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205話 オフコラボで跳んだり落ちたり②

「ここは、こう――あっ!」


 スタートしてから順調に頂上へ向かって進んでいたものの、とうとうここで痛恨のミスが発生した。

 不運にも足を滑らせた場所が悪く、一気にスタート地点まで落下してしまう。


「ミミちゃん、惜しかったね。はい、チョコ食べて元気出して」


 落ち込んでいるミミちゃんの頭を優しく撫で、個包装のチョコを差し出す。


「ありがとうございます」


「やっぱりちょっと待って!」


 ミミちゃんがチョコを受け取ろうとした瞬間、あたしは慌てて手を引っ込めた。


「食べさせてあげるっ。はい、あ~ん」


 あたしはチョコをミミちゃんの口に近付け、食べてくれるのを待つ。

 配信中だからって、まったくイチャイチャできないわけじゃない。

 キスや過度なボディタッチは無理でも、これぐらいならオフコラボ中のスキンシップとしてなにもおかしい点はない。


「えっ!? あっ、ありがとうございますっ」


 ミミちゃんは一瞬驚いたものの、すぐさまチョコを口に含んでくれた。

 上手くやればリスナーさんにバレずに口移しすることもできたかもしれないけど、自分の暴走を防ぐという意味でも、それはさすがに自重しておく。


「さてと、次はあたしの番だね~。ミミちゃん、あたしが華麗にクリアするところしっかり見ててねっ」


「はいっ、片時も目を離しません」


「リスナーさんも応援よろしく!」


『頑張れ~』

『ユニコちゃんならできる』

『神プレイ期待してるよ』

『プロ級の腕前見せて』


「それじゃあ、クリア目指していってみよ~!」



***



「――ミミちゃん、その辺でいったん止まって一呼吸置いた方がいいよ! 焦って落ちやすいポイントだから、ここはひとまず落ち着こう!」


 勢い任せに飛び跳ねた結果あっという間にミスって交代したあたしは、自らの失敗から得た教訓を助言としてミミちゃんに送った。


「その調子で頑張って! あっ、いまの上手いね~! ミミちゃんナイス!」


「ユニコちゃんに応援してもらえると、いつもよりゲームが上手になってる気がします」


「えっ、ほんと? じゃあ、もっと応援するよ!」


『てぇてぇ』

『確かに上手い』

『ユニコちゃんの応援ボイス販売してほしい』

『さっきより明らかに上手くなってるね』


 その後、ひたすら上を目指し続けて跳躍を繰り返してきたあたしたちの分身は、数度の交代と気分転換の雑談タイムを経て、ミミちゃんの操作で無事に頂上へと到達した。

 一般的に使われている意味とは違うけど、これはもう立派な協力プレイと言ってもいいんじゃないだろうか。

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