第三話 それから、それから。
意図せずルシフェルと主従本契約を結んでから数年…
私は15歳になり、高校…いや、ここでは王都学園といった方が正しいだろう。に、通うことになった。
どうやら私は魔術を極め過ぎたらしい…父に自分の魔術を見せたら「娘が…俺より魔術が上手い…」と言ってぶっ倒れてしまった。なんで気絶するんだ。
そして母に「この子は王都の学園に行かせるべきよ!絶対にね!!!!!」と、押しに押されて、あれよあれよといううちに入学手続きが終わり、もう入学式を待つだけである。
いや、王都の学園って…そりゃもうバッチバチにキメたオシャンティーな貴族様たちが集まるんでしょ?無理無理、絶対そんな空間生きていけない。私には地方の学校がお似合いだというのに…はぁ。
「何やら不服な表情ですね、主様。」
『あれ、マモン。おはよう。』
そうだ、紹介しよう。
緑髪にまるぶち眼鏡、髪型を三つ編みにしてゴムでまとめている…いわゆる真面目ちゃんの格好をした女の子。私の5番目の本契約者、マモンだ。
『王都学園なんて行きたくないよぅ…地元の学校がいいよぅ…』
「そう駄々をこねても、お母様とお父様が決めたことですし…」
『うぐ…まぁ、そうなんだけどね。』
「それより、主様。私たちの計画がいよいよ動き出しそうです。」
『てことは…天使側の動きがあったってことだね。』
「ご明察、さすが主様。この展開も己の思い通り…と」
なにやらものすごい勘違いをされているようだ
仕方がない、ここは【七罪ボスモード】に切り替えよう。
皆と知り合ってから数年…私の積み重ねてきたカリスマ力でこの場を凌ぐ…!
『そう…それで、天使は何処から動き出しそうなのかしら。』
「…! はい、どうやら王都…それも主様の学園の近くの教会より、教団の人物たちが動き出しているようです。おそらくそこが拠点かと…」
あ、そうだった。七罪と教団について解説するね。
まずは七罪。これは、私とルシフェルを含む、のちに話す教団との対抗組織…世間一般から見たら悪の組織だ。まだ世間には公表してないけどね。
そしてそのメンバーは、さっきも話したマモン、そのほかにも全員で7人で担っている。
ちなみに全員悪魔で、全員本契約してある。
…ん?なんで全員本契約なのかって? …話すと長くなるから、あとで話すね、うん。
そして、教団。さっき言ったけど、私たち七罪が悪としている存在だ。
教団は、神や天使を崇める宗教の組織。そして、天使の力を借りて天使の代わりに色々したりしている。
しかし、それは表向きの活動だ。
天使たちは悪魔たちへ勝手に罪を着せ、更には同族の天使まで堕天させている。ルシフェルが良い例だ。
教団はその1番の手下だ。しかも最近は天使をこの世に召喚しようとしている。
そんなこと、世界の理的に絶対あってはならないことだ。
だから私たちは教団もとい天使に抗うために日々奮闘している。
『王都…か。学園には被害は出そう?』
「おそらく…被害は仕方ないものになるでしょう。」
『そう……』
うーん…今回はどうやら酷い被害になりそうだ。
罰金とか課せられたら嫌だしなー…しょうがない、今回は…
『…今回は私が出る。』
「!!! 主様、それは一体どう言うことですか!?」
『…頭のいい貴女なら、分かると思うわ。今回の騒動がどんなことになるのか…』
「(…ま、まさか…!?前からこの騒動になると分かっていた主様だから…だからこそ自分が出ると言っているの!?そう言うことなら…)」
「私たちは主様の命に従うのみです…全ては主様の思い通りなのですね…!」
うんうん、マモンも分かってくれたようだ。今回も罰の心配は無さそうだな〜
「では主様。王都でまた会いましょうね。皆さん寂しがっておられましたよ?」
『そっかぁ、まぁ、この旨は伝えておいてね』
「はい、ではまた。」
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「ただいま戻りました。マモンです。」
「入りなさい」
「はい」
キィ、と言う音を出してドアを開けた後、暗闇の中の仲間たちに目をやる。
そして、ルシフェルが声をかける
「お帰りなさいマモン。報告はどうだった?」
「はい、順調に終わりましたが…」
「…どうかしたの?」
集まっている仲間たちの顔が曇る
「何かあったのか?そうなら早く我らに言ってもらわなければ困るのだが。」
真っ先に口を開いたのは、七罪第三席のサタン。
「あらあら、威圧的な態度は良くないわよ?サタンちゃん♡」
「いちいちそんな色っぽい声を出すな、不快だ。」
そしてそんな彼女に反論(?)するのは、七罪第七席のアスモデウスだ。
「…ふぁぁ…ねえ…この会議…いつ終わるの…?」
「わかんない。お腹すいた!」
このシリアスな空気に似合わない彼女たちは、それぞれ第四席ベルフェゴールと第六席ベルゼブブだ。
「ちょっと、静かに!サタンもアスモデウスに組み技しないで!ベルフェゴールは居眠りやめて!!ベルゼブブは机かじらないで!!!おやつ後であげますから!!!」
「わ!おやつ!!!ルシフェル様いっぱいくれる!?!?」
「ええ、机をかじらなければね。」
「ん!ベル我慢する!!」
「はぁ…協調性もあったもんじゃないわね。」
サタン「全くだ」
アスモデウス「そうねぇ」
「主に貴女たちでしょうがこのバカ!…コホン、失礼。マモン、続きを話して頂戴。」
「はい…その…教団の動きを主様に報告したのですが…『今回は、私が出る』と…」
「!?」
皆の顔が困惑に包まれる
「あ、主様が…直々に出る、ですって!?」
「落ち着きなさいレヴィアタン。これも主様のお考えあってのことよ。…それにしても、なんで主様が…」
「…主様は、天使の動きを予測していらしたのです。私たちには、手を少し借りるだけで良い、と仰っていました。」
(⚠︎これは言ってない)
「ほう?今回は少ししか暴れられないのか…残念だな。」
「雑魚の魂喰えない?ヤダ!」
「…サタン、ベルゼブブ、主様のご意向に歯向かうつもり?」
ルシフェルが二人をギロリと睨みつける。
「う…ちがう…でもお腹空くもん…」
「ふん…」
「はぁ、まぁ…報告ありがとうマモン。私たちは主様の為に準備を進めるわよ…我らの未来のために。」
「「了解。我らの未来のために。」」
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後日、王都学園に出発の日
「行ってらっしゃいソフィア!盗賊には気をつけてね!!向こうでも頑張るのよ!!」
「お、俺の愛娘…本当に言ってしまうのか…うぅっ…」
なぜ泣く…たかが王都に行くだけだと言うのに。
「うん、気をつけるよ。お父さんもいい加減に泣き止んで。」
「うぉぉぉぉっ…ソフィア、いつからそんなに俺に冷たくなったんだ!?」
「父親がメソメソしてたら誰でもドン引きするでしょうが!!ほらさっさと泣き止め!!!!」
お母さんがお父さんにグーパンを喰らわす。もっと泣きそうだけど大丈夫かなこれ。
『あはは…じゃあ行ってくるね!』
「行ってらっしゃい〜!!」
だんだんと自分の実家が遠くなる。
お父さんはまだ泣き止んでいなかった。
お母さんは腕を大きく振って私を見送っていた。
『向こうでうまくやれるかなぁ…』
私は一人馬車の中で呟いていた。




