閑話:夏休み旅行⑨
遅くなりました、しかしようやく戻ってこれました!!!
正直辛かった、運動できるタイプの人間ではないので
滅茶苦茶体動かす用事だったのもあって
かなり体に負担がかかりました…
でももう終わったのでここからしばらくは用事はありません。
今回も前回の続き、旅行編です。
正直九月前半では終わる気がしねえや…
なんで夏休みの内容を九月後半まで続くレベルで
書いてるんですか?(息絶え絶え)
「予定時刻となりました。ただいまより
あおいはねのゆうびんやさんの作者である
藤野蒼羽先生とのファン交流会を開催いたします」
…始まってしまった。
割と頑張って笑顔を張り付けて最前列を確保しているのだが
中々に心が痛み、大丈夫かと内心ははらはらと落ち着かない。
「わー!トーリくんのお帽子だ!」
「すごーい!背がおっきい!」
「おっぱいおおきーい!」
「ねーなんでお顔隠れてるのー?」
「隣の黒い服の人だーれー?」
…はっ、単純な欲望に溺れてしまった。
しかし予想の上では現状ですら相当きついはずなので
私がなんとか数を減らそうとしたものの
抵抗むなしく姉の元に子供が殺到しているが…
でも今のところは大丈夫そうだ、そこだけは
安心すべき点なのかもしれない。
「はーい、みんなー!
ちょっと先生から離れてね、あんまり近すぎると
みんなの声が先生に聞こえなくなっちゃうからね!
お話を聞くときはしっかり距離を取って並んで聞いてね!
スタッフのお姉さんとの約束だよ~?」
黒子姿の藤川さんがそう子供たちに向けて話す。
いつもより気持ち明るく通る声で喋っているのは
少し不思議な感覚だ…
「え~?」
「おねーさんなんでそんな格好なのー?」
「ふふ、秘密だよ~。お姉さんは少し先生に頼まれて
サプライズの準備を…おぉっと。これは言っちゃダメだった」
口元に指を当ててしー、と冗談めかして
藤川さんは話すが…はて、サプライズ?
先程の作戦の中でそんな話をしていただろうか。
「(姉さんは…まだ大丈夫そう?
凄いや、私の知らないところで成長して…
ちょっとだけ寂しい気持ちだな)」
姉の様子を見るにまだまだ平気?のようだ。
以前までならこのくらいの時間には少しふらついていたのだが…
成長と言えるだろう、とても嬉しいことだ。
◆◆◆◆◆◆◆
「やあみんな。こんにちは、
みんなが見てくれてる絵本を描いた
藤野先生だよ。今日はよろしくね」
つまることなくすらすらと言葉が出てくる。
どうしてだろう、みんながいるからだろうか?
それともこの被り物のおかげ?
不思議だ、いつもの私ならば
三秒と持たないこの空間に私は一切動揺せずに
自己紹介をすることが出来ている。
「ねーねー、さいんちょーだい!」
「えー!ひーちゃんずるい、私もサイン欲しい!」
「わたしもわたしもー!」
…サインか、潮木さんに渡されたらしい
進行の紙には前回と同じようにサインの時間もあった、
しかしまだまだ先…でもいいか、どうせするなら
一緒だろう。
「わかったよ。順番にしてあげるから並んでね」
「「「やったぁー!!」」」
「(…中々大丈夫そうですね、私としても
助けがいらない状態は中々にうれしい事ですが)」
藤川さんが小声でそう呟いたような気がする。
…確かにどうしてここまで大丈夫なんだろう?
そこまでたくさんの知り合いや友人が増えたわけでは、いや?
「(そっか、私も友達がたくさんできたからなのかな?)」
大学とか高校の軽い付き合いだった友達とは
多分縁が切れているんだと思う、だって夢のために
かなりのものを切り捨てたような気がするし
そこまで深い仲でもなかったように思う。
でも、日本に帰って来てから
永華ちゃんが頑張って手に入れてきたSROを遊んで、
永華ちゃんの幼馴染の二人や、新しくできたお友達のみんな。
それにトピアさんや藤川さんたちと仲良くなった結果として
私の人見知りというのは少しばかり改善していたのだろう、
だから今私はいつも通りの対応が出来ているのだ。
「ちょっと待ってね、ポケットからペンを出すから…」
トーリちゃんの覆面をしているため良くは見えないが
一番前の子がキラキラとした目でこちらを
見つめているように見える。
あれ、さっき藤川さんから借りたペンってどこに入れたっけ?
確かこっちに入れたはず…いや、少し被り物のせいで
見にくいだけでこっちのポケットにあるな…
「まーだー?」
「あ、ごめんちょっとだけ待ってね…
おかしいな、こっちのポケットにあるはずなのに」
何度かポケットのとなりを通過しつつも、
ポケットの中に手を突っ込みペンを取り出そうと
ごそごそと探るのだが…そこで目の前の子がこちらの方へ向けて
突如距離を詰めてくる。
「大丈夫?お帽子取ってあげるね!」
待って、そんな一言を発する暇もなく
ポケットを探る手に意識を集中していたために
防ぐことも叶わず私は被り物を奪われる。
「わ!せんせいきれい!」
「すごいびじんさんだー!」
帽子はどこかへ放り投げられ、
幼児とはいえそれなりに遠くへ行ってしまう。
藤川さんも止めようとしてくれたようで、
遠くへ飛ばないように投げられる前に
被り物を掴もうとしてくれたようだが…
あっけなく転がる見慣れた鳥のお面を見守りながら
私は震える手でペンを痛いくらいに握る。
「ねーせんせいはやくしてー!」
「は、はひ…ちょっと、待ってね」
後ろの方にいる子供から急かされ、
一番前の子から絵本が目の前に差し出される。
息が浅い、視界が揺れている。
小さい子供たちと藤川さんに永華ちゃんだけだった
視界に子供たちの親の顔が映り出す。
その顔は大半が明らかに少し動揺の顔を
見せているように見えるが…しかし、一部は
失望の顔を見せている。
考えがまとまらない、視界の揺れは酷く
頭痛と耳鳴りを伴った酷い状況へと変化していく。
「はっ、はっ、はぁっ、はあっ…!」
「せ、っせんせい…?」
目の前の子が少し心配そうな声で話す。
あれ…この子の顔がよく見えない、あれ?
私は今立っているんだろうか?座っているんだろうか?
揺れる視界では何一つ正確にとらえることが出来ない。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」
耳鳴りが酷くて誰の声かもわからない。
あれ、今私の体には力が入って…?
自分の体が何か安心する匂いに包まれた気がすると
同時に、私の意識はぷつりと途切れた。
最初の子供たちの中に交じって
何らかの煩悩まみれなことを口走った主人公がいるってマ?
最後の姉に関する描写についてですが、
これについては明日の更新でお話ししたいと思います
(正直人が苦手というだけであそこまで主人公が
弱気な対応をするかという話でもある)
誤字脱字あれば報告お願いします。




