今は亡き竜王に花束を④
頑張る…頑張る…
(突然出現した「存在しなかったはずの描写」)
(踏切発車すぎる)
本のありそうな場所を探し始めて10分程度経っただろうか。
ミソラが図書館らしき場所を見つけたらしく、
ミソラに案内してもらっている。
「ここだよー、中に古い本が沢山あったんだー」
少し警戒しながら中に入る。
しかし、危険はなさそうなので
少し警戒を緩める。
「すごい本の数だね…」
「そうなんだよねー…本当にこの中にヒントがあるのかなぁ」
そう言って私たちはヒントがないか探し始めたのだが、
ふと思う。
「ライカさんとテットウさんたちも読んだ方がいいんじゃないかな…?」
見た感じ、この図書館らしき建物はかなり広い。
調べる区域を絞っても、相当な時間がかかりそうだ。
となるといったん戻って人を呼んだ方がいい気がする。
が。
足元からベキッ、と音がして床が崩れ落ちる。
「うわぁぁぁ!?!?!!?」
「あっ!ご主人さま!?」
床が崩れて、下に落ちてしまう。
どうやら下には空間があったようで、そこに落ちてしまったようだ。
幸い落ちた先にあった空間はそれほど天井が高くなかったようで、
戻ろうと思えばすぐに戻れるように感じた。
「ここは…?」
落ちた先の空間は、薄暗くてよくは見えないが
こちらも本があった。
恐らくは、古い価値のある本をここに置いてあったのではないだろうか
と思う。一冊一冊丁寧に展示台のようなところに配置されている。
「これは…?」
しまってある本の中でも、かなり厳重に保管されていただろう
価値の高そうな本を見つける。しかし、他の本とは違い
展示台が破壊されていて、読むことが出来そうだ。
「うーん…」
読んでみたい。が、しかし厚さがある程度あり
かなり読むのに時間がかかりそうだ。
その間にライカやテットウに何も言わずに読み続けるのは
申し訳なさすぎる。
しかし、これは重要な手掛かりになりそうな気がする。
ちょっとだけ…ちょっとだけ…最初の冒頭のページの所だけ…
「読もう」
うん!どうせライカさんもテットウさんもしばらくは
手がかりを探しているだろうし、ここで本を読んで時間をつぶしても
問題はないだろう。
「さてさて…どんなお話なのかな…?」
私は本を読み始めた。
◆◆◆◆◆◆◆
あるところに、とても勇気がある少女がいました。
少女の生まれた場所は、ありふれた農村です。
少女はすくすくと育ち、とても美しく成長していきました。
しかし、平穏は突如として崩れ去ります。
村に、とても大きく邪悪な竜がやってきたのです。
そして、村人たちを見まわして言います。
「うまそうな肉どもだ。手始めに数匹食らうとしよう」
そう言うと竜は、少女の父や村で一番の狩人、
腕っぷしの強い村長など、農村の中でも
強そうな人間を五人ほど食べてしまいました。
そして竜は言います。
「これから半年ごとに貴様らを食いに来る。
逃げようなどと考えるんじゃないぞ、
逃げたら皆殺しだ」
村の大人たちは震えあがります。
この辺りに逃げられるような場所は近くになく、
逃げるのに関する備えをするとしても、半年ではとても足りません。
それに、逃げたとしても相手は竜です。
自分たちなど、いともたやすく見つけられて殺されるのが
目に見えています。
大人たちはガタガタ震えながら家に引きこもってしまいました。
しかし、少女とその3人の幼馴染たちは違いました。
少女と幼馴染たちは竜を倒そうと考えたのです。
しかし、自分たちには勇気はあっても力はありません。
すぐに竜と戦って倒そうとしたとしても、
返り討ちにされて殺された挙句、竜の村人たちへの扱いが
更に悪くなってもおかしくありません。
少女たちは知恵を絞らせます。
純粋に力比べをして勝つ方法など、ただの農民の子供だった
彼女たちには存在しません。
そこで、少女たちの中で最も頭が回る幼馴染が言います。
「竜の逆鱗を探そう」
竜の逆鱗とは、竜に対して最も有効な弱点です。
どのような竜でもここを攻撃すれば、著しく力を失うといいます。
しかし、竜も逆鱗は弱点であるという事は
理解しているので、当てる事は容易ではありません。
ましてや―――-
◆◆◆◆◆◆◆
〈探索時間限界に到達しました〉
〈探索時間を超過したため、広場に強制転移いたします〉
「へ?」
突然アナウンスらしき声が響き、
広場に戻ってきてしまった。
隣にはライカとテットウもいる。
「「へ?」」
ライカとテットウも驚きの声を上げている。
「あれ…こんなルールあったの…?」
突然イベントエリアからいつもの広場に飛ばされてしまった。
探索時間が~といったアナウンスがあったので、
多分それが関係していると思うのだが…
そう思い、イベントのルールを見てみる。
ランキング制、ポイント、イベント専用マップなど、
一度見たルールを読み飛ばし、確認したいルールを探す。
「これかな?」
下の方に確認したかったルールを発見する。
どうやらイベントマップにいられる時間は戦闘時間を除いて
3時間。それを超えるとイベントエリアから強制的に広場に
移動させられてしまうらしい。
隣からテットウが話しかけてくる。
「嬢ちゃん、こっからどうする?さっきのアナウンスからして、
今日の探索はこれで終わらなくちゃいけないみたいだしな…
今日はもうお開きにするか?」
うーん…別に特にもうやりたいことはないし、ログアウトしてしまいたい。
「特にやるべきこともないので、ログアウトしますね?」
「おう。俺たちは明日も同じ時間くらいにログインするから、
集まりたいときはフレンドの所からメッセージ送ってくれよ」
「分かりました!ありがとうございます!」
「おう!またな!」
二人に別れを告げて、私はログアウトした。
◆◆◆◆◆◆◆
VRの機械を取ると、何やら下が騒がしい。
部屋の鍵を開けて、下に降りる。
「なにかあったの?」
リビングに入って、何やら真剣そうな顔をした兄に聞いてみる。
「あぁー、あのな、永華。驚かないで聞いてくれよ?」
どうかしたのだろうか?何かに怯えているような声だ。
いつもなら一切怖いものはないと豪語するように自信たっぷりなのだが…
「姉貴がな…帰ってくる」
「へ?」
次回、姉襲来。
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