幼馴染、動く。
連続投稿二話目。
幼馴染サイドを久しぶりに登場させます。
「最近藤野様元気だよねー」
「そうだねー!今までの寝顔も素敵だったけど、
最近は活動的になって笑顔も増えたよね…
好きな人でもできたのかな?」
「…その可能性もあったか。どうしよう、
私その人を目の前にしたら嫉妬で正気失っちゃうかも」
「うーん、でもさ…永華様が気に入るってことは
絶対悪い人じゃないよね。素直に祝福できるような
いい人なんじゃない?」
「そうだといいなぁ…うん、なるべく祝福できるように
頑張るよ!」
クラスの会員の皆が最近の永華さんの様子を語っている。
僕としては真相を知っているので別に何も心配していないのだが…
先日、永華さんのお姉さん…蒼羽さんが帰ってきた。
数年ぶりに帰ってきたお姉さんにお姉さんが大好きだった
永華さんが大歓喜。全身で喜びを表現するような生活を送っている。
…お姉さんに対してちょっと嫉妬してしまう所もあるのだが、
永華さんが楽しそうならばいいかぁ、とは思っている。
ファンクラブの定期会議もそろそろだし、
お姉さんの存在を公言してもいい気がする。
最近ファンクラブの一部が噂の原因解明に動いているし、
ある程度は突き止めているだろうけど、まぁ念のためだ。
「ねえまーさん」
「?どうしたの福音さん」
後ろから福音さんが話しかけてくる。
福音さんも一緒に先日帰ってきたお姉さんへの
ノロケ話を聞かされたから、お姉さんが帰ってきたことを知っている。
「へいへーい、おーさんービビってるー」
「いきなり話しかけてきてなんなのさ…」
まぁ福音さんはいつもこうなので別に気にしてはいないが。
そもそも幼馴染だが、
自由人過ぎて理解するところを諦めているところがある。
「さっさとえーさんに告っちゃえばいいのにさー。
えーさんも別にまんざらじゃないと思うよー?」
「その話何度目さ…永華さんが僕に好意がないことは
福音さんも知ってるだろ」
そもそも姉以外には睡眠しか好きじゃないはずだ。
ご飯は楽に食べられるものが好き、というくらいで
味付けとかの好みは福音さんと似ている、といった程度だ。
僕なんて、というか男なんて眼中にないだろう。
「ふーん?もしやえーさんの好みのランキングをご存じない?」
「そんなの…、え?そんなものあるんですか?」
知らなかった。そんなランキングがあるのか…
というかランキング付けできるくらいに好きな物があることを初めて知った。
「まー、ランキングといっても10個くらいしかないんだけど。
情報に関しては二日くらい前に聞いたから正確だよ」
「あー…」
二日前と言えば、確かに何か永華さんと話していたことが
ファンクラブ会員の話であったので、嘘ではなさそうだ。
個数に関しては…まぁそれくらいだろうと予想出来る。
そもそも気に入ったらしばらくその一つに熱を入れるのが永華さんだ。
多かったら逆に福音さんの嘘だと思っていたかもしれない。
「まず一位はねー、やっぱりお姉さんだって」
「順当だね」
逆にここにお姉さんが入っていなかったら正しい情報か
どうかを疑い始めていただろう。
「二位はね、寝ることだって」
「うんうん」
それも順当だ。
「三位はね、私たち」
「ん?」
「特におーさんのこと聞いてみたら別にそういうのもありかな
って言ってた」
「ん???????」
今なんて?
「おーさんと付き合ってもいいってさ、
より明確に言うなら」
「へ?・・・・・・・ええええええええええええ!?!?!?!?!?」
朝から大声を出してしまった。
周りの人が大分驚いているが、少ししたら元通りに話し始めた。
「え、え、え?流石に嘘ですよね?」
「いーや、ほんとほんと。
何なら直球で聞いてみたもの、えーさんが付き合うとしたら誰?
って聞いて、しいて言うならでおーさんの名前言ってたよ」
やばい。脳がキャパオーバーしている。
「理由も聞いてきたんだけど、男の中だと
おーさんといる時が一番安心するんだって。
ほら、お兄さんがああだからえーさんのペースに合わせてくれる
おーさんは嫌いじゃないって」
「……………」
顔が赤くなっているのを感じる。
永華さんが、僕を?
「でもねー、えーさんやっぱり自己評価低いじゃん。
自分の容姿が並以下だと思ってるからさ、自分なんて魅力ないだろうし
自分と付き合う人なんていないだろうって言ってた」
そんなことない。
永華さんは可愛い。
笑ってるところも、寝てるところも。可愛い所が沢山ある。
それにそばにいて、なんとなくいいなぁと思えるのが永華さんだったのだ。
しかし、僕が日和っている内に高校生活が始まり、
永華さんが髪を切ってからライバルが増えた。
正直言って少しイラついていた、なにせ寄ってくるのは
容姿ばかりで何も見ていない奴ばっかりだった。
もっと彼女のことを知ってる奴ならば納得もできたが、
寄ってくるのはそうじゃない奴ばかり。
何とかしたいが、僕一人じゃできることに限りがあった。
そんな中、月野非泳さんと出会った。
彼女は永華さんが受けている状況にひどく憤っており、
友人二人と協力してこの状況を何とかしようとしていた。
それに手を貸し、更に有志を募り勢力を拡大していった。
それがファンクラブの始まりであり、
僕が会長になっている理由である。
「まー今告白するのもありだけどさー。
もうちょっと仲良くなろうぜー、おーさん」
「何をするっていうのさ…今はお姉さんにべったりじゃないか」
大好きな物から永華さんを引きはがすのは無理だ。
過去の経験からそれは明らかで、福音さんもそれは知っているはずだ。
「いーや、えーさんをおねーさんから引き離すのは無理だけど、
おーさんとえーさんの心の距離を近づけることはできるよー」
「どうやって?」
純粋な疑問だ、そんなことどうやって…
「えーさんね、好きなことを手伝ってくれる人とか
共感してくれる人には結構態度が甘くなるんだー、
つまり!えーさんと一緒にできることをやればいい!!」
福音さんが力強く宣言する。
「一緒にできることって何さ?」
それが分からないから苦労しているというのに。
「ずばり!SROだよ!」
「え?」
なんで今それが出てくるのか。
「えーさんね、この前のイベントでオール1位取ったでしょ?」
確かにそうだ。イベントには用事で参加できず、結果発表だけ見に行ったが
表彰されていたのは永華さんだった。
「その報酬でね、おねーさんにSROプレゼントしたらしいよ」
「へー…それがどうかしたの?」
「えーさんね、SROをおねーさんと一緒に遊ぶために頑張るらしいよ、
だからその作業を手伝ってあげれば…」
「好感度アップ、ってこと?」
「そのとーり!」
なるほど…別に考え無しな発言ではなかったようだ。
振ってわいたチャンスに、僕は永華さんとお姉さんがSROを
プレイするお手伝いをすることを決意したのだった。
「あ、そうだ。その他のランキング聞く?三位以降発表してなかったけど」
「一応教えてもらえると助かりますね…」
それから、三位以降のランキングを教えてもらった。
知らないものも中にはあったので、相当有意義な時間になった気がする。
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