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閑話:夏休み旅行⑦

連続投稿期間です。

あたまいてえ!!文字かけねえ!!で

数時間格闘しつつ何とか完成しました。


前回に引き続き展覧会でのお話、

なにやらアクシデントが発生したようですが…?


朝早くだから絵本の展覧会だというのもあるのか

子供連れではない少数の男女が並んでいるくらいで、

意外とすんなり入ることが出来た。


…存外に心に来たのが、

やはり小学生以下限定の入場特典である

姉が出した最初の絵本のミニサイズ版を

ナチュラルに欲しいかと提案されたときだろうか。


私としては身長が伸びて中学生以上を対象にした

キャラクタータオル(全5種)を提案されると

思っていたのだが…やはりまだ小さいのだろう、

もっと伸びなければ小学生と間違われる生活は続くか…


「では、あちらです。ごゆっくりお楽しみください」


受付の人がチケットを受け取り、

そう言って展覧会の入り口をくぐるように促す。


「…わぁ!トーリちゃんとキャッピくんだ、凄い、おっきい!」


「お、おーさん。えーさんの語彙が、語彙が死んでる…?」


「年相応に見える気がしますね…あれ、

 いつもと雰囲気が違い過ぎて割と同一人物かを疑いたいんですが」


失礼な、何千何万回は読み返した姉の絵本のキャラクターが

等身大パネルで展示されているとするならば私の反応は当然だろう…


「あぁぁぁ…ここの羽、羽の部分が凄い姉さんの感じ。

 絵なのに柔らかそう…ふわふわ羽毛…」


「いつもの永華ちゃんじゃない?…あれ、どうしたの永樹」


「…大丈夫だ、嫉妬の炎に焼かれそうになったが

 もうそんなことで取り乱す俺じゃない。でも動揺がデカいから

 少し落ち着いてから行く、先行っててくれ…」


「凄い、入り口から愛を感じる凄い良い感じ…」


兄が順路の端に寄り、少し深呼吸をしながら

立ち止まってしまったが…とりあえず先ほどの話は聞いていたので

気にせず先に進むことにする、多分この感じなら

一巻から順に作品のキャラクターだったりを展示しているはずだ。


「…永華、永華。あそこ見てください」


「ふぁぁぁぁ…!イロネズミの兄弟だぁ…!

 凄い、ちょっと探してみたらもっとあるかな…!?」


チエちゃんは段々精神的に回復してきたのか、少しずつ私に

ぽつりぽつりと話しかけて来てくれるようになり…

私に展覧会の中に隠されていた隠しキャラクターを教えてくれた。


全ての巻に確実に一匹は隠れている体の色が

虹に含まれている色のどれかで塗られたネズミだ、

正直言われなかったら気付かなかった…!


「さいっこう!!!

 早くもっと探しに行こうチエちゃん!」


「…う、うん」


少し昔のような声色に戻ったチエちゃんの手を引いて

私は少しずつじっくりと順路をめぐっていくことにする。

わ、あそこにいるのは一巻の山場である依頼者の

食いしん坊ホークだろうか…!?


「…ないと思うけど、次ある時は

 ちゃんと永華ちゃんに教えてあげようと思う」


「そうしときな姉さん、あのくらいに喜ぶ顔は俺も

 そんなに見たことねえよ。いくら姉さんが

 自分に自信がなくても、そこだけは誇れるだろう?」


背後から何かそんな話をしているのが聞こえた気がしたが、

興奮して展示物を見るのに集中していた私には聞こえなかった。


◆◆◆◆◆◆◆


「むふー…まだ三巻の部分のはずなのに

 凄い満足感だよ、チエちゃんはどう思う?」


「う、うん…すごいですよね。

 私もあそこまで本気の展示とは思わなかったです」


たった三巻、正直十数メートル歩いただけとは

思えない満足感だ…とんでもない展覧会である、

ここから原画展示とかいろいろな催しがあるって本当ですか…?


「チエちゃんもありがとーね、肩車とかしてもらっちゃって」


「ううん、頼ってくれてうれしいですよ。

 私も展示をよく見れて楽しいですし」


…本当にいつものチエちゃんと同一人物とは思えないほどに

憔悴している、いつもは去年の冬頃と似たようなことは

起こらなかったのでこんな状態になるような状況自体が

存在しなかったというのもあるのだが…


「…それにしても、工夫がとても凝らされていて

 凄い良い展覧会ですね…うん、お姉さんの入ってる出版社の

 方は凄い良い人たちなんですね」


「そうだね…いやどうなんだろう?

 サイン会とか色々姉に対する対応がどうなんだろうと

 思う事があって…」


そんなことをチエちゃんと話していると、

私の前にいた見覚えのある女性が話しかけてくる。


「ふふふ…お久しぶりです永華さん。

 お元気でしたか?そちらの方は親戚のお姉さんでしょうか」


「あ…お久しぶりです、潮木さん」


「望美で良いですよ。先生にはいつもお世話になっていますし」


姉の担当である潮木望美うしおぎのぞみさんである、

身長が私にかなり近いので親近感を覚えているのだが…

会う機会がないので名前呼びは少し難易度が高い気がする。


「…従妹のチェーニと申します。一応永華の方が年上でして…」


「あらら…すみませんね。見た目だけで判断するなんて…

 私としたことが目が曇っていたようです」


「大丈夫ですよ。展覧会に関するお仕事で

 いらっしゃっているんですか?」


「そうですね。まぁ…私としては少し

 先生方に会いに来る意味もあったのですが」


「あ、やっぱり潮木さんだ。

 お久しぶりです、いつもお世話になっています」


後ろから姉が追い付いてくる。

うわ…すごい至近距離だ、しかも背後に描かれている

キャラクターたちも相まっていつもより凄い可愛さを

獲得している…すごい、イタッチもフックンも姉も

とてもかわいい。ごいがうしなわれていく~


「ええ、いつもありがとうございます。

 サイン会等のお仕事も任せてしまって申し訳ございませんね、

 先生の知名度だと断り切れない仕事も多く…」


「いえいえ…もうお話をお聞きした限りでは

 私の立場じゃ断り切れない仕事だっていうのは

 分かりますから、むしろあのくらいで抑えて頂いて

 本当に感謝してもしきれないというか…」


「ありがとうございます…そんな話をした上で

 申し訳ありませんが、少し会場でのお仕事のご依頼です。

 拒否権は…ないに等しいとお思い下さい」


「えっ」


「え、潮木さん…?」


何故、こんな土壇場でそんな理不尽かつ酷な事を

姉にお願いしているんだ…??


「永華さんも申し訳ありません。

 少しばかり不破さんに協力してもらい

 公開期間中無制限チケットを8枚程度お渡ししたのも

 今回の一件を確実にお受けしてもらうための秘策でした」

 

そう言って、潮木さんは私たちにこう宣告する。


「蒼羽先生。唐突で申し訳ありませんが…

 本日13時より先生を交えたファン交流会を

 開催させていただきます」


「きゅぅ…」


「ね、姉さん!?」


予想外のアクシデントに姉が倒れた。

…どうしよう、藤川さんはどこにいる、いつ来る!?

それまでは私がなんとか、なんとかしなければ…!!


楽しいはずだった展覧会が、一瞬にして

大きなトラブル工場に変化してしまった…

私は倒れた姉を起こしながら、なんとかこの状況を

打開しようと頭を巡らすのだった。

潮木望美さん

姉の出版社の担当さん。

身長が永華より少し大きい程度、

割と姉の知名度と影響力がデカすぎるので

それに振り回されている人


誤字脱字あれば報告お願いします。

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