閑話:夏休み旅行⑬
連続投稿期間です。
遅くなりました、悪天候とか諸々のせいです
お昼ご飯のお話とSROのイベントのお話
一応、ソース等の材料や使い捨ての容器を
一度買い直し、一時間遅れてではあるものの
私たちはお昼ご飯を食べ始めた。
ファルやグリムたちが凄く残念そうに
美味しく焼けていくお肉や野菜を見ているのは
非常に申し訳なく感じてしまったが…
実は一部はフリザンおばさんの手が加えたものの一応
まだマシな感じだった部位を切り取って使ったものだから
正直ヒヤヒヤしながら食事をしているし、
この気分を二人に味わってほしくはないなと思っている。
基本的にお肉には手を付けていなかったようだが…
その分野菜はほぼ全滅しており、たまーにふーさんや兄が
処理が甘かったものを食して滅茶苦茶な反応を示しているのが見える。
できる限りのことはしたのだ、しかし量が多すぎて
対処しきれない点も多々あったのも事実であり
話し出すと軽く愚痴を含めて一時間は時間が飛ぶため
食材の末路を処理していく中でチエちゃんが
言っていたことを一部抜粋する。
「…なんで食材に赤を加えるために酢酸カーミンを使うんですか?
彩りを加えると言っても全部着色料でやるわけじゃないんですよ」
「え…だってただ料理するだけで
トマトスープがあんな色になるの…?」
付け合わせのレタスを細胞核から真っ赤に染めた
着色料マシマシの真っ赤なレタスを作成していたらしい、
トマトスープを例に出されてもレシピによるとしか言えないが…
真っ赤になるのは少なくともそういう理屈ではない。
「なんでそんなに七味をまぶしてあるんです?」
「…それ、違うの。実は」
「え、これ七味じゃなくてそれなりの期間
放置した保存食のクッキーを砕いたもの…?本気で言ってます?」
本人曰く長期保存食品だし賞味期限切れではないけど
色が変わってて早めに使わなきゃと思ったらしい。
量が多い上に変色したら一応使わないという理性はないのだろうか?
チエちゃんが言うには「これでもまだマシな方」とのことだが、
最早これ以上が存在することに恐怖を覚える。
腐っているかもしれないものを入れる、着色料をドバドバ
入れる以上の無法料理が存在していいのか…?
「おいしいね~」
「そうだね、ポトリーさんはもうあれなんだろうね…」
「おいしい!おいしい!すごくおいしい!」
お肉と野菜を交互に食べつつ泣きながらそう叫ぶように
喜びをあらわにするポトリーさんの姿を見る。
…いや、本当に凄い味だったのだろう。
見た目は悪くない気がしたし理性は怪しげに見ていたが
好奇心が抑えられなかったというのもあるかもしれないし
フリザンおばさんが自信満々に差し出したのかもしれない。
だが日本に帰ってきてから舌が肥えたであろうポトリーさんが
ここまで壊れている様を見ると、どれだけ料理下手だったら
完成品を食べた人を普通のお肉と野菜と付け合わせのソースに
ここまで感動できる人間を作り出せるのだろうか?
『そら、二人とももっと食いなァ!じいちゃんの畑で取れた
でけえトウモロコシもっといらねえか!?』
「俺もらう、いやーやっぱ
でっけえなぁじいちゃんのトウモロコシ!」
『お前もずっと好きだな!そら、熱いうちに食っちまいな!」
おじいちゃんが元気よく三本ほどの焼きトウモロコシを
持ってくると兄がそのうち一つを手に取り、
勢いよくがぶりと食らいつく。
かぶりついたトウモロコシから瑞々しい音が鳴り、
パリ、という感じの音とパリ、という感じの音が混じった
ような気持ち良い音が響く。
「やっぱ身が詰まってて甘えや!美味ぇよじいちゃんありがとう!」
『おう!味わって食えよ、蒼羽たちもどうだ?食うか?』
「食べる~!おじいちゃんたちの野菜おいしいから好き!」
『そうかそうかぁ~!うれしいねえうれしいねえ、
ほらアツアツの奴早く食いな!』
…チエちゃんを一度おじいちゃん家へ連れて行った時から
思っていたのだが、おじいちゃんたちの着けている
翻訳機の性能はやはりかなり高いのではないだろうか。
フリザンおばさん謹製だというのは知っているのだが
細かいニュアンスまで訳しているのは中々すごいし、
私たちの言葉も同時並行で翻訳しているらしいので
とてつもなく処理も重量も重くなりそうなものだが…
『どうした永華、お前もトウモロコシ食うか?』
「いただきます」
『おう!ほれ、熱いから気を着けな!』
片耳に苦にならない程度の重量でかけられているそれを見て
なんであんなにすごい機械は作れて料理はあんな感じなんだろう…
という疑問を、テントの内側の端っこへ置いておいたソースの容器
のことを考えながら思わざるを得なかった。
◆◆◆◆◆◆◆
「わぁ、あれトカゲとよく一緒にいる奴だ」
「えーさん、そんな覚え方はないと思うんだ。
確かにトカゲ君も初日からの因縁の相手かもしれないけど
ゴブ君をそれのおまけっていう扱いも本当にどうかと思うよ」
「いえあれ小さくないですか?
歩いててぱっと見つかるようなものですかね…?」
「私のご主人様ですよ、当然じゃないですか?」
お昼からしばらく経って、せっかくだから
SROのイベントを見に行ってみようという事になり
ふーさんたちとファルたちと一緒に街に出てきた。
「にしても人が多いねえ…
もしかしたら知ってる人もいるかもね?」
…確かに、もしかしたらライカさんとかも来ているのだろうか?
少しきょろきょろと辺りを見回してみるが…
「うーん、いなさそうかなぁ…?」
「まぁ、多分そうだと思いますよ。
来る時間もあると思いますしそんな
奇跡的な一致なんてそうそう…」
「あら、藤野ちゃんじゃない。こんなところで会うなんて奇遇ね」
「え…華さんですか?ということは」
「どうしたんだ華、急に立ち止まっ、って…」
凄くおめかししてデートしようといった感じの恰好の華さんと
恐らくふぃろーさんらしき人物が私の顔を見て立ち止まる。
「え、知り合いの人…?」
「え、っと。一応…お話して大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。問題あるような行動でもないでしょ?」
一応許可を取って私はせすさんたちを紹介する準備を整える。
予想外の二人との邂逅に、私は面食らってしまったが…
なんだかんだ面白いことになりそうかもしれない。
普通にライカさんたちを登場させようかは
迷っている、次回に出てこなかった(or登場匂わせがない)
場合は登場しませんが、あった場合は登場するかもしれません
誤字脱字あれば報告お願いします。




