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【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】  作者: ステラ


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チャイルド・プレイ 6

私の手を引いて歩きながら侍女さんはなおも話している。


「お嬢さまは集まった方々の中でも特にお小さい方ですから、他のお嬢さま方の陰に隠れてしまうかも知れませんが・・・。それでも、とっても愛らしいので目立たれる可能性もありますし、ぜひ皇太子殿下のお目に留まりますよう頑張って下さいね。」


・・・んん?ちょっと待って。女の子達が集められている上にレニ様の目に留まるように、ってそれはもしかして。


「さあ着きましたよ。良かった、まだ殿下は見えられていないようですね。」


考え込んでいた私にほっとしたような侍女さんの声が耳に飛び込んできてハッとする。


そのまま、


「さあどうぞ。レジナス様には私から話しておきますので、ティーパーティーが終わるまでにはこちらに来られるはずですよ。」


と生垣の間からそっと押し出された。


「あ、ちょっと待ってくだしゃい!」


回れ右をしたかったけどしょせん幼児だ。侍女さんの力に敵うはずもなく庭園の中へと転がり出る。


周りには私くらい小さい子から十二、三歳の子まで二十人はいるだろうか。


さわさわと小さく騒めきおしゃべりをしているその子達はみんなもれなく女の子で、煌びやかな宝石や鮮やかなリボンにフリフリのレースで飾られたドレスを着ていて、精一杯のおしゃれをしている。


おかげで私のゴスロリ姿もそれほど目立たない。


そうっとその子達の間を歩いて目立たない端の方へ移動する。


みんなおしゃべりに夢中で賑やかなおかげで私のあの靴の音も目立たない。


移動しながら聞き耳を立ててみれば、


「皇太子殿下は金色の若獅子のように凛々しいお方なんですって!」


とか


「お話出来るかしら?せめて一言・・・いえ、目が合うだけでも」


やら


「あら何を言ってるの!こんな機会は滅多にないのよ、というかわたくし達がここに集められた意味を分かっていて?負けませんわよ」


というセリフが聞こえてくる。


・・・ああもう、これは完全にアレだ。レニ様の婚約者とか将来のお妃様候補を選ぶ場だ。


だからみんなレニ様に近い歳の子達が集められているんだ。


女の子たちの間を縫うように横切りながら、ところどころにある円卓の上に盛られているお菓子もちょっと失敬して、移動した端っこで取ったお菓子を食べながらそんな彼女達を観察する。


うーん、みんな可愛い。見たところ集められているのは王都の貴族の子たちだろうか。


小さいながらもハキハキとした気の強そうな子から辺りをそっと伺っているおとなしそうな子まで、色んな子がいる。


レニ様はどんな子を選ぶのかな。私にとっては義理の甥っ子の、将来のお嫁さん候補達だ。


と、


「・・・ダーヴィゼルド公爵の・・・本命・・・」


「北の田舎者・・・」


そんな単語が聞こえてきた。


ダーヴィゼルド公爵って言うとヒルダ様のこと?とそちらを見れば、周囲よりも一段と華やかに着飾った女の子たちのグループがいた。


三、四人位のそのグループは庭園の前の方・・・多分これからレニ様が現れた時に一番近くで挨拶が交わせるだろうベストポジションに陣取っていて、周りの子たちも一歩引いて様子を見ている。


もしかするとここに集められた貴族の子ども達の中でも高位に属する家門の子たちかも知れない。


ダーヴィゼルドと聞こえたので一体何を話しているのかが気になって、お菓子を物色するフリをしながらさりげなくその子たちの近くに寄る。


するとさっきよりも会話の内容はよく聞こえてきた。そしてその中身にびっくりする。


ヒルダ様の娘の、あのフレイヤちゃんが今現在レニ様の婚約者候補の最有力⁉︎


あの二人のどこにそんな出会いのきっかけが?ていうか、もし二人が結婚となればフレイヤちゃんは私の義理の姪っ子になる。


おねえちゃま、とはにかんだように私に笑いかけてくれたあの可愛い笑顔を思い出す。元気かなあ。


そう言えばダーヴィゼルドで会ったフレイヤちゃんも今の私と同じ三歳だった。


だけど私よりもずっと滑舌がハッキリしていた。羨ましい。


そんな事を考えていたら


「ちょっと」


ふいに声を掛けられた。


「ふぁい⁉︎」


びっくりして思いがけず間抜けな返事を返せば、そんな私を邪魔そうな目で見下ろしている一人の子と目が合った。


ピンクブロンドの柔らかなウェーブがかった髪の毛をリボンで編み込み小花で飾った、青い瞳も綺麗なまるでお伽話の中のお姫様みたいに可愛い子だ。歳の頃もレニ様と同じくらいだろうか。


