シナリオライター、藤川夜歩
今回はおまけのお話!
(思いのほか本編の筆が進まない
「ひえー、また隠しエンドの発見者が一桁っぽいよ…
ちゃんとわかりやすいヒントも入れてるはずなのになぁ…」
発売から早半年。
私、藤川夜歩がシナリオを書かせて頂いたゲーム
「マスカレイズ・ヒーロー」のエゴサを終えて私はつぶやく。
「うーん…やっぱりいつもの人たちしか
見つけてくれてないみたいだしなぁ、どうしてだろう?」
今までのゲーム全てに隠しエンディングは実装されている。
私が初めて担当した「モノクロームオンステージ」で
隠しエンドを発見してくれた人…というか、
私の隠しエンドに到達するためのヒントの出し方を
知った人達は今回の作品でも隠しエンドに気づいてくれたようだが…
逆に言えばその人たち以外は全く気付いていない。
「さして難易度も高くないはずなのになぁ…」
私の書くシナリオは鬱シナリオといわれている。
確かに私の作風は暗い。
今回の「マスカレイズ・ヒーロー」も今までと同様の評価を受けている。
内容としては、仮面ライズなどの変身ヒーローをベースに、
力を手に入れた代償、それに伴う主人公の葛藤。
正義とは何か、ヒーローとは何か。
敵を倒すごとに人間ではなくなっていく主人公、
そんな主人公を止めようとする友人やヒロイン。
異形へと変貌していく主人公に対する一般市民の
冷たい評価。それらの展開を全てひっくり返すような、
これまで進めてきてよかったと思えるような出来に仕上げた
隠しエンド。
私としてもかなりの自信作なのだが…
「隠しエンドを見つけて貰わないとなぁ…
ただの後味悪い作品なんだよなぁ~」
そう。私の作品は隠しエンドを見ることを前提としている。
今回の「マスカレイズ・ヒーロー」も
隠しエンド以外のエンディングはかなり救いがない
ものしかないと思う。救いがあると思えるのは
2、3個しかなく、しかもそういうエンディングがあるだけで何故か
SNSなどで私の名前がトレンドに出てくる。
しかもちょっと上の方に目を通しているだけでも
「まさか…人の心を取り戻したというのか…!?」
「嘘だろ、こんなの…こんなの、藤川夜歩じゃねぇ!
本物はどこだ!?」
「これどう考えても藤川夜歩が体調良くない時に書いたシナリオだろ」
と正直言って異議を申し立てたい評価しか出てこない。
「これじゃあ、あのイベントのシナリオもダメそうだなぁ…」
「Stella remake online」、世界初のVRMMORPGゲーム。
シナリオ監修の依頼が来たときはあまりの責任の大きさと
不安から吐きそうになった。私この業界に入ってまだ2年くらい
だと思うんだけど…という反論は無視され、
私は見事シナリオ監修の立場を手に入れた。
正直言ってあまりの不安感から相当なストレスがかかっている
のでこの立場を捨てられるのならばすぐ捨てたいが、仕事なので
頑張るしかない。
「Stella remake Online」で今回私が担当した「今は亡き竜王に花束を」。
イベントということで、シナリオの長さはそんなに長くないが
ヒントが見つけ辛い…というか運営の方から
「こういうギミックを使いたいのでこういうイベントは
入れられるだろうか」という意見も多く、
私がシナリオを書かせて貰っているゲームよりもかなり
隠しエンドの発見難易度が上がっている。
それにいつも私の隠しエンドを発見してくれている人も
このゲームをやっている人はエゴサをしている感じでは
いなかったので、このシナリオの隠しエンドを見つけられる人は
いないだろう、今までもそうだったのだ。
「あぁ~、隠しエンドをクリアした上で
私のシナリオで感極まって泣いてくれるような
心優しい子が現れないかな~」
そんな希望的な観測を述べながら、私は仕事を始めた。
誰だろうね(すっとぼけ
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