう。私はそう思った。




私は根本が甘い人間だ。


物事に対する取り組み方、意識がぬるい。仕事でも趣味でもそうだった。


職場でも周りの人を不快にさせてしまう。


仕事ができない自分、というのをあなたは選択してきて今に至るのですよ、と上司に言われた。


その通りだなと思った。


だが48歳、今から奮起して何かに打ち込むパワーもない。


安易な逃げ道が甘美だった。自分にはしへの道が残されている。


父の日の夜、実行しようと思った。




毎年父の日はかみさんがお寿司とビールを用意してくれてる。


多めに自分でも酒2、3本買おうと思った。


疲労感で薬の吸収を促進しようと考え、会社帰りに何駅か前に降りて歩いて帰る。


数キロ歩いて23時ごろ帰宅。


やはりかみさんはビール1本と、寿司を用意してくれていた。「大丈夫?しにそうな顔してるよ」


図星をつかれたが、苦笑するしかなかった。


高校生の娘も、カップ焼きそばをくれた。


2人は笑って、いつもありがとうと言ってくれた。私は御礼を言い、だが決心は翻らなかった。


寿司はともかく、焼きそばはおそらく食べることはあるまい。。。苦笑した。もちろん感謝していた。


風呂に入り、洗濯して、いつも通りの日常を行ない、その時への準備を進めていった。

じ〇つ。その時はしずかに近づく。

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