レニ様の隣にこの子が並んだらさぞや絵になるだろう、と見惚れるようにぽかんとして見つめ返していたら


「挨拶もしないで人のことを見てるなんて、不躾な子ね。」


と嫌そうに言われた。


「王都のサロンでは見たことのない子だわ。今回のためにわざわざ近郊の田舎領からでも出てきたのかしら?」


「いやだ、まさか。今日は王都に住む貴族の子どもしか招待されていないはずよ。」


「見て、あの首元のアクセサリー。青いのは宝石じゃないわ、魔石よ。もう一つ付けているのもそうね。しかも鈴の形!いやあね、宝石すら買えないなんてどこの子かしら。」


クスクスと笑いながら話す、ピンクブロンドの子の取り巻きらしい他の子たちの声が聞こえる。


すごい。こんな小さな三歳児にも容赦ない意地悪だ。しかも絶妙に私に聞こえるか聞こえないか程度で話すそのテクニック、なんていうかいじめっ子の素質があるし凄く女子っぽい。


リオン様のくれたネックレスやシグウェルさんが作ってくれた結界石をバカにされたのは癪に触ったけど、ここはグッと我慢しよう。


何しろ私は見た目は子どもでも中身は大人なんだから。


「・・・ごめんしゃい。」


とりあえず無難にやり過ごそうと頭を下げて一歩下がったら今度は


「やだ、赤ちゃんみたい!そんなんじゃ殿下と満足に会話も出来ないじゃない!」


「よくそれでここに来ようと思ったわね!」


「それに聞いた?靴から音がしたわ!変なの‼︎」


とまた笑われた。うわあ、集団イジメ!こんな幼児にも全力だ。少しでもレニ様のライバルを減らそうと必死なんだろうか。


ピンクブロンドの子はそんな取り巻きの子たちのする事を止めるでもなく放っておきながら、ふうん・・・と私をじろじろ見ると話しかけてきた。


「・・・確かに、ネックレスは魔石だけどかなり良いものよ。それにドレスにあしらわれているレースも手がこんでいるものだし、靴やボタンには宝石が使われているわ・・・。ただの田舎貴族じゃないかもね。」


その目はまだ私を小馬鹿にしたように見ているけど、判断は正確だ。何しろシェラさんが毎回どこからか調達してくるドレスは本当に上質なものばかりだからだ。


すると突然、


「だけどこんな音の鳴る靴、皇太子殿下の前で履くにはふさわしくないでしょう?うるさくて会話の邪魔でしかないわ。」


グリッ!と足を踏まれた。


「いたい‼︎」


子ども用に硬い革ではなく柔らかな絹で出来た私の靴は柔らかい分ダイレクトにその痛みを伝えてくる。


しかもピンクブロンドの子の履いている靴は低いながらもヒールがあるタイプのものだった。


「別の靴を履いて出直してきた方がいいんじゃない?」


くすっと笑われた。そしてその言葉に周りの取り巻きの子たちも声を上げて笑う。


ほ、本当に容赦ないなあ・・・!もし私が本物の三歳児だったら今ごろ大泣きしている。


涙目になりながら踏まれた足を見たら、可愛い色の靴は薄汚れてしまい黒いリボンもよれていた。


音が鳴るのはイヤだったけど、せっかくシェラさんがドレスに合わせて選んでくれたのに。


よくお似合いですよと嬉しそうに丁寧に私に靴を履かせてくれたシェラさんを思い出す。


私自身の見た目をどうこう言われるのは何とも思わないけど。でも私に喜んでもらおうと、私のことを考えてプレゼントされた物を馬鹿にされたり汚されるのは許せない。


さっきリオン様やシグウェルさんのくれたネックレスを馬鹿にされたのも思い出して、さすがに腹が立った。


「何しゅるんでしゅか!」


目の前のピンクブロンドの子を見上げてキッと睨んで怒る。


「あやまってくだしゃい‼︎」


「イヤよ、どうして?私は正しいことを教えてあげただけじゃない。」


可愛いのになんて子だ。ナイとは思うけどまさかレニ様、こんな子を選んだら悪いけど私は全力で反対するからね?


相手が幼児だろうと何だろうと、ありがとうとごめんなさいを素直に言えない子はダメだ。


「あやまるの‼︎」


ついさっきまで、大人なんだからと我慢したはずの怒りで体がかっと熱くなり、もう一度そう言った時だった。


私の言葉に合わせるように、私達のすぐ側にあった円卓の一つに小さな雷が一つドンと落ちてそれが割れた。


真っ二つに壊れたテーブルに置いてあり、そこから割れて飛び散ったティーポットの中身がピンクブロンドの子のドレスの一部と取り巻きの子たちのドレスにかかる。


きゃあ、と悲鳴が上がり騒然とする中で私は一人ポカンとした。


あ、あれ?これってグノーデルさんの雷じゃない?小さくなって怒りに自制が効かなくてこんなことに?


「何なのこれぇ‼︎」


「晴れてるのになんで雷が⁉︎」


「いやだ怖い~!」


ピンクブロンドの子の周りどころか庭園全体が騒然として何ごとかと侍女さんや騎士さんまでちらほらと集まり始めて来ている。


大変なことになった、と私は青くなりいたたまれなくなってしまった。










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