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砂漠の蜂蜜  作者:
1/1

第1章『何故進むのか』

○霞ヶ関・全景


○外務省・庁舎


○庁舎・国際協力機構・開発援助課


机に『ODA』のプレート

テーブルを挟んで大里課長(46)と香取篤(42)が座っている。

テーブルの上には『アフガン・砂漠地帯のインターネット敷設工事について』の冊子。

大里「これができるのは香取さんしかいない。是非日本が成功させたいと思っている」

香取「分かっています。成功させたいのは同じ気持ちです。しかし、アジアの砂漠は日本とは違う。同じ様に拠点を立てることもできないし、やはり衛星をフルに使わないと」

大里「そんな予算は下りない。だからといってサウジなどイスラム圏に頼ると鉱物資源は石油国がまた独り占めだ。アメリカだって良い顔はすまい」

香取「それなら残りの金をアメリカから出してもらえばいいじゃないですか」

大里「それができたらどんなにいいか。それでなくてもアメリカからはアジアのインフラ整備を早く進めろと言われているんだ」

香取「兎に角、サウジの砂漠のド真中だって今は携帯もインターネットも快適に通じる、これは人工衛星のおかげですよ。私が関わったんだ、この方法でなくては難しいです」

大里「そこをなんとか安く日本式でお願いしたい」

香取「暫く考えさせてください」


○通信局・全景

巨大なパラボラアンテナが廻っている。


○データ室

香取が机に書類を投げ出す。

香取「ったくもう」

同僚笹野(35)が近くで見ている。

同僚笹野「外務省どうでした?やはり予算が?」

香取「ああ、相変わらず予算はない、でも早く設置してくれの一点張り。砂漠のことを知らなすぎるよ。日本のようにはいかないのに」

携帯着信音

香取、ポケットから携帯を取り出す。

非通知の文字

香取「はい」

サラムの声「香取さんですか。サラムです。今、日本にいます。覚えていますか」

香取「あっサラムさん。もちろん覚えていますよ。お久しぶりです」

サラムの声「実は是非お会いしたいのですが」

香取「喜んで」


○サウジアラビア大使館・全景

サウジアラビアの旗がたなびいている。


○同・応接室・中

立派な絨毯が壁に掛けられ、真中に豪華なソファとテーブルが並んでいる。

サラム(51)が立っている。

ドアをノックする音。

サラム「どうぞ」

書記官と香取が部屋に入ってくる。

サラム「お待ちしてました。さあおかけください」

香取とサラム、握手をする。

香取「こちらこそお会いしたかった」

香取、サラム、椅子に腰掛ける。

サラム「単刀直入に言います。我国はアフガンの砂漠にネットのインフラ整備を援助したいと思っています。そこで是非あなたの力をお借りしたい。現在わが国は砂漠も含め全土携帯もインターネットも快適な環境にあります。それを中央アジアでも実現させたい。それには香取さん、あなたの力を又お借りして実現したい。日本も援助をするという話も聞いていますが、日本の予算ではアフガン用に衛星は無理でしょう?失礼な言い方ですみません」

香取「いいえ、本当です」

サラム「どうですか。香取の技術は素晴らしい。その力を貸してもらえればアジアの砂漠に携帯もネットも通じます」

香取「少し考えさせてください」

サラム「いいでしょう。でも来月までには返事をください」


○住宅地・全景


○二宮家・全景


○同・和室・中

仏壇に新しいお位牌と女性の写真が置いてある。

香取が手を合わせている。

後ろで二宮洋介(39)がお茶を入れる。


○同・居間

二宮、お茶をテーブルに置く。

二宮「お茶、入ったぞ」

香取、和室から居間へ移動し腰掛ける。

香取「悪いな」

二宮「そっちこそ、忙しいんだろう」

香取「ああ、実は仕事の事もあって来たんだ」

二宮「何か用か?」

香取「実は今度アフガンに無線を敷設することになった。当然人工衛星が主局、カバーをアクセスポイント拡張で進めるべきだと思っている。しかし、人工衛星がまだ自由に使えるほど完備されていない。『きずな』もアフガンはカバーできない」

T「きずな=日本・通信用人工衛星」

二宮「しかしサウジに頼めば資源が取られる。お決まりのコースだ」

香取「それに対抗するには日本が居座る必要がる」

二宮「?」

香取「俺が最初サウジ側に着く、二宮お前は日本側についてくれ」

二宮「どういう事だ?」

香取「つまり俺は人工衛星でのキー局ができるまでサウジの代表として働く、その後お前が日本側代表として引き継いでほしい」

二宮「それはまずいだろう」

香取「俺はそこで死ぬ」

二宮「なんだって!」

香取「あせるな。本当に死ぬ訳じゃなくて、衛星拠点が完成すれば俺は南米にでも逃亡する。その後お前が後を継いで日本式に広げていって普及させる。それが実際一番いい方法なんだ。人工衛星で1度起動にのればそれからは日本式でやれば上手くいく」

二宮「しかし香取さん、なんでそこまで」

香取「砂漠の蜂蜜って知ってるか?」

二宮「はちみつ?」

香取「ああ、先月現地調査をしてきた」


○回想・砂漠・全景

広大な砂漠が広がっている。


○回想・同・テント・中

香取、通訳、数人の現地の人々

香取「なんて広々とした景色なんだ。このままにしている方がいい気さえしますね」

通訳、香取の言葉を訳している。

1人の女性Aが話し出す。

通訳、頷きながら聞いている。

通訳「今日は天気がいいから視界も利く。しかし1度砂嵐が起きれば全く場所も方向も見失ってしまう。先月は彼女の叔父さんが急病になったが結局場所の連絡が間に合わずに亡くなった」

女性Aが再度話し出す。

通訳がメモを取っている。

通訳「彼女は実は先生です。現在学校が年数回開校されますが、どこでいつ開校されるのか子供達は知ることができません。ただ待っていて、たまたま先生と会えると学校が始まります。この連絡ができるようになると子供達も集まり、勉強をすることもできるようになります」

女性A、奥に入り、瓶を持ってきて香取に渡す。

通訳「どうぞ、これは蜂蜜です」

香取「蜂蜜?」

通訳「そうです。ご覧の通り砂漠には花はありません、蜂蜜を取ることができるのはオアシスだけです。そのため非常に貴重なものです。これを渡すという事は通信が繋がる事をそれほど願っている証拠なのです」

香取、蜂蜜瓶をじっと眺める。


○二宮家・居間・中

香取、二宮、向かい合って座っている。

香取「日本単独でやろうとすれば何年掛かるかわからない。だからと言ってサウジの手助けをして結局向こうが資源独占じゃあ割に合わない。国にも得手、不得手がある。日本の得意分野で居座ることは悪くない」

香取、テーブルの上のお茶を飲む

香取「ただ何故この話しをお前に持ってきたかというと、俺は女房に離婚されて1人、お前も残念だが奥さんに死なれて1人になった。これは家族がいるとちょっと危なくて乗れない。サウジからは明らかに嫌われるからな。俺もお前も」

二宮「俺はいいけど…」

香取「1度位好きなように仕事したくなったのかな。南米での生活も悪くない。それに案外騙すのは大きい方が楽だ。どちらの国も威信がかかっているから下手なことはできないはずだ」


脚本をいろいろ書いていましたが最近駄目モードに落ち込んでいるので投稿してみました。

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