忍び寄る兄の影
投稿二日目。この後もう少し書いたら二話目を投稿していきたいと思います。
「ふへっ、ふへへへへへへへ」
頬が緩むのを止められない。
今この時は無限に気味の悪い声を出せる自信がある。
さっきSROで撮った写真はすぐにフォルダに入れておこう。
誰にも教えていない隠しフォルダだ。パスワードも設定してあるが
もし開かれたら分かるように細工もしてあるし、
もし兄が開いていたとしたら
警察に突き出す覚悟くらいはできている。
私はそれからしばらく写真をフォルダに移す作業を行った。
◆◆◆◆◆◆◆
「おほぉ…私は…私はすばらしい物を目にしている…!!」
これは2~3分スクロールしても見切れない程までに
貯めこまれた姉の写真フォルダだ。
小さい頃の写真、旅の最中のテレビ通話のスクショ写真、
色々頑張って撮った隠し撮り写真などなど…
まぁ大量の姉の写真である。小学2、3年生ぐらいの頃から
撮りためたので相当な数が存在している。
バックアップも完璧だ。イーグルアカウントに保存し
ネットワーク上で管理できるようにした上で、
さらにUSBメモリ五本程度を用意してそれに保存し、
ネットワーク、物理含め絶対に消えないようにしている。
…流石に時間も経っているし、フォルダを閉じて
姉に会いに行こう。多分そろそろご飯の時間でもあるし
沢山お話しできるだろう。
◆◆◆◆◆◆◆
俺、藤野永樹は…いや、永華のお兄ちゃんは恐怖していた。
先日数年の旅を終え姉さんが家に帰ってきた。
元々永華は姉さんにべったりで、そこに少し…
いや大分嫉妬していたのだが、数年経てば流石に薄れるだろうと思い
旅に出ている間にむしろ俺の方が好感度を上げられるだろうと
思っていた。
しかし、まだ永華は姉さんにべったりだった。
というか見た感じさらに悪化した。
帰ってきたその日に一緒に風呂に入り、なんなら一緒の布団に寝ていた。
次の日の朝は朝食を永華が作り、姉さんにあーんをする等々…
明らかに以前よりもさらに依存度が上がっている。
あと、ついでのように俺への塩対応が強まった。
(俺が何をしたってんだ…)
これではあと2~3年くらいしたらもはや永華に
無視される生活を送ることになってしまうかもしれない。
そんなことになったら俺は死んでしまう。
何とか対策しなければ。そう考えた瞬間、
先日永華にされた相談の内容を思い出す。
そうだ、SRO。
俺もあれをやればいい。
そうすれば何ら問題ないのだ。なぜ気付かなかったのだろうか。
そう思い立った俺は、即座にSROを起動するのだった。
それから程なくチュートリアルを終え。
俺のレベリング…いや、打倒姉さん計画が始まった。
◆◆◆◆◆◆◆
一方その頃。
「お姉ちゃんー?」
「なーにー?永華ちゃん」
「お菓子作ったから食べる?クッキーなんだけど」
「食べるー!永華ちゃんのお菓子美味しいし!」
永華は姉に餌付けしていた。
好感度上限突破の姉に好感度下限突破の兄が勝てる日は来るのか。
それは、誰にも分からない。
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