引き金はこの手に③
出来る限り頑張って早くイベント終わらせなくては…
とりあえず今日は二話上がります。
いくつかの建物跡の内部を探索していき、
あの建物の役割が分かった気がする。
ここは、実験施設のような場所のようだ。
跡に残った場所にある残骸の類を見た感じでそう思った。
外から見ようにも、残骸はかなり小さいものばかり
だったので見落としていたようだ。
…そして、実験していたものはかなり小さい生き物だったようだ。
それこそ手乗りサイズぐらいだろう。
ガチャで当てた妖精、あれからレベル上げの際にちょくちょく
オオトカゲ以外は使っていたのだが、
あの妖精たちと似たようなサイズのような気がする。
隠匿の妖精郷…名前の意味を含めてもかなりきな臭くなってきた。
怪しげな実験施設らしき建物跡、王国との関係性。
全体的にすべての人間が怪しくなってきた。
考えを巡らせながら、建物跡をを出ようとした瞬間、
ふと、地面に何か光るものを見つける。
「…ん?」
なんだあれ、何か光る結晶のようなものが…
「ふぇ?」
私が近付いた瞬間、結晶のようなもの
は激しく光り、私は光に包まれた。
◆◆◆◆◆◆◆
村に竜がきた。竜は私たちに要求した。
強者との戦いを。強者を用意できないというのならば
お前らを食うと。
私たちに選択肢はなく、戦うしかなかった。
私たちは勇気をもって立ち向かった。
だが、一歩及ばなかった。しかし、何を思ったのか、
竜は私たちを生かした。
「我が望むは強者との闘争。汝らは今潰すには惜しい新芽だ、
半年後、再びこの地に降り立つ。
強くなれ。今の汝らは強者ではない。強者となれたのならば。
我は死力を尽くし、汝らと相まみえようぞ」
私たちは更に強くなろうとした。しかし、独学では限界があった。
そんな時だ、師匠と会ったのは。
「君たちは強くなりたいのかい?」
師匠はそう聞いてきた。
なりふり構わず私たちはうなずいた。
師匠は微笑んで言う。
「そうかい。先祖代々の恩義に、村の皆の日々の供えで
私は生きることができている。ならば、前途ある若人を
導くのが私の務めだろう」
そう言うと、師匠は私たちを妖精郷に転移させた。
私たちはそこで師匠の教えを受け、着実に強くなっていった。
妖精郷に来て三か月程度が経過したある日、師匠が言った。
「もう私が教えられることはない。
その身に秘める勇気を奮い、私たち妖精との絆を
忘れない限り、君たちの力は必ずや竜を倒しえるだろう」
師匠の言葉を胸に、私たちは竜が来るのを待ちました。
竜の不意を打てるように、魔法を使い周囲の環境を変え、
ついにその日を迎えた。
竜に見つからないように身を隠しながら竜の様子をうかがうと、
竜は私たちを探しているようだが、見つけられてはいないようだ。
「どこだ!よもや逃げたのではあるまいな!?
見逃さず殺すべきだったというのか!
腹立たしい、ああ腹立たしい!
手始めにこの村を焼き尽くし、地の果てまで探し出し
一族郎党皆殺しにしてくれる!」
竜が飛び立ち、火を放とうとするその間際。
私は好機は訪れたと、地面を強く蹴り出し
竜の逆鱗に一撃を叩きこんだ。
竜はうめき声を上げるが、同時に笑う。
「くくくくっ、はははははははあははあっはははは!!!!!
そうか、機をうかがっておったのか!いいだろう、
搦め手を使ったことを咎める道理なし、我が逆鱗を穿つべく…
いや、我が命にその刃を届かせんとするその確固たる意志ッ!!
賞賛と感嘆の声を上げるに足る執念よォッ!!!!!
その覚悟に免じ、我も名乗ろうではないか!!!!
我が名は、大空を統べし竜の一角!黒き竜が長…
ニール!我が父ファーヴの名に誓う、
この闘争に、死力を尽くすと!!!!!!!」
竜は、そう力の限り叫ぶと
私たちに向かってきた。
竜は強かった。それこそ、師匠の下での修業が無駄にならなかったと
思わずにはいられないほど。
しかし、どんな戦いでも終わりは訪れるもの。
三日三晩の戦いの果てに、私たち四人は竜に勝利した。
「くくくくっ…あぁ、満たされた。
血沸き肉躍る…このような強者との戦いは久方ぶりよ。
感謝するぞ、それでこそ摘み取らず待った甲斐があるというものよ。
感謝するぞ若き勇者たち、我が命賭すに値する素晴らしき力よ」
竜は笑う。その命が今終わろうとしているこの瞬間ですら、笑っている。
楽しげに、私たちを讃えるように、自らの健闘をを誇示するように。
真の強者はこうでなくてはならないと、自らの命をもって証明するように。
…勝てないと思った。竜は、竜であるからこそ強者なのではない。
竜は、強者であるからこそ竜なのだ。
故に私たちは彼に敬意を払うため、私たちは竜を癒した。
それが、闘争を求めていた竜にとってどれだけの侮辱となるか
は分からない。しかし、この強者ををみすみす死なせてはならないと
心がそう思った。
しばらくして、竜は起き上がる。
私たちに対する憎悪に染まっているだろうと思っていた
竜の目は、また笑っていた
「くくくくッ…ふくくくくッ!!!
勇者たちよ、貴殿らは我が我を癒した瞬間に
襲い掛かるとは考えなかったのか?」
竜はそう言う。しかし、私は答える。
「貴方がそんな考えのもとに戦っているのであれば、
私は貴殿を即座に殺しただろう。しかし、貴殿はそうではない思った
だから癒した」
その答えがさぞ面白かったのか、竜は大笑いを始める。
必死に笑いをこらえながら竜は話す。
「カカカッ、貴殿はどうやら相当肝が据わっているようだ。
我は人を脅かすもの。そんな我にそのような事を抜かす
恐れ知らずは今も昔も貴殿だけだろうよ」
「おかしい?」
私は問う。
「いいや、むしろそれでこそ我を打倒した勇者といえるだろう。
貴殿、名は?」
「何故名を問う?意味が分からない」
「あぁ、貴殿は嫌に合理的な考えをしているようだ。
我はただ、貴殿が気になった。我を打倒し、我を癒し
己が強さを証明した貴殿がな。故に、まずは名を問うことにした。
話をするにも、名を知らないと不便だろう?」
なるほど、と私は思った。
故に、答えた。
「私の名前はヒルデ。ただの農村の娘」
「あぁ、ヒルデ…ヒルデというのか。
今宵は貴殿らの話を聞かせてはくれないか」
私たちは竜に同意し、これまでの話を始めた。
これまでの、私たちの人生の話を。
平和ですね。(にっこり)
ですが次回は…
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