絵本と作者とキャパオーバー①
とりあえず投稿。番外編みたいなものです
今日は姉とお出かけだ。
先日、作品を渡すついでに見知らぬ人と会うときに
姉の隣にいて手助けするという約束を果たすため、
姉の絵本を出している出版社に一緒に向かっている。
ふと、横を見ると姉が震えている。
何とかしなければと思い、私はとっさに姉の手を握る。
姉は少し驚いたが、すぐに安心したような表情で
私の手を握り返してくれる。
最高である。これがアイドルの握手会がある理由なのだろう。
推しの手を握れるという幸福感を商売として売っているのだ。
それはもうアイドルのライブとかで数億円が動くことにも納得できる。
そんな幸福感が私を包みながら、出版社の方に向かうのだった。
◆◆◆◆◆◆◆
出版社に着くと、受付で姉が手続きをする。
私が付いてくることに受付の人が少し難しい顔をしたが、
姉が私は妹だ、と説明すると笑って通してくれた。
だが…可愛い妹さんですね、おいくつですか?と聞かれて
姉が17歳です、と言われた時の受付さんの申し訳なさそうな顔を
私はしばらく忘れられないだろう。
ちくせう、せめて…せめてあと10センチ身長が高ければ…
私はこんな悔しさを抱くことはなかっただろうに…
そんな思いを胸に抱きながら、姉と一緒に用事を終わらせに行く。
まず、姉の書いた絵本を担当の方に渡しに行く。
担当の人はフレンドリーな方で、身長が低かったこともあり
私もすぐに意気投合した。数分ほど話した後、
件の人物が待っている個室の前まで案内される。
「すー、はー、すー、はー」
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。ただあと五時間くらい待ってもらえるかな」
「待てたとしても五分だよお姉ちゃん、
相手の方も待ってるんだし急がなきゃ」
「うん、頑張る、頑張る」
姉が自己暗示を始めてしまった。
しかしこのままでは埒が明かない、私は個室の扉を開き
姉の手を引っ張り中に入る。
「まってちょっと心の準備が!!!」
「もう、早く済ませちゃった方がいいでしょ?」
「うぅぅううぅ…!」
姉が恥ずかしさのあまり顔を覆ってしまう。
姉の代わりに通訳しようと、相手の方の方を向く。
俯いていて表情は伺えないものの、
社会人っぽい服装をしていて、別に怒っている感じはしない。
怖い人ではなさそう、かな…?あとなぜか身長が低い。
今日は身長が低い人に会う日だな、と思いつつも
ひとまず挨拶する。
「えーと…こんにちは?私は藤野永華といいます。
こちらが姉で絵本作家の藤野蒼羽です」
相手の方が少し反応するが、まだ俯いている。
うーん…どうしよう?姉はまだ恥ずかしさで悶えているし、
お相手の方も俯いたままだ。
どうしよう、と考えていたが
お相手の方が顔を上げる。
かわいい。小動物的な可愛さだろうか?
まぁ姉には及ばないが。
「あの…すみません、お呼びしたのに挨拶もせず俯いたままで…」
お相手の方がそう言う。
しかし、こちらの方が失礼な事しかしていない。
むしろこちらが謝罪するべきだ。
「いえ、こちらこそ申し訳ありません。
姉は少し…というよりも極度の人見知り…なんですよ。
私が来たのも姉に少しでも安心してもらうためでして。
もう少しで姉も落ち着くと思いますので、お待ちいただけると
ありがたいです…」
「いえ、元はと言えば私が無理にお願いしたことが原因なので…
あっ、自己紹介もせず話を進めてしまいましたね。
えっと、私の名前は藤川夜歩と言います。
今後とも、よろしくお願いできたらいいと思っています」
へぇ、藤川夜歩さん…藤川さん?
その名前は確か…
「えーと、もしかしてゲームのシナリオを書いてらっしゃる…」
「…そうですね、ちょっと、評価は悪いんですが」
…どうやら私の知っている人で間違いなかったようだ。
こうして私は思わぬ場所で、SROのシナリオライターの方と
思わぬ出会いを果たすのだった。
さて、この出会いが何をもたらすのか?
それは誰も知りません(作者も大まかにしか決めてません)
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